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サイズ、色、ツヤが外国産とは全く違う!進化する和製アボカドのおいしい食べ方

2020.12.02

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

完熟してもツヤのあるグリーンを保ちクリーミーな味わい

日本本土最南位置する鹿児島県南大隅町は、温暖な気候を生かしたマンゴー、パッションフルーツ、ライチなど熱帯果樹類の生産が盛んな地域。10月から冬にかけて収穫されるのが「和製アボカド」で、一般に流通しているメキシコ産に比べて大きく、クリーミーな味わいがあり、完熟に近い状態で収穫をするので、表皮は黒くならず完熟してもグリーンのままというのも特徴のひとつ。

フルーツ専門店「新宿高野」にて、南大隅町産のアボカド体験試食会が開催された。南大隅町で最初にアボカド栽培を手掛けた生産者の濵田祐一朗さん(下記画像右)、アボカド生産を推進する南大隅町役場の増田祐介さん(同左)が、和製アボカドの魅力やおいしさをPRした。


南大隅町がアボカド栽培を推進する理由として、高齢化率が高い同町での耕作放棄地を活かす取り組みとして、アボカドの種の中にサルが嫌う成分があることから鳥獣被害の軽減対策として、温暖な気候風土を活用した果物作りへの挑戦などを挙げている。

「アボカド生産は9年前からスタートし、濵田さんが第1号の生産者。徐々に生産者が増え、現在は30名以上が生産に携わっている。アボカドは1000種類ほどの品種があるが、南大隅町の環境に合った品種を研究し、現段階では『ベーコン』『ピンカートン』『フェルテ』『ハス』の4系統をメインにしている。品種によって旬の時期が変わるが、ベーコンは10月、ピンカートンは11月下旬~12月末まで。町として、専門家による技術指導、苗木や、風に弱いアボカドから樹木を守るための防風資材の半額助成、町とJAが連携しての販売といった支援を行っている」(増田さん)

アボカドの出荷の様子は町の広報誌でも紹介され(※下記は「広報みなみおおすみ2017年11月号」より引用)、町としてアボカド栽培に期待している様子がうかがえる。

「耕作放棄地を開拓した露地栽培で、10アールほどの面積にベーコン、ハス、フェルテ、地元園芸店で購入した品種不明の4種、計38本から始めた。今年は9年目で、剪定しても3mを超えるほどになっている。台風や強風への防風対策として、ベーコン、ピンカートンのハウス栽培も3年前から開始した。露地栽培は形が崩れたり、しみのようなものができたりするが、ハウスは光沢も形もきれいなものができるので贈答用には適している。

アボカドは国内での登録農薬がないため無農薬で栽培しており、露地栽培の方はカメムシの病害虫被害が昨年はひどく半分以上ダメになったが、今年は木酢を木にぶら下げたところ、ある程度の被害は抑えられた。熱帯果樹の天敵として炭疽病には一番苦労している。土中にある炭疽菌対策として、製茶工場からお茶かすをもらってまいたり、笹や竹を発酵させたものをパウダーにしてまいたりと、さまざまな試みを行っている」(濵田さん)

濵田さんが栽培している「ピンカートン」は約450g、「ベーコン」は約300g。スーパーなどで流通されているメキシコ産「ハス」と比べると、その大きさがわかる。

現在は生産量が少ないため、地元のJAや、百貨店「山形屋」を通じた販売、ECサイト「やっちゃば倶楽部」のみでの取り扱い。山形屋での店頭ではピンカートンは3000~4000円で販売されている。

「アボカドは品種が多く、1㎏にもなる品種もある。今、国内で生産しているのはピンカートンとベーコンがほとんどだが、今後は差別化を図るために種類が増えてくると思う。実は弟も農業を始めて、そこで『リード』とか『モンロー』といった大玉を栽培する計画も進めている。後から参入した農家も今年で5~6年目を迎えたので、そろそろ実がなる時期。南大隅町以外でも取り組み始めているので、数年後には生産量が増えて価格も下がり、関東も含め流通範囲も広くなってくると思う」(濵田さん)

生産者おすすめの国産アボカドのおいしい食べ方

濵田さんの好きな品種は、最初に栽培をした思い入れのあるベーコンだという。ピンカートンはあまりアボカドらしさを主張しないので、さまざまな食材と合わせることができて、フェルテ、ベーコン、フェルテは油分もあり個性が強く、アボカドそのものの味を楽しめる。

