
■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
11月28-29日、山梨・西湖キャンプ・ビレッジ「ノーム」で「VANTERTAINMENT FES vol.0」(#バンタメ)が開催された。宿泊場所もエンターテインメントブースもクルマの中。有名YouTuberの参加が多く、バンライフに興味がある人、これからバンを改造したい人がテント泊をしながら話を聞くという場面もちらほら。
会場を一通り見学したところ、自分の手でクルマを作り上げるのはバンライフの大きな楽しみではあるが、必ずしも車内にウッドパネルを貼る必要はないし、DIYにこだわる必要もないことが見えてきた。
プロ仕様のアイデア満載カー
プロが企画したバンには驚きの機能がズラリ。サブバッテリーを搭載するだけでも可能性はグンと広がるし、アイデアはあるけれどDIYが苦手、どこまで改造していいのかわからない場合は、少々値が張るがフルオーダーでカスタムを請け負ってくれるキャンピングカービルダーを利用してもいい。
車中泊の知恵から生まれたアイデア軽キャン
「ケンキャン」を配信するケンケンさんは、群馬のビルダー、フィールドライフとコラボしたバロッコ ケンケンバージョンで会場入り。
「もともとN-BOXで車中泊をしていました。いいクルマなんですがやっぱり中で眠るにはいちいち面倒。このバロッコには僕のアイデアを搭載してもらいました。一番みてほしいのはワンアクションでベッド展開できること。軽キャンピングカーは荷物を外に出さないとうまくベッドにできないものが多いんですが、これは引き出すだけだから日本一早くベッドにできると思いますよ」(ケンケンさん)
ちなみにテーブルは跳ね上げ式なので、車内を移動しやすいそう。
冷蔵庫はシート下に収納され、引き出し式に。標準バロッコの冷蔵庫は容量14Lだがケンケンバージョンは16Lにアップ。
ケンケンバージョンのバロッコは「Kパッケージ」として販売中だ。
高性能サブバッテリーが生んだコタツ入りバン
リチウムイオンバッテリーを開発するMOVING BASEはバンライフ向きのバッテリーシステムを搭載したデモカーを展示。
小型のバンにも搭載しやすいよう、小型化・軽量化・コストダウンを達成した「VANLIFE SPECIAL」シリーズのリチウムバッテリー。使用中のパワーダウンがなく、長寿命。そして大容量でエアコンを使えるほどパワフルなのが最大の特徴だ。一般的なキャンピングカーのサブバッテリーは鉛バッテリーなので、工事不要で「VANLIFE SPECIAL」リチウムバッテリーに置き換えるだけ。
ソーラーパネル、そして直接ソーラーパネルと接続してスピーディーに充電できる正弦波インバーター/チャージャー「MOVING CHARGER」と組み合わせて使えば、使った電力を昼間、旅先であっても太陽からも補充できる。
車内にはコタツとLEDライト、パソコン、スピーカーなどを装備しており、なんだか自宅のお茶の間にいるよう。これならDIYが苦手な人も、ちょっと頑張るだけで快適空間を作れる。
バンを使ったサービスをヒントに
バンライファーのスタイルを見ていると、いつの間にか「自分ならこうしよう」と脳を刺激する。けれども本当の使い勝手はわからない。
バンを使ったホテルやレンタカーを利用すれば、使い勝手の良さ・悪さにも触れられるので、自分なりのバン作りが大きく前身する。
全国を旅したくなる動くホテル
ファイアープレイスが作成したのは世界で一台の「トラベリングホテル」。直訳すれば移動するホテル。車体は大きく見えるが、準中型免許(旧普通免許)で運転できるためレンタカー感覚で利用可能だ。
レンタルは1日2万5000円〜。レジャーのほかにワーケーションでも使われているとのこと。
ある自治体の送迎車として使われてきたマイクロバスを改造。ここまで運転をしてきたスタッフによると「最初の数時間は緊張するかもしれませんが、内輪差の感覚がわかれば大丈夫。それでも不安なら運転代行サービスを利用してみては」とアドバイスしてくれた。
キッチンを挟んで前後にベッドルームがある2ベッドルーム。リアは6人掛けソファと32インチの液晶モニターを装備し、ゲームや映画、会議などにも使える。もちろんエアコン付き。
ヨーロピアンなタイルに見えるけれど木材。手作りだというからDIY派も参考にできそう。
4人掛けソファーのある前方のベッドルームには、大きな窓があり開放的な雰囲気。
車体は古いマイクロバス、内装もなるべくプラスチックではなく廃材など、環境に優しい素材から作られている点にも注目したい。
車中泊カーのシェアサービス
会場にやってきた何台かのバンは、オーナーが使わない時にキャンピングカーやバンを貸し出すシェアサービス「Carstay」に登録している車両だった。
丸1日使えばベッドメイクや運転のコツ、本当に必要な装備を実感できる。DIYにせよビルダーにオーダーするにせよ、事前に参考にしたいクルマを借りてみては。
ロウリュもできる自走式サウナワゴン
温泉道場は1970年代のワーゲンバスを改造したサウナワゴンを用意。窓ガラスに水滴がびっしり付いている様子はなんともシュールだが、サウナで汗を流し、目の前の西湖に飛び込んでクールダウンするという最高の北欧的バンライフ体験ができる。
ヒノキ張りの車内にあるのは火を使わない電気ストーブでセルフロウリュもできるというもの。電気は車外に置いた発電機から。このサウナワゴンさえあれば全国どこででも本格サウナ体験ができるという。
「サウナの本場、フィンランドでは自然の中でサウナを楽しんでいて、移動式サウナの祭典もあるほど。そんなサウナ文化、サウナのある暮らしをほんの少しでも知ってもらえるようにとこのサウナワゴンを作りました。
これまでショッピングセンターのイベントスペースでもサウナ体験をしてもらいましたが、今回の会場は西湖のほとり。最高のシチュエーションです」
後部は蒸気がたっぷりこもっているが、今のところは運転席に蒸気が漏れる気配はない。
ただし、古いクルマなのでバッテリーあがりなどトラブルとは常に隣り合わせで、今後、どうなるかまったくわからないとも。自走式サウナを作るならDIYの腕とクルマの知識、どちらも不可欠だ。
車内にベッドを作るだけがバンライフではない。走行時を含めた安全性を確保できるならサウナなどひとつの楽しみに特化したカスタムでもよく、利用シーンは無限に広がりそうだ。
取材・文/大森弘恵
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