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【金子浩久のくるまコンシェルジュ】ボルボ「XC60 AWD B5 Inscription」

2020.11.29

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 最近のクルマの多機能、高機能ぶりには眼を見張るばかりだ。特に、運転支援技術やパワートレインの電動化、インターネットへの接続などは、どれもこれも新しいものばかり。新しいから、その更新ぶりも日進月歩。「そんなことまでできてしまうのか!?」と、日頃から多くのクルマを取材している専門家でさえも驚かされてしまっている。まだまだ馴染みの薄い新技術や走りっぷりを自動車評論家の金子浩久が相談者とともに運転しながら試し、その効能と真価を探っていこうという読者参加型企画です。

◎今回の相談者  KSさん
◎今回のクルマ  ボルボ「XC60 AWD B5 Inscription」

KSさんは50歳代。外資系企業勤務。現在、2013年式アウディ「S6アバント」を新車以来使用中。クルマの使い途は、片道約50kmの通勤の他、オフタイムのゴルフや妻とワンコ2匹と一緒に東北や四国への長距離ドライブ旅行を楽しんでいる。今回、コンシェルジュを訪ねた目的は2つ。SUVに買い替えようかと検討していることと、その際には運転支援機能に代表される最新の安全装備が充実しているクルマを選びたいが、それらがどのようなものなのかを運転して体験してみたいというものだ。

 読者代表のKSさんに、金子浩久がリコメンドするSUVの第4弾は、ボルボ「XC60 AWD B5 Inscription」。どんな地形もモノともせずに地球の果てまで走って行けそうな本格オフローダーの「レンジローバーPHEV」とランドローバー「ディフェンダー110」の2台。また、それらとは対照的なシトロエン「C5 AIRCROSS」などに続いて「XC60 AWD B5 Inscription(以下、XC60)」をリコメンドするのは、クルマ造りにおいて安全性の向上を一貫して追い求めてきているボルボのクルマ造りを、ぜひKSさんに体感してもらいたいと考えたからだ。

 KSさんの元に乗って行ったのは「XC60」の4輪駆動版の「AWD」で、パワートレインはターボチャージャーが組み合わされた2.0L、4気筒ガソリンエンジンに48Vのマイルドハイブリッドシステムを備える「B5」だ。「Inscription」は、レザーシートやドリフトウッドなどを用いたラグジュアリーなインテリアを持っている。車両本体価格は734万円。エアサスペンションやB&Wのオーディオシステム、ガラスサンルーフ、パールホワイト塗装など、その他のオプションを含んだ価格は832万4000円。

 KSさんは、以前に知人が乗っていたボルボに乗せてもらったことはあるが、運転するのは初めてだという。

「でも、ボルボが安全に重きを置いてクルマ造りを行っているメーカーだということは知っています」

「XC60」をKSさんにリコメンドするにあたり、改めて車載の使用説明書を読んでみた。各部分の使用方法が記述される中に、何か所か次のような主旨の呼び掛けが書かれていたのが印象的だった。

「最新のボルボ車は、最新の技術によって乗員および周囲の安全を確保できるように造られています。そのためには、ドライバーも体調を整えるなど、コンディションを整えるように努めてほしい」

 メーカーが一方的に“安全なクルマを造りました”と言い切って終わりなのではなく、“安全を少しでも確かなものにするためには運転するドライバーのコンディションも大切だから、協力してくれ”と言わんとしている。クルマの安全というものを総合的に捉え、自動化が進んだとはいえ、まだまだドライバーの運転が左右することの大きさを良く認識している。安全はメーカーとドライバーがともに意識し、努めるものだと宣言しているようで高い意識がうかがえるのには大いに感心させられた。

 僕の運転で住宅街を抜け、国道へ合流。マイルドハイブリッドだから、モーターだけで走ることこそないものの、モーターのアシストによる加速は滑らかだし、エンジン回転の上下も穏やかだ。この「B5」というグレードでは、2.0L、4気筒ターボエンジンは、250ps/5400〜5700rpmの最高出力と35.7kgm/1800〜4800rpmの最大トルクを発生している。これが、ターボチャージャーに併せてさらに電動スーパーチャージャーを加えた「B6」となると、最高出力は300ps/5400rpm、最大トルクは42.8kgm/2100〜4800rpmにまで強化される。

 前々回に乗ってもらったランドローバー「ディフェンダー110」のエンジンも、同じ2.0L、4気筒ターボだったが、最高出力は300ps/5500rpm、最大トルクは40.8kgm/1500〜4000といずれも「XC60」よりも勝っている。しかし、重量が2240kgと1920kgの「XC60」よりも300kg以上重いことを考え合わせれば、「XC60」の小気味良さにも合点が行くことだろう。国道を走りながら、最近のボルボのパワートレインについてKSさんに説明した。

「驚くことに、現在のボルボ車のエンジンはすべてこの4気筒エンジンを上限にしているのです。それから1気筒取り除いた3気筒が存在しているだけで、かつてのような5気筒や6気筒、ましてやV8などは使っていません」

 その代わりに、その4気筒にターボチャージャーやスーパーチャージャーなどを組み合わせてパワフル版を複数仕立て上げている。さらには、そこに48Vのマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドシステムも組み合わせ、すべてのパートレインの電動化も完了した。もちろん、バッテリーと電気モーターだけで走るEVもスタンバイしている。

 つまり、電動化をいち早く見越してエンジンを4気筒だけに整理した。それを前提にプラットフォームも一新した。横置きの2.0L、4気筒しか用いず、追加で過給機や電動化を行うことを決めてしまえば、プラットフォームの設計も明確になり、一気に進む。また、それら一連の改革というかニューモデルの開発もマーケットに対して時期を明言しながら進められていた。

