これまでも糖質のリスクについては説明してきましたが、最近は糖質制限を行う人も増えています。ご飯やパン、麺類といった炭水化物を食べ過ぎれば、糖尿病をはじめとしたあらゆる病気にかかりやすくなることは事実ですので、糖質制限は健康に寄与します。ただし、「適切なレベルであれば」という条件がつきます。免疫力を保持するためにも、一定量の炭水化物は必要です。
問題は、その炭水化物をどういう形で摂るか。それによって、あなたの健康度合いは変わってきます。白米や、白く精製された小麦粉からつくるパンや麺類はおすすめできません。それらは、本来の米や小麦に含まれていたビタミン、ミネラル、食物繊維という大切な栄養分が取り去られ、ほぼ糖質のみとなっています。
そのため、「エンプティカロリー」とも表現されます。カロリーはあるけれど、それだけでなんの栄養もないという意味です。こうしたものは、食べれば急激に血糖値が上昇し太ります。そして、太ったわりには、体は栄養失調状態になるのです。栄養失調状態になると、脳が「もっと食べろ」と命令を出し、さらに糖質を摂るようになります。この負のスパイラルは、あなたの免疫力をどんどん落としてしまいます。
また、食後血糖値が大きく上昇すると、糖尿病にかかりやすくなるのはもちろんのこと、先にも述べましたが、上がった血糖値を下げるために分泌されるインスリンの量も増え、老化が促進されます。さらに、大量の糖質を分解させるために、ビタミンB群も大量に消費します。
怖いのは、血糖値が上昇しただけでは、特段なんの自覚症状もないことです。だから、知らぬうちにたくさん食べて、体をおかしくしてしまうのです。白米や白い食パンなど精白された炭水化物は、極力食べないほうがいいでしょう。炭水化物を食べるときは、玄米や雑穀米、全粒粉からつくられたパンや麺類を選ぶようにしましょう。そこには、ビタミン、ミネラル、食物繊維がそのまま残っており、「ホールフード」と呼ばれています。
もう1つ、食品の「GI値」という指標も参考にしてください。GIとは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度合いを示す指数です。
主な食品のGI値をまとめました。
炭水化物だけでなく、じゃがいもなどの根菜類やせんべいなどのスナック類は、とくに注意が必要です。「炭水化物は控えめに、食べるならホールフード」。これが健康意識の高い人たちの常識となっています。
以上、これら「絶対食」と「カラダが喜ぶ食べ方」を意識した食事術を実践していれば、病気や老化を予防できるだけでなく、日々の体調の変化が必ず実感できるようになるはずです。
健康資産を確実に増やすための極めて堅実な「カラダへの投資」と考えてください。
◾️関連情報
『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』
文/満尾正(みつお・ただし)
米国先端医療学会理事、医学博士。1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療の現場などに従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の資格を併せ持つ、唯一の日本人医師。著書に『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』(小学館)など。