【未来への夢継続期】アプリでアップデートする機能やSTEM教育で未来の人材育成も
スマートフォンとの連携で生まれた大きなメリットは、同じ『ルンバ』がアプリのアップデートによって、より賢い存在になっていくという点だ。例えば、ユーザーが不在の時を感知して掃除を始めたり、汚れている可能性が高い場所(ダイニングテーブル周辺など)を指定して効率よく掃除を行なうなど、ソフトウェアの進化で『ルンバ』も成長する。ロボットが自動化を超えて人間のパートナーとなることが、コリンの目標なのだ。
また、自分のように自由な発想ができ、ものづくりが好きな子供たちを育てることが未来の人材育成には不可欠と考えるコリンは、STEM教育(科学、技術、工学、数学を融合した学び)にも熱心に取り組んでいる。種々のセンサーを搭載し、マーカーで絵まで描けるロボット『ルート』もその一環で、近々日本にも導入される予定だ。
もちろん、コリンとアイロボットの共創のジャーニーは、ここで終わりではない。だからこそ、彼は自信を持って、こう宣言できるのだ。
「私は、自分とアイロボットが、この先、どのように進んでいくべきかを知っています。 それは、今年、あるいは来年という短いスパンの話ではありません。私には、すでに向こう20年にも及ぶ、はっきりとした道標があるのです」
高度な自動化を実現した『ルンバ s9+』は、コリンが目指したひとつの到達点だ。
『ルンバ』のDNAを受け継ぐSTEM教育に適したプログラミング可能なロボット『ルート』。
日本で行なわれたSTEMセミナーではコリンも授業を担当し、自ら楽しんだ。
もっと知りたいなら!
大学時代に起業し、多くの挫折と失敗を乗り越えて「人の役に立つロボットを作る」という夢を実現した彼の、驚きと示唆に富むストーリー。『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力」』(小学館)、1600円+税。
取材・文/大谷和利