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更年期障害が原因で昇進を断念する人は7割弱、働く女性と職場はどう対応していくべきか?

2020.12.07

従業員の健康維持を経営的な課題と捉える「健康経営」に、近年、関心が高まっている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響からも、より注力されはじめている。

この健康経営に関して、コロナ以前から意識が高まっていたのが「女性の健康」である。女性活躍推進が叫ばれる中、健康、特に「更年期」を理由に昇進辞退を検討している女性は約7割弱で、現場の理解はほぼ皆無の状況だとある調査でわかっている。

更年期症状についてはなかなか理解がされにくい。この問題に対して、女性たち、そして職場はどのような対応をしていくべきか。専門家や女性起業家の意見をもとに探る。

「健康経営」の取り組みで最も関心が高いのは「女性特有の健康問題対策」

「健康経営」と聞くと、ひと昔前は中年男性の「メタボ」や「禁煙」対策のイメージがあった。しかし最近では女性活躍推進の波を受け、変化しているようだ。

経済産業省の調査(*1)によると、「健康経営」で最も関心が高いものは「女性特有の健康対策」で56%。次いで「40~50代男性のメタボ対策」が49%となっていた。

婦人科系疾患を抱える働く女性の、年間の医療費支出と生産性損失を合計すると、少なくとも6.37兆円にのぼるといわれる。これは医療費1.42兆円、生産性損失4.95兆円の合計である。特に月経随伴症状、乳がん、子宮頸がん、子宮内膜症といった婦人科系疾患の有無は、QOLおよび労働損失時間と関連が見られるという(*2)。

これらの状況を受け、国や自治体、企業は婦人科受診や健診受診率の向上、教育・普及啓発の充実、健康経営の促進などに積極的に取り組んでいる。

更年期を理由に昇進辞退を検討した女性は約7割弱

女性特有の健康問題の中では、女性の管理職を増やすという観点から、ちょうど管理職の年齢で生じやすい「更年期障害」が一つの問題となっている。

リビングくらしHOW研究所が実施した2018年の調査(*3)では、45~55歳の女性で更年期の自覚症状がある人は約7割(73.0%)だった。また、日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2018」(*4)では、更年期症状や更年期障害によって、元気な状態のときと比較して仕事のパフォーマンスが半分以下になる女性が約半数にも上った。

仕事のパフォーマンスが落ちるということは、当然、昇進にも影響がある。実際、ホルモンケア推進プロジェクトの2014年の調査(*5)では、更年期を理由に昇進を辞退したことがある女性は50.0%、辞退しようと考えたことがある女性は17.3%にも上り、全体では67.3%にも上っていた。

女性の就業率は年々上がっているといわれている一方で、管理職に就く年齢が、更年期とちょうどかぶる人も多く、せっかく責任のある仕事への昇進を打診されても、辞退を考 えているのが現状。

ホルモンケア推進プロジェクトの同調査で、更年期障害の認知について男性に尋ねたところ、「詳しくはわからない」と「聞いたことがない」は合わせて50.9%にも上り、約半数に認知がされていない状況が浮き彫りとなった。健康経営の課題として女性の健康問題を挙げながらも、現場にその理解が浸透していないのが職場の課題であるようだ。

更年期障害に悩む女性は「婦人科マイドクターを持ち、ストレスケアを」

こうした状況について、更年期障害の情報提供を担う専門家であるメノポーズカウンセラーの鈴木くみさんに意見を聞いた。

更年期障害を自覚する女性のうち、約7割弱が昇進辞退を検討している状況をどう受け止めているだろうか。

「更年期には卵巣機能の低下とともに、そのときの自分を取り巻く仕事・家庭などの環境や、持ち合わせた性格が複雑に絡んで、更年期の症状として現れます。そのため、症状の出方に個人差があり、婦人科を受診しなくてもセルフケアで過ごせる方もいる一方で、仕事との両立を懸念する方もいるのだと考えられます。

しかし、昇進の希望がありながら辞退を検討しなくてはいけない理由が更年期によるものならば、辞退を決める前に更年期専門医に相談していただきたいと思います。必要な治療を受けることで、自分の身体とうまく付き合うことは可能です。女性が希望を持って仕事を続けるために『40歳を過ぎたら婦人科のマイドクターを見つけておくこと』。それが昇進辞退検討を減らすことにつながると思います」(鈴木さん)

