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コロナ禍で正社員不足が際立っている業種は教育サービスと電気通信関連

2020.12.01

正社員不足は34.0%、業種別では「教育サービス」「電気通信」の増加が目立つ

厚生労働省によると、新型コロナウイルスの影響による解雇やその見込みがある労働者数は7万1,121人となり(2020年11月13日時点)、ペースは鈍化しているものの増加し続けている。

採用や雇用の動向に対する懸念は残るが、企業の生産・出荷や個人消費の回復などで国内景気は低水準ながら徐々に持ち直し始めてきた。

人手不足は緊急事態宣言の期間に大幅に緩和したものの、その動向が引き続き注目される。そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。調査は、TDB景気動向調査2020年10月調査とともに行った。

現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員について「不足」していると回答した企業は34.0%となった。5割を上回っていた前年同月から16.1ポイント減少し10月としては5年ぶりの3割台、2013年(33.4%)に近い水準まで低下した。「適正」と回答した企業は46.7%で同5.6ポイント増加し、半数近くの企業が人手は適正と感じている。一方、「過剰」と回答した企業は19.3%で同10.5ポイント増となった。

「不足」している企業を業種別にみると、オンライン授業の需要が増加している「教育サービス」が62.5%(前年同月比8.0ポイント増)でトップとなった。また、同様にリモートワークなどで需要の拡大がみられる「電気通信」(60.0%、同23.6ポイント増)も高く、この2業種の増加が目立っている。次いで、災害復旧などの公共工事が堅調な「建設」(55.9%、同14.5ポイント減)、「農・林・水産」(54.7%、同10.0ポイント減)が続き、「家電・情報機器小売」(52.8%、同12.2ポイント増)も前年同月から増加し5割を超えている。

規模別にみると、「大企業」(39.4%)は6割を上回っていた前年同月から22.0ポイント減少となり、全体より減少幅が大きい。「中小企業」は32.9%(同14.4ポイント減)、「小規模企業」は33.1%(同10.7ポイント減)となり、いずれも10ポイント以上減少した。ただ、各規模とも2020年6月以降は増加傾向にあり、特に小規模企業は2020年5月(26.8%)から6.3ポイント増加している。

人手不足割合は緊急事態宣言期間の5月を底に、緩やかに増加傾向

人手不足割合を月次の推移でみると、緊急事態宣言が発出され経済活動が停滞した4月に正社員・非正社員ともに大幅に減少した。そして同宣言が続いた5月を底に、緩やかな増加傾向となっている。一方で、人手過剰の割合は徐々に減少している。

企業からは、「人手不足だったが、新型コロナウイルスで影響を受けた業界から人手が流れ、心配が薄れてきている」(ガソリンスタンド、山梨県)といった声がある一方で、「引き続き技術担当社員は不足気味」(給排水・衛生設備工事、長野県)などの意見もみられた。

 

非正社員不足は19.0%、「家具類小売」や「電気通信」の人手不足割合が目立つ

非正社員が「不足」していると回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は19.0%となり(前年同月比10.3ポイント減)、2012年10月(15.8%)以来、10月としては8年ぶりに2割を下回った。「適正」は64.5%(同1.9ポイント増)だった一方で、「過剰」は16.5%(同8.4ポイント増)となり大きく増加している。

業種別にみると「家具類小売」が43.8%(同25.6ポイント増)で最も高く、「飲食料品小売」(41.8%、同18.9ポイント減)や「メンテナンス・警備・検査」(41.7%、同12.9ポイント減)も4割台で続いている。以下、「教育サービス」(39.1%、同13.3ポイント減)、「農・林・水産」(38.3%、同15.0ポイント減)、「旅館・ホテル」(38.2%、同23.7ポイント減)、「電気通信」(37.5%、同7.5ポイント増)と続いた。

規模別では、「大企業」は19.7%(同14.0ポイント減)、「中小企業」は18.9%(同9.2ポイント減)、「小規模企業」は20.1%(同9.3ポイント減)となった。月次でみると、特に小規模企業では7カ月ぶりに2割を上回り、徐々に人手不足割合は増加している。

「旅館・ホテル」では人手不足が上昇傾向、「飲食店」は6月以降横ばいで推移

2020年1月まで人手不足が顕著だった「飲食店」と「旅館・ホテル」について、月次推移による分析を行った。両業種とも新型コロナウイルスにより深刻な打撃を受けGo Toキャンペーンの対象となっているが、「飲食店」では緊急事態宣言が解除されて以降、正社員・非正社員ともにほぼ横ばいで推移している。一方で「旅館・ホテル」は、「Go Toトラベル」が本格化し始めた8月以降に大きく増加し、特に正社員の人手不足割合は直近10月には4割を上回った。非正社員も同様の傾向で推移している。

人手の過剰割合、「出版・印刷」や「繊維・繊維製品・服飾品製造」が目立つ

人手を「過剰」としている割合を業種別にみると、正社員ではイベントの中止・延期によってポスターなどの需要が減少した「出版・印刷」(43.8%)が最も高く、自動車関連の「輸送用機械・器具製造」(42.5%)も4割台で続いた。

非正社員では、アパレル関連を含む「繊維・繊維製品・服飾品製造」と、「飲食店」(ともに36.4%)が最も高い。また、正社員・非正社員ともに、製造業が上位となっている。

人手不足は緩やかに増加、今のうちに生産性向上に向けた取り組みが必要

「TDB景気動向調査」(帝国データバンク)によると、10月の景気DIは33.8と前月から2.2ポイント増加した。国内景気は低水準ながら持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルスの感染者数が再び拡大し始めるなど、先行き不透明感が強まっている。

こうしたなか、正社員の人手不足を感じている企業は34.0%となり、10月としては5年ぶりの3割台となった。非正社員は前年同月から10.3ポイント減少の19.0%となった。

しかし月次でみると、緊急事態宣言が発出されていた5月を底に、人手不足は緩やかに増加している。業種別では、オンライン需要の高まりによる影響がみられた「教育サービス」と「電気通信」の人手不足が目立っている。これに対して、「出版・印刷」や「輸送用機械・器具製造」では人手を過剰とする割合が高い。また、Go Toキャンペーンの対象となっている「飲食店」「旅館・ホテル」では、飲食店では6月以降横ばいで推移しているものの、旅館・ホテルの人手不足は増加傾向にある。

2020年は新型コロナウイルスの影響で企業活動が制約され、人手不足は急速に緩和した。国内景気は持ち直しの動きをみせているなか、業務量及び人手不足も少しずつ増加している。2019年までは、人手不足が企業にとって懸念事項の筆頭だった(帝国データバンク「2020年の景気見通しに対する企業の意識調査」)。

今後さらに景気が上向いた際に、再び人手不足が課題となる可能性がある。そのため、企業には今の段階からデジタル化や各種業務の見直しなど生産性向上に向けた取り組みが求められる。

構成/ino.

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