アボカドというと生でサラダやディップに使うイメージが強いが、加熱して食べるのが濱田さんのおすすめの食べ方だとか。

「スーパーで買ったアボカドがまだ固いときはかぼちゃのようにスライスして、天ぷらにするとてもおいしい。固めの場合は加熱すると、とろとろの食感になる。ただし柔らかい状態で天ぷらにすると、どろりとして形をとどめなくなるので要注意。

ある程度の柔らかさがあれば、種を取り除いてその部分にアンチョビとオリーブオイルを入れて、オーブンでホイル焼きにするとおいしい。

早く柔らかくさせたい場合は、冷蔵庫に入れずに常温で、りんごと一緒に置くとりんごが発するエチレンガスにより早く成熟ができる。へたの部分が動くようになれば食べごろの目安」(濱田さん)

タカノフルーツパーラー チーフ フルーツクチュリエの亀山隆之さんによる、アボカド(ピンカートン)カッティング実演も行われた。

「私も国産のアボカドは初めて食べた。非常になめらかで繊細な、今まで食べたことのない味わい。普段食べている外国産と違い、時間が経っても色が褐変せず、6時間近く経過してもほぼ色が変わらないことには本当に驚いた。まだ流通量は少ないが、料理としてもとても使いやすいのではないか。果実の色も緑と黄色が鮮やか。フルーツのカッティングでは皮も表情のひとつとなるが、果肉の色が変わらず皮も薄いので折り曲げることができ、それらを活かした細工ができるのは和製アボカドの魅力」(亀山さん)

【AJの読み】第2の国産マンゴーとなるか?国産アボカドの秘めたるポテンシャル

家族がアボカド好きで頻繁に購入するが、ほとんどディップのワカモレにしているので、皮が黒く変化する完熟で食べることが多い。和製アボカドは初めて見たが、大きさはもちろん、緑色でつやつやした状態で完熟ということにも驚いた。

今回、発表会用の特別メニューを新宿高野でいただいた。ピンカートンとベーコンで味が異なるが、どんな素材との組み合わせでも相性がよく、さっぱりと食べられるのがピンカートン、油分がありクリーミーなのがベーコン。どちらが好きかと問われて、料理としてもおいしいピンカートンを選んだが、コクのあるベーコンもおいしかったので、どちらか選べないというのが本音。

〇アボカド(ベーコン)とバナナのミルクスムージー

タカノフルーツパーラーのパフェで使っている、ソフトクリームになる前の液状ソフトミックスと牛乳、バナナ、ベーコンをミキサーにかけたミルクスムージー。バナナの味が最初に感じるが、後味としてアボカドの風味やコクが来る。クセがなくとても飲みやすい。

〇ベーコンとピンカートンの食べ比べ

左がピンカートン、右がベーコン。ベーコンは種が大きいためアーチも大きくなっている。おすすめの食べ合わせとして生ハムと、好みで胡椒、メープルシロップで味変を楽しむ。

個人的には、ピンカートンは生ハム、胡椒との組み合わせ、ベーコンはメープルシロップの組み合わせが◎。

〇アボカド(ピンカートン)と鶏のグリル~アボカド甘辛ソース~

アボカドは淡泊な素材とよく合う。蒸した鶏をさらにグリルし、その上にアボカドをのせてバーナーで炙っている。炙ったアボカドはピンカートン、ソースにはベーコンを使用。ソースの味付けは醤油、みりんと、フルーティーさを出すために甘味と酸味のあるオレンジジュース、アクセントとして刻んだピクルスを使っている。

アボカドは加熱すると香ばしさが増し、まるで中トロのような食感に変化。ソースも醤油やみりんといった和風調味料と合わせても全く違和感のない味に仕上がっていた。今回のメニューで一番好きだった一品。

〇アボカド(ピンカートン)とチェリーモッツァレラのサラダ

オリーブオイル、塩コショウのシンプルな味付け。ベーコンを使用したアボカドディップはゆで卵、レモン汁、塩、塩コショウで味付けし海老を添えて。青臭さがほとんどないので、シンプルなサラダでもおいしく、ディップは調味料をあまり加えなくても素材のおいしさが楽しめる。

〇アボカド(ピンカートン)とりんごのホットデザート

青臭みのなさはどの素材と合わせやすく、デザートとしても活用できる。温めることでさらに口当たりがなめらかになるため、アップルパイ感覚のデザートに仕上げた。カスタードや生クリームと合わせて食べても違和感がなく、「果実」としてのアボカドが楽しめる一品。

文/阿部純子

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