職場理解が進んでいない現状、更年期症状とのはざまにいる女性たちは、マイドクターを持つ以外にどんなセルフケアが必要になるだろうか。

「更年期症状に対して適切な治療を受けることは、仕事を持つ女性には大切なことです。しかし治療をしていても更年期を周囲の人々に理解されないことはストレスになり、それが症状を重くする一因につながります。適切な治療に併せて、ストレスを解消できる方法を見つけましょう。

更年期のお薬を使わない対処法として『HRT意思決定ガイド』にはヨガやアロマセラピーなどが挙げられています(出典:更年期と加齢のヘルスケア17(2);15-24, 2018)。どちらも身体と心に働きかけてくれますからストレス解消の方法としてもおすすめします。

また、『メノポーズカフェ』など、更年期症状について共に語り合える場を利用するといったように、悩んでいるのは自分だけではないことを知ることも大切です」

更年期に特化したサービス立ち上げた女性起業家「恥ずかしがらず伝える」「正しい知識を得る」ことが必要

更年期女性に向けたサービスも、徐々に増え始めている。その一つに、女性の更年期や閉経に関する情報提供等を行うフェムテックサービス「TRULY(トゥルーリー)」がある。最近では、法人向けに更年期症状についてスマホで気軽に医師に相談できるチャット相談サービスもリリースした。

そのTRULYの開発・提供元である株式会社TRULYのCEO、二宮未摩子さんは次のように話している。

「働く女性の約50%が更年期障害を理由に昇進を辞退したと知り、私は驚きと同時に、リーダーとなった女性に更年期のつらい症状が現れても、ひたすら我慢する世の中が来てしまわないかと不安になっています。しかし、現状は女性本人も『更年期症状とはどんな症状なのかわからない』という方も多いので、職場をはじめとした周囲の理解を得ていくのには時間がかかると思っています。

ただ、一つ実体験から言えることがあります。それは、恥ずかしい気持ちを捨てて、体調不良をきちんと周囲に伝えることが、一つの解決策となり得るということです。実は10年前、私自身が妊娠中、働きながらひどいつわりの症状に悩まされたことがあったんです。そのとき、あることをきっかけに『自分自身の体を理解すること』と『人に話すこと』の大切さを知り、恥ずかしい気持ちを捨てて、体調不良のときはきちんと周りに伝えることを始めたところ、同僚の態度が変わったり、上司が業務量を調整してくれたり、パートナーの意識が変わったりと、徐々に状況が改善していったのです。次の世代のためにも、まずは更年期の方がきちんと自分のことを話していくことが大切だと思います」

また、二宮さんは「更年期に関するリテラシーも必要」だと話す。

「最近まであまり知られていませんでしたが、男性にも更年期はあります。女性には生理(閉経)というビッグイベントがありますが、男性の更年期はそうしたわかりやすい人生のイベントがないので、どうしても女性だけの悩みと理解されていました。そういった男女のホルモンに起因するプレゼンティズム(出勤していても、体調不良やメンタルヘルス不調などが原因で、パフォーマンスが低下している状態)改善に向けても、まずは性別や役割に関係なくリテラシーを高めることで、お互いに理解し合い、より働きやすい環境をつくることも大切だと考えます」

更年期症状は、自覚しにくく、周囲にも理解されにくいもの。しかし女性の管理職の年齢と合致するため、今後は健康経営の一つの重要課題となりそうだ。

女性本人は「マイドクターを持つ」「ストレスケアも実施する」「開示する」「リテラシーを高める」ことが必要。そして周囲は正しい理解が重要となりそうだ。

【取材協力】
メノポーズカウンセラー 鈴木くみさん
http://fujisawachitrine.com/myprofile/

 

二宮 未摩子さん
株式会社TRULY CEO
2007年に大手広告代理店に入社。営業職として通信キャリア、大手エステティックサロン等を担当。入社3年目の妊娠時働くことが困難なほどの激しいつわりを経験し女性の心と体は女性ホルモンの影響を強く受けることを痛感。職場復帰後、社内の開発部門を経て、女性向けの商品開発プロジェクトを発足。2020年6月、女性の更年期や閉経に寄り添うフェムテックサービス「TRULY」を立ち上げる。10歳男児の母。
TRULY チャット相談 for Business
https://www.truly-japan.biz/

【出典】
*1:「健康経営の推進(平成29年5月経済産業省ヘルスケア産業課)」
*2:日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2016」
*3:リビングくらしHOW研究所「Around50アラフィフマーケット研究会更年期、女性の健康についての定量調査 2018年2月」
*4:日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2018」
*5:ホルモンケア推進プロジェクト「女性の体調と仕事に関する調査」2014年12月

取材・文/石原亜香利

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