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「iPhone 12」シリーズの発売で一番得したキャリア、損したキャリアはどこか?

2020.12.05

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はiPhone 12と通信キャリアの関係について議論します。

※新型コロナウイルス対策を行っております

頑張ったKDDI、ほか2社は……

房野氏:例年、iPhoneの発表に合わせて料金プランを発表したり、発売日早朝にイベントをやったりしてきた通信キャリアですが、iPhone 12シリーズに対する3キャリアの姿勢はどう見ましたか?

房野氏

石川氏:一番頑張っていたというか、頑張りすぎて空回りしている感じもあったけど、auがすごかったなと。

au(KDDI)

石川氏

石野氏:auしかアピールしていないような。

石野氏

法林氏:iPhone 12関連の発表会をしたのはKDDIだけだもんね。

法林氏

石川氏:ドコモもやろうと準備をしていたようだけど、完全子会社化の手続きがあったりしたタイミングでできず……。ソフトバンクも何かやろうとしていた節はあったけれど、シュリンクしていった感じがある。KDDIが踏ん張ったところもあるし、1社しかやらなかったことのメリットもあったように感じています。

NTTドコモ

ソフトバンク

石野氏:ソフトバンクは「嵐」を登用して新聞広告を出した。ソフトバンクは端末のプライシングを見ると、以前ほどiPhoneに対する熱意がないように感じる。

法林氏:最近ソフトバンクショップに行った?

石野氏:Pixelの展示がすごいですよね。

Google Pixel 5

法林氏:すごいよね。端末を展示している棚の下に冊子が入っていて、それにはセットアップから何から、全部の手順が書いてある。もともとプロモーション部門は力が入っているんだけど、そんな冊子を作るくらいPixelにはめっちゃ力が入っている。ただ、実数は言わないけど、ソフトバンクはiPhoneユーザーが滅茶苦茶多いそうなので。

石川氏:そりゃそうでしょうね。

石野氏:だから、逆に言うとiPhoneは力を抜いても大丈夫だと(笑)

法林氏:ソフトバンクの客層はiPhoneが一番強い。ほかのキャリアは出入りがあるみたいです。Appleの思惑とキャリアの思惑と、それぞれが若干交錯して、うまくかみ合っていないように感じました。

石川氏:ドコモはサイトも作って法人にAppleを一生懸命売っているし、KDDIは「Apple Watchも売りますよ」とAppleに非常にすり寄っている感があるけど、ソフトバンクはiPhoneに飽きちゃったのかなぁ、みたいな。

法林氏:最近のソフトバンクはスマホに飽きているんだよ(笑)

石野氏:渋谷では相変わらずPixelをプッシュしていますし、iPhoneが出た後もPixelの看板が撤去されることなく並べて置かれています。

法林氏:ソフトバンクのPixel推しはすごい。推しもそうだし、サポートもそうだし、勧め方もそうだし。

石野氏:そりゃ独占販売するわ、発売日を日本だけ早くするわって感じですね。たぶん、ソフトバンクの要望で「Pixel 4a(5G)」はほかの国より発売(10月15日)が早まったんじゃないかな。

法林氏:おそらく本当はその前に発表会をやりたかったんだろうなという気がする。

石野氏:ソフトバンクのPixel 4a(5G)は安い(6万5520円)。GoogleのSIMフリー版の価格(6万500円)にあまり上乗せしていないんですよね。iPhoneを見ればわかるんですけど、メーカーであるAppleでiPhoneを買うのが一番安いのは当たり前です。キャリアは、SIMフリー版の価格よりはさすがに安いですけど、割とそれに近い納入価格で端末を買って、売っているので、SIMフリー版の価格に近い値段で売ると、赤字になっちゃうんです。でもソフトバンクのPixel 4a(5G)があの値段ということは、相当気合いが入っている証拠なのかなと。逆に、iPhoneでは「ちゃんと稼いでいきましょう」って感じがする。

SIMフリー端末購入者の5G契約切り替えがわかりにくい!

