
女性では退職後すぐに座っている時間が急増
女性では退職後、1日当たりの総座位時間が平均20分以上増加し、それが少なくとも2年間は続く可能性のあることが、新たな研究により示された。
トゥルク大学(フィンランド)公衆衛生学分野のKristin Suorsa氏らによるこの研究の詳細は、「Occupational & Environmental Medicine」に11月17日掲載された。
この研究は、2013年に開始され、現在も進行中のフィンランドの地方自治体の退職者に関する調査(Finnish Retirement and Aging Study;FIREA)の参加者のうち、689人(平均年齢63.2歳、女性85%)を対象にしたもの。
対象者には、退職前と退職後のそれぞれ数年間ずつ、1年に一度、活動量計を7日間連続で装着してもらい、座位時間を測定した。座位時間は、1日当たりの総座位時間、長時間(30分以上)の座位時間、極めて長時間(60分以上)の座位時間の3つを基準とした。
その結果、女性では、退職前の1日当たりの総座位時間、30分以上の座位時間、および60分以上の座位時間に大きな変化はなかった。
しかし、退職前から退職後の移行期にこれらの座位時間が急増し、その後2年以上にわたり、増加したままであることが明らかになった。
退職後に増加した1日当たりの座位時間は、総座位時間で22分、30分以上の座位時間で34分、60分以上の座位時間で15分であった。また特に、退職前に肉体労働に従事していた女性で、総座位時間および30分以上の座位時間の増加が顕著であった。
一方、男性では退職の前年に、1日当たりの総座位時間が21分、30分以上の座位時間が23分、60分以上の座位時間が11分増加したことが判明した。
ただし、女性のように、退職に伴いこれらの座位時間が有意に増えるのではなく、徐々に増加する傾向が認められた。
退職から2年後には、退職前と比べて、1日当たりの30分以上の座位時間は33分増加していた。また、男性ではどの時点でも、1日当たりの総座位時間と30分以上の座位時間が女性よりも有意に長いことも明らかになった。
Suorsa氏らは、「退職後に1日当たりの総座位時間が増加することは、過去の研究で確認されていた。今回、われわれが実施した研究により、総座位時間の増加が、特に30分以上の座位時間の増加に負うところが大きい可能性が示された」と述べている。
また、Suorsa氏らは、「30分以上にわたる座位時間は、短時間の座位時間以上に健康にとって有害だ。30分以上にわたる座位時間が増えると、それに伴い、心血管疾患の発症リスクと死亡リスクも上昇するからだ。それゆえ、退職者には、座位時間を減らすよう、積極的に働きかけていくべきだ」と結論付けている。(HealthDay News 2020年11月17日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://oem.bmj.com/content/early/2020/10/26/oemed-2020-106532
Press Release
https://www.bmj.com/company/newsroom/sharp-rise-in-sedentary-time-among-newly-retired-women-evident-2-years-later/
構成/DIME編集部
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