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売上高1兆円以上の企業の社長の報酬額は中央値で9887万円、昨年並みを維持

2020.12.03

新型コロナウイルスによる「役員報酬」への影響

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社と三井住友信託銀行が共同で実施した『役員報酬サーベイ(2020年度版)』を見ると、社長報酬総額(売上高1兆円以上企業中央値)9,887万円(前年比-0.6%)、任意の報酬委員会設置企業は60.2%(同+11.2ot)。新型コロナ影響による役員報酬減額・返上実施・検討企業は23.2%となっている。

社長報酬総額の推移

売上高1兆円以上の企業における社長の報酬総額は中央値で9,887万円となり、前年の9,946万円と比較し-0.6%となった。微減ではあるが社長報酬総額は大半の企業で昨年並みの水準を維持していた。本調査の対象には2019年12月末決算、2020年3月末決算の企業が多いため、新型コロナウイルス等の影響報酬の減額、自主返上の影響は結果に、まだほとんど反映されていない。*1【図1】

*1:例えば3月期決算の企業では、報酬減額・自主返上は2020年4月~2021年3月の年度で実施ケースが多く、サーベイ結果では来年に反映される

インセンティブ報酬

短期インセンティブ報酬を導入している企業の割合は74.2%(708社*2)と前年の69.8%から4.4ポイント増加した。採用されている短期インセンティブ報酬の種類を見ると、昨年に引き続き「損金不算入型の賞与」を導入している企業が最も多く、導入企業の51.0%(361社)を占めている。「損金不算入型の賞与」を採用する背景には設計の自由度が高いことに加え、損金算入の要件が厳しく、採用しにくいということが考えられる。

株式関連報酬(長期インセンティブ報酬)を導入している企業の割合は63.0%(601社*3)と前年の60.2%から2.8ポイント増加した。採用されている長期インセンティブ報酬の種類の上位2つは、「譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)」(177社)と、「株式交付信託(信託の設定による株式付与)」(174社)であった。また、現在株式関連報酬を導入していない会社、および現在既に何らかの株式関連報酬を導入している会社のいずれも、今後導入を予定している報酬の種類は、「譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)」が多く、引き続き譲渡制限付株式の導入が進むと見込まれる。

明文化された役員評価制度を有する企業、および明確な評価制度は存在しないものの何らかの評価基準が存在する企業は合わせて68.2%(651社)となり、役員の評価を実施している企業は昨年の66.7%(619社)より1.5ポイント増加した。

また、役員評価を実施している企業のうち、ESG指標を役員報酬決定に活用している企業は5.4%(35社)にとどまるものの、前年の3.6%からは1.8ポイント増加した。わずかではあるがESG指標を評価に取り込む企業が増えつつあると見受けられる。

*2:「短期インセンティブの有無」において「短期インセンティブあり(導入している)」を選択した企業、および「変動報酬の固定報酬化の有無」において「あり」を選択した企業

*3:「長期インセンティブの有無」において「長期インセンティブあり(導入している)」を選択した企業のうち、通常ストックオプション、株式報酬型ストックオプション、有償ストックオプション、譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)、パフォーマンス・シェア・ユニット、信託の設定による株式付与、その他現物株、現金(SARs・ファントムストック 等)いずれかの株式関連報酬を導入している企業

コーポレートガバナンス

指名委員会等設置会社を除く931社のうち、任意の報酬委員会を設置している企業の割合は60.2%(560社)と前年より11.2ポイント増加し、任意の指名委員会を設置している企業の割合は53.7%(500社)と前年より10.8ポイント増加した。

この背景には、2018年のコーポレートガバナンス・コード改訂に伴う、任意の指名・報酬委員会に関する設置要請が大きく影響していると考えられる。

任意の報酬委員会・指名委員会の設置率は上昇したものの、年間の開催回数に関しては、指名委員会等設置会社との乖離が顕著にみられる。指名委員会等設置会社では、いずれの委員会も年6回以上開催する企業が半数以上に達している一方、任意の委員会設置企業では、年2回以下の企業が半数近く(報酬委員会で44.3%、指名委員会で47.8%)を占めている。任意の報酬委員会・指名委員会では依然として形式的な議論にとどまっている可能性が高いと考えられる。【図2-1、2-2】