法林氏:「iPhone12」シリーズが発売になったことで、キャリアは5Gへの回線契約の切り替えに対して、何も用意ができていなかったことがわかった。まぁ、auはできていて、電話1本で済むけど。

石川氏:「今回のiPhoneはキャリアとインテグレートした」みたいな話をしているけれど、現場はそうでもない。

法林氏:最初から説明すると、これはSIMフリーのiPhone 12シリーズを買って、回線契約を5Gに切り替えたい場合の話です。iPhone 11シリーズまでは、SIMを旧端末から新端末に差し替えたら同じ4G LTEがそのまま使えるんだけど、iPhone 12シリーズからは5Gも使えるようになるので、当然、5G契約に切り替えたいんだけど、オンラインのMy docomo、My au、My SoftBankでは回線契約変更の手続きができません。auはお客様サポートに電話をすれば対処してくれる。

石野氏:僕が電話した時は、20分かかりましたけど非常にスムースでした。最初に応対した人はちょっと戸惑っていましたが、料金担当に代わってからはちゃんと進みました。

法林氏:古いSIMだと交換になるかもしれないけど、auは電話での手続きだと基本的にSIMの交換、入れ替えはない。ドコモはとにかく「お店に来てください」。

石野氏:ドコモもSIMの交換は基本的にない。

法林氏:ドコモショップの来店予約をしなきゃいけなくて、これがまた、なかなか空いてないんですが、僕はなんとかやってもらいました。その時は端末の確認もなければ、SIMの交換もなかった。

石野氏:法林さんに「端末を確認させてくれ」なんて言えませんよ(笑)

法林氏:そしてソフトバンクは、当初の情報ではMy SoftBankでできるという話だったけれど、できなくて、ソフトンバンクのオンラインショップでSIMの機種変更ができるけど、これはSIMの交換が前提なので、結局、店頭に出向かないと手続きできない。

石川氏:自分もオンラインでSIMの機種変更をしたんですけど、エラーが出てできなかった。

房野氏:SIMの機種変更とは?

法林氏:ソフトバンクのオンラインショップの「購入機種をさがす」メニューの中に「SIM」があるんです。SIMという機種が存在するんですよ(笑)。つまり、オンラインでSIMカード、回線の申し込みができるようになっている。それを選ぶとIMEI(識別番号)を入れる欄があって、買ったiPhoneのIMEIを入力した後、料金プランを選ぶページに行けるはずなんだけど、エラーメッセージが出る。

房野氏:そうなんですね……今、試してみたのですが、私も最後まで進めません。原因を見て当てはまると思われるのが「現在ご利用中の機種と変更後の機種が同じUSIMカードの場合」です。

法林氏:ということで店頭に行ったら、2時間くらい待たされる。ショップで手続きしても、料金プランの変更、つまり持ち込み機種変更と料金プラン変更なので、適用が恐らく翌月からになる。

石野氏:今回、自分の端末はSIMフリー版を宅配で購入したんですけど、妻の端末はAppleストア受け取りにしました。すでにストアで機種変更した人に聞いて、現地でキャリア機種変更扱いで変更してもらいました。そうしたら、なんと8000円割引されたんですよ。しかも、ちゃんとケータイ補償サービスにも入れた。どうせ5Gに契約を切り替えるんだったら、この方法が一番いいんじゃないかと。クレジットカードで一括払いできるし、しかもクレカで支払っている段階でSIMロックを最初から外しておいてくれる。なので、その後キャリアショップに行くくらいだったら、Appleストアで全部済ませてしまった方がいいんじゃないかと思いました。

