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無関心も熱心すぎるのもダメ!中学受験の子どもをもつ父親に求められる「ほどよいスタンス」とは?

2020.12.09

「6年間を有意義に過ごさせたい」「充実したカリキュラムが魅力」「後々楽そうなので附属中へ」など中学受験を考える理由は家庭それぞれ。親の受験ともいわれる中学受験だが、母親に比べ、子どもと関わる時間が少ない父親はどのようなスタンスで臨めばいいのか。日本初の塾ソムリエで「中学受験は親が9割」(青春出版社)の著者でもある西村則康さんに受験を成功に導く父親の役割を聞いた。

【取材協力】

 

西村則康さん
中学受験専門プロ家庭教師「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員
塾ソムリエ
40年以上中学・高校受験指導を一筋に行うカリスマ家庭教師。最難関校に2500人以上を合格させてきた実績を持つ。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子どもが心底やる気になる付加価値の高い指導に定評があり、中学受験情報サイト「かしこい塾の使い方」は16万人のお母さんが参考にしている。著書には「子供の学力を伸ばす親、ダメにする親」(KADOKAWA)、「難関校合格のすごい勉強習慣」(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

中学受験 塾ソムリエ 西村則康(にしむら のりやす)

中学受験情報局「かしこい塾の使い方」

お父さん世代の受験と今の受験は質が違う

中学受験をした人の中には「自分の時は親に勉強を見てもらうことはほとんどなかったけど、今はどうしてここまで関わらなくてはいけないのか」と疑問を持つ人もいるだろう。なぜ中学受験は“親の受験”といわれるようになったのか、西村さんは次のように説明する。

「20~30年前の受験は、あまり勉強をしなくても、地頭の良さで合格できました。しかし、今は精一杯の努力をしてきた子ども同士の争い。昔の受験と今の受験は、傾向も難易度もまったく異なるのです。

多くのお父さんにとって、受験というと大学受験になります。だから受験は自分を鼓舞してやっていくものと思っているかもしれません。しかし幼い子どもの自主性に任せることは不可能。学習の仕方を工夫したり、モチベーションを維持するのは無理なのです。だからそこに親が大きく関わらなければならなくなりました」

中学受験の勉強は人生においても有益

中学受験は親にとって経済的にも時間的にも精神的にも大きな負担になる。本来やりたいことを我慢しなければいけない子どもにとっても過酷なもの。「そこまでさせなくてもいいんじゃないか」と思う父親も多いだろう。では受験勉強はそんな嫌なことばかりなのか…

「小学校で習わない高度な知識を学ぶことができるのが受験勉強。例えば『この条件から何が分かるか』『この答を出すには何が分かればいいのか』という“考える力”が身に付き、この力は物事を一面的ではなく多方向から見ることができるようになります。

難関中学の試験には知識だけでは解けない思考力、判断力、表現力を重視した問題が出されます。このような問題は、2021年から実施される大学入学共通テストを先取りしている気がします。中学受験の勉強をしてきた子は大学受験でも有利だし、社会でも役に立つのは当然ですよね」

受験勉強を通して子どもとの関わり方を考え続ける

中学受験は夫婦の意見が完全に一致したうえで、多くの時間を割く覚悟と入念な準備が必要になる。西村さんがいう「親が9割」というのは親が勉強を教えるという意味ではない。どのように関わり、どのように手を放して自立させていくのかを考え続けることだという。特に父親の関わり方は重要なポイントのようだ。

「まず、知識としてもっておいてほしいのは、進学塾に通うことが断然有利だということ。できれば受験までに必要なカリキュラムがしっかりある大手塾をお薦めします。塾は4月ではなく2月スタートなので、4年生になったからそろそろ塾に…では遅いのです。3年生の後半にある入塾テストに向け、3年の夏休みくらいから受験勉強が始まると思ってください。入塾テストには学校ではやらない長文の国語、学校のカリキュラムでは習わないレベルの高い算数の問題が出題されます。学校のテストとは形式も回答の仕方も異なるので、入塾テストに合わせた問題集に取り組み準備することが大切」

【参考】
「中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ国語」(青春出版社)
「中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ算数」(青春出版社)

「塾には早く理解できる子もいれば、そうでない子もいるので、塾側はすべての子がしっかり理解できるだけの大量の宿題を出さざるを得なくなります。それをすべてやろうとすると一日中勉強に。子どもは早く終わらせることが目的になり、考えることをしなくなってしまいます。

だから塾の宿題は取捨選択が必要。『計算問題はスピーディに。文章題はあせらずにゆっくりやろうね』と、親が指示をしてあげなければいけません。子どもの性格や学力は千差万別。どこまでやらせるか、どこからやらせないかなどの判断力も要求されますね」

お父さんは勉強を見ないほうがいい!?

「家庭教師として勉強を教えていると、お父さんが熱心すぎるほど指導をしにくくなります。中には、学習の最初の段階だけを見て、『今日はこれをしようね』という指示を出し、終わったら『よく頑張ったね』と穏やかに上手に関わることができる人もいます。

しかし、算数くらいなら勉強しなくても解けるという気持ちで教えると、『なんでこんな問題が解けないのか!』とイライラしてしまう。叱咤してしまうようなら、学習面はお母さんに任せて、以下の3点に徹するほうがいいでしょう」

これが本当に大切な父親の役割!

1、一家の大黒柱としての安心感を生み出す

「威厳をもって怖い顔でいることでも、ただニコニコしているだけでもなく、和やかな雰囲気を醸し出す努力をすることです。人に迷惑をかけないなど社会的なマナー教育はぜひお父さんにしていただきたいですね」

2、お母さんのフォロー

「時間的にも精神的にも大きな負担がかかってくるのはお母さん。受験生を抱えストレスが溜まっているお母さんを労うことこそ、お父さんの役目です。お母さんの不安を受け止め、日々の感謝の気持ちを伝えてください。お母さんが穏やかな家庭は、子どもの学力が伸びます」

3、子どもへの励まし

「自分の失敗談をお子さんに話してあげてください。子どもは『今回ダメだったけど、次は頑張ろう』という気持ちになるはず。特に入試直前の数か月はお父さんの励ましが非常に重要です。『お前なら大丈夫』と声掛けができるお父さんと、『今頃そんなことをやっているのか』と叱るお父さんでは大きな差が出ます。どうか、“我が子なら大丈夫”という根拠のない自信を持ち続ける努力をしてほしいと思います」

程よい距離感を保ちながら、我が子を信じるというブレない父親の姿勢が、中学受験を成功に導く鍵なのかもしれない。

取材・文/佐野恵子

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