選解任基準の整備状況に関しては、CEOの選任基準を整備している企業が31.2%(前年比+2.5ポイント)、CEO以外の役員の選任基準を整備している企業が45.1%(前年比+4.2ポイント)と増加した。また、CEOの解任基準においても全体の30.7%(前年比+3.0ポイント)、CEO以外の役員の解任基準は全体の38.0%(前年比+4.1ポイント)と増加した。

指名基準に関連して、CEOの後継者計画を整備している企業は、全体の18.4%(前年比+1.3ポイント)、その他役員の後継者計画を整備している企業は、全体の12.3%(前年比‐0.3ポイント)にとどまった。後継者計画の整備は今後の大きな課題であると考えられる。

2019年1月改正・公布の内閣府令で求められた役員報酬に関する情報開示ルールへの対応状況*4に関しては、報酬フィロソフィー(考え方)の開示が90.9%(820社)、報酬決定のプロセスとプロセスの関与者が84.4%(761社)、報酬体系が77.9%(703社)と開示度合いが高い。

一方、報酬構成比率、および報酬決定プロセスにおける取締役会・委員会の活動内容については、開示していない割合が58.1%(524社)、44.6%(402社)となった。2019年12月に公布された会社法改正法への対応も求められており、報酬構成比率、および報酬決定に関する情報開示の充実化は改善の余地があるとうかがえる。【図3】

新型コロナウイルス等による役員報酬への影響

新型コロナウイルス等による役員報酬への影響を調査した。役員報酬の減額・自主返上について、本サーベイ回答時点(7月-8月)の会計年度で実施済の企業*5は16.5%(157社)、検討中の企業は6.7%(64社)、合わせて23.2%が実施を視野に入れている結果となった。

既に新型コロナウイルス等の影響を報酬に反映した企業では、小売業の企業が最も多く、小売業の社長報酬総額は中央値で前年比-0.5%であった。今年度調査では、新型コロナウイルスによる役員報酬への影響は、比較的軽微であるものの、2021年3月期では、賞与等の業績連動報酬を中心に後述の報酬減額、自主返上とあわせ大きな影響を受けると想定される。従って新型コロナウイルス等による役員報酬への影響は引き続き注視する必要がある。

*5:3月期決算の企業では、報酬減額・自主返上は2020年4月~2021年3月の年度で実施ケースが多く、来年のサーベイ結果に反映される見込み(本サーベイの参加企業は、2019年12月期、2020年3月期決算企業が多いため)

マルス・クローバック条項の導入状況

2015年のコーポレートガバナンス・コードの適用開始以降、役員報酬制度の整備に伴い、不正防止や過度なリスクテイクの抑制を目的としてマルス・クローバック条項の導入・検討をしている企業が見られる。しかし、既に導入済の企業はわずか8.3% (79社)、現在検討中・または今後検討を予定している企業の割合も5.3%(51社)であり、合わせて13.6%(130社)にとどまっている。欧米では業績連動報酬に対するマルス・クローバック条項の適用は一般的なプラクティスだが、日本でも機関投資家等の声を受け、今後は導入を強く求められることが想定される。

調査概要

調査期間:2020年6月~2020年8月
調査目的:日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度やガバナンス体制、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況等の現状に関する調査・分析
参加企業数:954社(集計対象役員総数 17,720名)
上場企業902社(うち東証一部656社)、非上場企業52社
参加企業属性:製造業434社(うち医薬品・化学93社、電気機器・精密機器93社、機械71社等)、非製造業520社(うちサービス104社、情報・通信99社、卸売84社 等)

 *4:対象は上場企業902社

構成/ino.

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