法林氏:それはその通りなんだけど、最大の難点は日本にAppleストアが少ないこと。あまりにも少なすぎる。

石野氏:アメリカくらい各地に広まってくれると、もっとお勧めできるんですけどね。

法林氏:総務省は端末と回線契約を分離したと言っているくらいなので、回線契約を5Gに切り替えるのはオンラインでできていいんじゃないかと思うんだけど、そういう話にはなっていない。総務省がきちんと仕事をしてないというのがよくわかりました。

石川氏:日本では通信と端末の分離と言っていますが、今、現実に何が起こっているかというと、キャリアとAppleが事前にネットワークと端末の調整をして、いかにちゃんと動くか調整している。おそらく、これから端末とネットワークがますます融合して通信を提供する世界になっていくんだろうなという気がしています。たぶん、通信と端末の分離というのは総務省だけが言っている机上の空論で、世界的にはそうじゃないのだろうと。今回のAppleの発表会で15キャリアのロゴが出ていたのがまさにそう。Appleとしても、5G対応iPhoneをちゃんと成功させるには、キャリアの力が必要だと認識していると思う。その辺のズレを感じました。

蚊帳の外に置かれた(?)楽天モバイル

石野氏:Appleとキャリアの連携のあおりを一番食らったのが楽天モバイル。SIMカードをiPhone 12シリーズに入れても、5G設定の項目すら表れない(2020年10月末時点)。

法林氏:楽天モバイルはモトローラにも相手にされていない。

石野氏:(笑)

房野氏:先日モトローラ・モビリティ・ジャパンが発表したSIMロックフリーの「moto g9 play」と「moto g PRO」は、「楽天モバイルを除く日本国内の通信キャリアでご使用いただけます」となっていますね。(moto g9 playは発売時KDDIネットワーク非対応。後日対応予定)

moto g9 play

石川氏:間に合わなかったと言っていましたっけ。

法林氏:恐らく、楽天モバイルで使えるかどうか、問い合わせが滅茶苦茶多いんだと思いますよ。だから、わざわざ「除く」って書いたんだと思う。

石野氏:松原社長(モトローラ・モビリティ・ジャパン 代表取締役社長 松原丈太氏)にインタビューしたんですけど、その時におっしゃっていたのが、「楽天ネットワークへの対応は工数が色々と多い」ということでした。ローミングの切り替えなどを入れないといけない。ちゃんとやらないといけないので工数がかかる。

房野氏:でも、そのうち対応するのでしょうか。

法林氏:その優先順位は上げられないでしょう。

石野氏:対応しないと言っていましたね。

石川氏:仮想化ネットワークはたぶん特殊なんだろうな。

法林氏:現時点ではそうだろうね。将来的にはああいう方向になるんだろうけど。

石川氏:楽天カスタマイズが必要なんだと思います。

法林氏:ちょっと脱線するけど、iPhoneユーザーだった知り合いが、楽天モバイルは1年間タダだし使ってみたいと言うので、僕の「Pixel 3a」を提供したんだけど、開通しないわけですよ。LTEにだけ接続するようにしても開通しない。しばらくしたら開通はした。だけど電話番号は「不明」となる。どの端末に挿してもずっと不明なんですよ。でも通信はできる。これはダメだなということで、SIMカードの再発行をしなさいと。そして楽天モバイルの対応端末である「P30 lite」で開通して、それからPixel 3aに挿したら、うまくいった。

石川氏:相変わらず開通問題を抱えているんですね。

法林氏:そう。まだおかしい。

石野氏:でも、楽天モバイルでは2020年10月12日からeSIMを含むSIMの交換・再発行が無料になったのはありがたい限りです。レビューの時に、もういろんな端末にeSIMを移しまくって、1日何回発行しているんだという状態でしたから。

法林氏:そのうち「1日3回まで」って言われるよ。

石野氏:楽天モバイル側にはコストが発生していますからね。自前でSIMを発行しているわけではないと思うので、SIMベンダーに対する支払いが発生しちゃっているでしょうね。1日に5回も6回も変えられたら嫌だろうな。

