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コロナ禍でも女性がいきいきと働いて活躍している会社の共通点

2020.12.09

先日、警察庁から女性の自殺者が大幅に増加しているという発表がありました。10月の自殺者が前年同月比、男性が21.3%増に対して、女性は82.6%増と大幅に増えているとのこと。これを受けて一部のメディアは、その要因を新型コロナ禍のテレワークや外出自粛によるストレス、非正規雇用雇止めなどによる困窮などとしています。いずれにしても、新型コロナがもたらす影響の深刻さを実感するとともに、第3波による状況の悪化を少しでも食い止めていかなければなりません。

とくに、中小企業は経営資源に限りがあり、コロナの打撃が大きな飲食店や宿泊業などのサービス業の比率が高いため、今後も大きな影響が懸念されます。ここでは、そんな大変な状況の中小企業でありながら、女性スタッフがイキイキと活躍しながら業績を伸ばしている会社の事例をご紹介しましょう。

女性のキャリアプランを尊重する経営計画とは

1社目はある地方の小売業。スタッフはアルバイトも含めて70名ほどですが、コロナ禍でも1人も退職者を出さずに会社の業績は前年を上回り続けています。この会社が女性スタッフを惹きつけている大きなポイントは二つあります。

一つは、会社の理念・ビジョンとスタッフ個々人のキャリアプランがリンクしていること。まず、「事業を通じて地域の人々のライフスタイルを豊かにする」という経営理念を掲げ、これを実現するための道筋、手段を「経営計画」として明文化し、全スタッフで共有しています。その中には、「10カ年事業計画」として10年先までの売上、利益、人員計画を数値ではっきり示されています。また、店舗展開をどのエリアに行っていくかなどの戦略が明確に描かれています。

これを実現するための個人の役割を「評価基準」として明示し、評価を行うことで全スタッフが現在の自分自身のレベルとポジションを把握できます。さらに、「賃金制度」も公開されており、3年後、5年後の長期のキャリアプランや生活設計ができるようになっているのです。

もう一つは、その理念やビジョンを学び、共有する場が定期的に設けられていることです。
まず、年1回「経営計画発表会」を開催し、その年度の目標や戦略を共有します。社長からのメッセージはもちろん、各店舗のリーダーから自店の目標やアクションプランの発表と各グループでのミーティングが行われます。

また毎月、経営理念とこれを実現するためのスタッフの指針、行動理念に関する勉強会を開催しています。さらに、スタッフ全員が理念に沿った顧客や地域への貢献度を高めていくために何を行うべきかという成長目標と実行計画を立て、上司と毎月ミーティングを行いながら達成状況を確認し、成長をサポートするということに取り組んでいます。

こうした仕組みがあることで、コロナ禍による店舗の営業時間短縮を行う中、スタッフが主体的に自宅で過ごす時間を充実させるためのアイデアや、商品の活用方法などを顧客に発信し、自社店舗の存在価値を高めることに成功したのです。このような努力が会社の収益という“結果”に結びつくことで、自分たちの仕事の意義と必要性を改めて実感でき、モチベーションの維持や向上つながりました。

重要なのは課題と解決プロセスを可視化するアイテム

次の企業は、ある業界で機器を製造・販売する社員約50名のメーカーです。女性社員は約20名ですが、彼女たちが中心となって新たな課題の解決に向けた施策を行い、現場に出る営業社員をけん引しています。この会社では、「人事評価制度」を人材育成の仕組みとして運用していたことが、とくに女性社員のモチベーションアップを実現しました。女性社員が活躍する基盤となったのがコミュニケーションの充実です。

この会社では、評価制度の中で、「チャレンジシート」というツールを活用して上司が部下の成長を支援していました。社員が自身の評価結果に基づき、3カ月ごとにスキルアップの目標や解決すべき課題とプロセスをチャレンジシートに記入し、その進捗を直属の上司が毎月チャレンジ面談という場を通じて確認、支援を継続的に行うという仕組みです。

しかし、緊急事態宣言下では、やむなく自宅勤務や出勤日数の制限を行いました。当然、営業は顧客と接触する機会が減り、会社の業績も低迷します。多くの社員が将来を不安視し、会社全体も暗い雰囲気が漂っていました。ところが、社長は「こういう時こそ、成長のチャンス、人材育成を強化しながら新たなステージを目指す」と社員を鼓舞しながら方向性を打ち出し、チャレンジシートを中心とした評価制度の運用をさらに強化していきました。テレワーク中の社員に対しても、Zoomなどを通じたチャレンジ面談を徹底。できるだけ多くの面談の場に社長自ら加わり、劇的な環境変化に応じた課題の変更やその推進方法をアドバイスしていったのです。

こうした対策を進める中で、これまで管理や営業支援的な業務を担当していた女性社員がコロナ対策の対外的な発信や、営業が訪問できない顧客へのメールやDMを通じた受注の仕組みづくり、販促物の企画・作成など、会社の業績アップにつながる役割を担うようになっていったのです。これら試行錯誤しながら確立した新たなマーケティングの仕組みもあり、9月以降の実績は前年を大きく上回っています。

女性社員が活躍するカギは組織環境

チャレンジシートのような、目的やテーマがはっきりと定められるツールの採用、課題解決のためのコミュニケーションの場が定期的に設けられているからこそ、全社員が目標に向けて推進するという基盤が生まれます。

それゆえ、たとえ目標や環境が変化してもスピーディーに対応でき、成果につながったといえるでしょう。しかも、これまで発揮されていなかった女性社員の潜在能力を引き出すことで実現できたのです。社長は、「まさに、ピンチをチャンスとし、組織が強くなれた」と満足しながらも、次のステージに向けた戦略に取り組んでいます。

ご紹介した2社の事例から、人のモチベーションや能力は環境によって大きく左右されることがおわかりいただけるでしょう。昨今の不況下では、それらの低下は社会や経済環境のせいにされがちですが、実は本人がどこに身を置くか、つまり組織環境の方が大きく影響するのです。

企業のトップには、あなたの組織づくりとその進め方次第で、雇用と社員一人ひとりの活躍の場を広げることができるとお伝えしたいです。一方、社員の皆さんには、もし転職や職場改善をお考えならば、きちんとした目標設定や評価制度がある組織をお勧めします。

文/山元浩二

やまもと・こうじ。人事評価制度運用支援コンサルタント。成果主義、結果主義的な人事制度に異論を唱え、約10年を費やし、1000社以上の人事制度を研究。会社のビジョンを実現する人材育成を可能にした「ビジョン実現型人事評価制度」を日本で初めて開発。導入先では社員の9割が評価について納得し、経営者と社員双方の満足度が極めて高いコンサルティングを実現。全国的にめずらしい人事評価制度専門コンサルタントとして活躍中。https://jinjiseido.com/company/

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