
新生児の新型コロナ感染リスクは低い
乳児の新型コロナウイルスへの感染リスクは全体的に低く、母子感染もまれだとする報告が、「The Lancet Child & Adolescent Health」に11月9日掲載された。
この研究は、生後28日目までに新型コロナウイルスへの感染が確認され、英国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの最初のピークを迎えた3月1日〜4月30日までの間に英国内の病院に入院した新生児のデータを解析したもの。
この期間中に、新型コロナウイルスへの感染が確認され、病院での治療が必要になった新生児は66人であった。これは生産児1,785人当たり1人(0.06%)が新型コロナウイルスに感染したことに相当する。
66人のうち、COVID-19が重症化したのは28人(42%)であった。また、66人中36人(55%)は白人、29人(45%)は黒人、アジア人やその他の民族であり(1人は不明)、16人(24%)は未熟児であった。
出産前後7日の間に新型コロナウイルス感染が確認された母親から生まれたのは、66人中17人(26%)のみであった。
このうちの2人は、出生後12時間以内に行われた検査で新型コロナウイルス陽性が判明しており、垂直感染したものと考えられた。また、17人中7人は、出生後すぐに母親から引き離されたものの、COVID-19を発症した。
入院した66人のうち、1人は別の疾患で死亡したが、COVID-19で死亡した新生児はいなかった。データ解析を行った時点で、58人(88%)の新生児が感染から全快し、退院していた。また、COVID-19が重症化した新生児は、集中治療または呼吸補助を必要とする率が、年長の子どもよりも高いことも判明した(36%対13%)。
この研究論文の筆頭著者である英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のChris Gale氏は、「子どもがいる人や出産を控えた人が、赤ちゃんのCOVID-19罹患を心配するのは当然のことだ」と述べている。
そして、「この研究結果は、親を安堵させることだろう。なぜなら、新生児のCOVID-19重症化はまれであることが示唆されたからだ。その上、新型コロナウイルスに感染した新生児のほとんどは、症状が軽く、完全に回復した。また、今回の研究で得られた知見は、たとえ母親に新型コロナウイルスへの感染が確認された、または感染が疑われる場合であっても母子を一緒に過ごさせるべきだとする、英国および国際ガイドラインを支持するものだ」と述べている。
一方、この研究では、6例で新生児病棟や小児集中治療室での院内感染による新型コロナウイルス感染の可能性が示された。この点についてGale氏は、「このデータはパンデミック初期のものであり、新生児および小児科病棟の感染管理対策は、過去6カ月で劇的に向上している」と説明している。(HealthDay News 2020年11月11日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30342-4/fulltext
Press Release
https://www.imperial.ac.uk/news/208093/severe-covid-19-infection-rare-newborns/
構成/DIME編集部
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