法林氏:「この石野って人に制限かけて」ってなるかも(笑)

石野氏:我ながら本当にひどいと思います(笑)。でも必要なのでね。

石川氏:SIMの交換・再発行も料金プランと同じく“UN-LIMIT”ってことで(笑)

 また話が外れるけど、楽天モバイルに関しては、すでにauローミングをやめ始めているという話がありました。

法林氏:楽天モバイルのネットワークが一定以上の人口カバー率になると、auへのローミングが終わるという契約になっている。すでに東京、大阪、奈良の一部はローミングできなくなっているけど、あれってわりとマズイよね。

石野氏:東京は一部ですけどね。

石川氏:楽天の意向でやめているようですね。

房野氏:楽天モバイルのネットワークがもう十分になったから、ということなんですか?

石川氏:楽天モバイルとしては早くやめたい。

法林氏:お金がかかるからね。

石川氏:だけど、たぶん、見立てが甘いというか、今ローミングをやめるのは厳しいんじゃないのかな……

法林氏:ローミングエリアと楽天モバイルエリアを行き来した時に、切り替えがちゃんとできない問題もある。

石野氏:建物の中で急に圏外になっちゃったりするかもしれない。東京23区はもともとローミングしていませんが、地下と建物内だけはローミングしていて、そこは残す。なんですけど、やっぱり今でも建物の中に入ったら急に圏外になるところがある。楽天モバイルは屋内基地局の数が少ないので、まだ穴はあるなという感じですね。

法林氏:穴だらけ。

石川氏:そりゃ無理だよ。だって大手キャリアはさ、それこそ日経新聞の「私の履歴書」で小野寺さん(KDDI相談役 小野寺 正氏)が3社合併(第二電電(DDI)、日本移動通信(IDO)、KDDの3社合併によってKDDIが誕生した2000年)の話をしていましたが、あの頃から基地局を建ててきた。当時から基地局を建て続けてきて、今のネットワークを構築しているわけで。

法林氏:簡単な話じゃない。

石川氏:簡単じゃないんだけど、楽天モバイルがローミングをやめたのはなぜかなと。

“5Gエリア競争”は起きるか

法林氏:iPhoneの話に戻すと、数が売れるであろう「iPhone 12 mini」の発売で、また回線切り替えの騒ぎが起きるかもしれない。iPhoneをキャリアショップもしくはキャリアのオンラインショップで買って切り替える人は平気だけど、SIMフリー版を買う人は要注意です。SIMフリーで買う人なんて大していないと思うかもしれないけど、今回はヨドバシカメラやビックカメラでもSIMフリー版を売っている。それに、みんなキャリアショップにあまり行きたくないと思っている。量販店やAppleストアで端末だけ買う人は増えるはず。

石野氏:ビックカメラは「LINE Payクーポン」も使えますし。

法林氏:そこで買って、SIMを入れ替えて5Gに切り替えようと思った時に、果たしてどうしましょうって話になる。そういうことが起きることがわかっているのに、auだけしか準備していない。キャリアは始末書を書けと言われかねないですよ。

石野氏:ドコモ、auはそこまで端末代を上乗せしていないけど、ソフトバンクは一括価格で2万円以上違うモデルもある。どこで買っても同じものなら安いところで買うのは当然。Appleストアにも行くしビックカメラにも行くしって感じ。だったらSIMフリー版の契約をもっとちゃんとしておかないと。

石川氏:auは事前に発表会があったので、そういった質問をされてニュースになって、なんとなく受け入れ準備ができていた。ドコモ、ソフトンバンクは何もアナウンスがなかったので、そこがちょっと問題かな。

房野氏:ちなみに、過去にiPhoneが登場した際はエリアの広さや通信速度が注目されて、キャリアの評価が変わったこともあったと思うんですが、今回、5Gに関してはどうでしょうか。

石川氏:今はどのキャリアも5Gエリアが狭いので何もないけど、KDDIとソフトバンクが4Gの周波数転用を始めたら一気に5Gエリアが広がるので、そこでドコモはヤバいことになるかもしれない。KDDIは2022年3月末までに5Gの人口カバー率90%でしょ。

石野氏:今年度末(2021年3月)で昼間の人口カバー率がその半分くらいまでいけると言っていました。

法林氏:KDDIは今年度末までに基地局1万局って言っていたよね。ドコモは2021年6月末までに1万局、2022年3月末で2万局。

石川氏:2022年3月末だと、KDDIは5万局と言っていますね。

房野氏:地方だと5Gに全然つながらない、みたいなことはあるでしょうか。

法林氏:それはないです。ただ、5Gに関しては3キャリアで明確に差があって……これは意見が割れているんですが、ユーザーが5Gに何を求めているか、でしょう。auのデータMAXプランは4G向け、5G向けがあって、どちらも使い放題。そんなに違いを気にしなくてもいい。ドコモは、5Gギガホでも普通のギガホでも容量の上限がある。5Gギガホはキャンペーンで使い放題になっていて、4Gエリアで使っても使い放題は変わらない。ユーザーは速度を求めるのか、それとも使い放題を求めるのか考えると、僕はユーザーは使い放題を求めていると思っている。もちろん、ピクトに5Gと表示されるのは嬉しい。でも、auの方が5Gでつながるエリアが広いから乗り換えるという話になるかといったら、それはならないと思います。

石川氏:実用的には大した違いはないんですけど、5Gエリアが広いよねっていう……

法林氏:見た目の印象の問題です。

石野氏:その印象を変えるための「FaceTime HD」とかですよね。Wi-Fiと5GエリアでFaceTimeが高画質になる。5Gエリアで体験できることがある。

法林氏:FaceTime HDはそんなに使われてないから。

石野氏:でも、今後は動画配信とかも高画質になってくるわけじゃないですか。となると、auが「体験価値で選ばれる」と言っているのは、そういうことかなと。

石川氏:いろんなキャリアの人がいた時に「自分は5Gだけどほかは4Gなんだ」みたいな話がどんどん積み重なっていくので、それでユーザーが乗り換えるかは別として、イメージ戦略としてはアリかな。

石野氏:同じ通信速度が出ていたとしていても、4Gだと動画が低画質になっちゃうわけじゃないですか。となると、5Gエリアは広げていた方がいいとは思います。

房野氏:主に、どのiPhoneを持っているユーザーが買い換えるのでしょうか。

法林氏:今回のメインターゲットは「iPhone 7」シリーズのユーザーだと思う。「iPhone 8」シリーズ、「iPhone X」もあるかな。でも「iPhone XS」は微妙。

iPhone 7/7 Plus

石野氏:妻はiPhone 8からの乗り換えです。

法林氏:今の買い換えサイクルは3年強くらい。2年はもう短いですよ。

石野氏:3年くらい前の端末でも、現役で普通に使えますしね。

法林氏:並べてみるとデザインは全然違う。iPhone 12シリーズのデザインは格好いい。

石野氏:シュッとしました。Xperiaが唯一、角張ったスマホだったのに、iPhoneが出て可哀想だなと(笑)

房野氏:またスマホはこういうデザインの方向性に戻るんでしょうね。

石野氏:iPhoneがデザインを変えると、中国メーカーのスマホのデザイントレンドも、そっちへと変わり始めるんですよね。

法林氏:それはあるね。

石川氏:そうなりますね。

房野氏:それから、iPhone 7を購入した当時は、ユーザーに盛大な割引があったわけですが。

法林氏:「一家4人でMNPしたら20万円ももらった」とかありましたね。今回その手は使えない。

房野氏:その人たちがiPhone 12シリーズに買い換えるとなると、端末の値段の印象が相当変わるでしょうね。

法林氏:一番高性能なモデルを買おうと思ったらとんでもない金額で、結局、iPhone 12を買うしかない、しかも容量が少ないものを、という選び方でしょうね。僕は今年の春、「iPhone SE(第2世代)」が出る直前に、iPhoneをやめたいという人がいるという話を記事で書いた。当時の最大容量モデルを買っていた人が、今は一番少ない64GBモデルしか買えない様相になっている、それはしんどいよねって話。価格も微妙ですよね。ACアダプタとイヤフォンを削ってもこの値段なんだ、という感じがします。

 一方で5万円の5G端末が買えるご時世ですよ。それなのになぜiPhoneには15万円も払うのって話じゃないですか。確かにiPhoneはすごくよくできた機械だとは思うけど。僕は、ユーザーはできることを求める時代に入っていると思っている。でもiPhoneは機械式腕時計や高級車になってきている。ドイツ車のメルセデスやBMWのような高級車路線になってきているけど、「いや、国産でトヨタのプリウスでいいと思うんだけど」というのが僕の考え方。値段の問題は大きい。

 iPhoneはこうです、動画を撮るとすごいですといっている。確かにDolby Visionの性能はすごいかもしれないけど、他社のスマホも8K動画は撮れる。同じ15万円だったらGalaxy Noteの方がよっぽどイノベーションが詰まっている気がする。値段とできること、載っているものの差があって、みなさん、そこのジャッジがiPhoneに対して甘いと思う。もうちょっとAppleに要求していいと思うんだけど、そういう声が挙がらないなと感じています。

MagSafeの磁力は少し気をつけた方がいい

法林氏:もう1つ気にしているのが、背面に磁石で充電器やアクセサリを付けられる「MagSafe」。MagSafe充電器を使ってみると、カチャッと付いてくれるし、ケースの上からでも付くし、充電スピードも速くて便利なんだけど、両方マグネットが入っているのって、ちょっと怖い。文房具のクリップもiPhoneの背面に付く。

石川氏:聞いたところによると、クレカは問題ないけど、ホテルのキーカードはデータが消えるかもしれないと。

法林氏:僕が一番怖いのは駐車券。

石川氏:あー、データが読み込めなくなりそうですね。

石野氏:なるべく一緒に持たない方がいいですよね。

法林氏:そう考えると、持つことに対してマイナス要因ができちゃっているなと。どうしたものかなというのが正直なところ。

石野氏:僕は磁力がさらに強いiPad Proをバッグに入れて、毎日、財布と一緒に持ち歩いていますけど、今のところ磁気は1度も飛んでいないです。

法林氏:ケースメーカーが気にしているよね。手帳タイプのケースを使う人が多いけど、みんな、いろんなものをはさむ。クレカの磁気テープは強いので、トラブルが起きる可能性はあるものの、ほかのものに比べると可能性は低いと思う。駐車券とか、ほかの磁気カード類は注意した方がいい。

石野氏:機械式腕時計はちょっと誤差が生じるという実験をしている人がいましたね。

石川氏:神経質にならなくてもいいけれど、ちょっと気にした方がいいかな。

石野氏:一緒のポケットに入れないとか。

法林氏:新幹線のチケットとか。

石野氏:それはもうApple PayのSuicaですよ。

法林氏:クレカや会員証のように、磁気ストライプがあるものは気をつけられるんだけど、駐車券や切符みたいなものはあまり意識していない。昔1度やったことがあって、落としたらいけないと思って、何も考えずiPadのカバーに駐車券をはさんだんですよ。それはダメだわって自分で思ったね(笑)。それ以来、僕は駐車券は名刺入れに入れています。

石野氏:磁気がダメになったらどうするんですか?

法林氏:賢い駐車場は入り口のところにカメラが付いているので、いつ入ったか車のナンバーでわかる。それで計算してくれる。

石野氏:無人のところは?

法林氏:それは電話するしかない(笑)

......続く!

次回は、5Gの未来について話し合う予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘

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