 もちろん、かつてはアメリカのフォード・グループの一員であったことから一転して、中国のジーリー傘下に入ったことによる態勢の一大転換があってのことだが、実に見事ではないか。時流を的確に捉えながら、経営と技術と商品企画が一体化している。

「経営陣が正しく決断できたからなのでしょうね」

 同感だ。技術にも秀でているが、経営も同時に優れている。もちろん、以前のボルボに4気筒から8気筒までの、様々な形式のエンジンがラインナップされていたのは、親会社であるフォードの意向が大きかった。そのファミリーを離れた時に、然るべき戦略を整えることができたのが成功の鍵だったのだと思う。

「たしかに、昔のボルボにはスポーツモデルなどもあったように憶えていますが、ある時から“安全”と“北欧デザイン”にクルマ造りを特化したように見えました」

 スポーツモデルどころか、ずっと昔には、ボルボ自らがモータースポーツにも積極的に参加していた。他の自動車メーカーと同じように、何にでも手を出していたのだ。

「経営する上で、そこは難しいんですよね。同業他社と同じ土俵に立って、どこまで同じことで競うのか?という判断が」

 モータースポーツなんて、最もわかりやすい例だろう。

「BtoCのメーカーは、ある程度のサイズになると、そこで悩むんですよ。どのぐらい独自性を出すべきなのかって。仮に、モータースポーツで他社を打ち負かして“レースに強いブランド”というイメージは得られたとしても、そのことがどれだけブランドの価値を高めることに寄与するかわかりません。“レースに強いクルマ”というのは、これまでにもたくさん存在していて、そのひとつとなるに過ぎないからです。“レースに強いクルマ”というのは、ずっと昔からある、決して新しいものではありません。それよりも、今までになかった独自の方向性や独自の価値を作り出していくことの方が大事なのでは?と考えたりもしてしまいます」

 名前を挙げれば誰でも知っている、他分野のBtoCのメーカーの経営に携わっているKSさんにとって、ボルボの成功は決して簡単なものではなかっただろうと想像できて、よく理解できるのだ。

「その業界のトップや2位ぐらいになると、やっていることはどうしても似てきてしまう。それがスタンダードと化してしまい、メーカーは脱したいと思っても、いつまでも客からスタンダードを求められてしまうから、客の意識を変えることから始めなければならなくなったりするんです。だから、僕にはボルボは良いポジションにあると思うし、うまくやっているように見えますね」

 国道から高速道路に乗り、巡航を始めた。

「運転支援の表示が、これまでの3台よりもだいぶ小さいですね」

 たしかに、そうなのだ。スピードメーター自体はデジタル表示されるのだが、運転支援の表示はスピード表示の数字の下に小さく表されるだけだ。これまでの3台のように、メーター間やメーターを切り替えて大きく表示されるわけではない。3台のそれらよりも、ざっと3分の1ぐらいの小ささだ。

 ボルボは、他社に先駆け、いち早くACC(アダプティブ・クルーズコントロール)やLKAS(レーンキープアシスト)などの運転支援機能をクルマに組み込んだ。しかし、それが早かったが故に表示も当時の標準としては見やすいものだったが、現在の標準では小さく見てしまっている。世界中の自動車メーカーで運転支援機能の拡充が一気に進み、そのディスプレイも大型化し、高画質で見やすいものに移行するスピードが早かったから、
“先行者”のボルボのそれが見劣りしてしまっている。

「センターの縦型モニターパネルも登場した時はセンセーショナルでしたが、今の標準では大きくもありませんね」

 こうしたデバイスは日進月歩だから、次のマイナーチェンジかモデルチェンジで大きく改められてくるのだろう。高速道路を降りて、峠道を上がったところで運転を代わった。
「運転しやすいですね。視界も良いし、アクセルペダルを踏むと、スッと発進するのも滑らか。ディフェンダーよりも馬力が少ない、とさっき金子さんから聞いて想像していたほどじゃ全然ないですね。とてもスムーズじゃないですか。48Vのアシストなんですね」

 発進だけではなく、走行中の加速の際にもモーターはエンジンをアシストしている。コーナーとアップダウンが続くところで、走行モードの「ダイナミック」を選んでみる。

「過激じゃないのがいいですね。僕の『S6アバント』だったら“コンフォート”ぐらいの感じですよ」

 暴走防止のハンプの施された路面を通っても、激しく上下に揺すられることもない。ここで「コンフォート」に切り替えてみると、さすがに緩やかな上下動が続く。このクルマなりにダイナミックとコンフォートは違いを出している。峠道を降りて、高速道路に乗った。さっそく、ACCとLKASを試している。

「僕にとって、運転支援機能のチェックは、今回のクルマ選びの最大のモチベーションですから。ハハハハハハッ」

 愛車の「S6アバント」には、アダプティブではないクルーズコントロールしか装備されていないのは7年前のクルマで、運転支援機能の装備が一般化する寸前のところだったからだ。本連載第1回目で紹介した「レンジローバーPHEV」に乗って、KSさんはACCとLKASを初めて体験した。

 それは、まさに“眼から鱗”だったようで、次のクルマには欠かせないと断言した。2回目の「ディフェンダー110」も「C5 AIRCROSS」も最新版のドライバーインターフェースが施されていたので、ACCとLKASがとても大きく見やすいものだった。

「ステアリングへのアシストが強いですね。今までの3台よりも強いように感じます。車線からハミ出ようとするのを感知するのも早いし、戻す力も強いように感じます」

 戻すタイミングと強さなども一様ではなく、カーブの曲率やクルマの向いている向きなど、状況によって調整されているようだ。

「表示は物足らないですが、働きぶりは力強くて頼もしいですね」

 ある一定の速度とアクセル開度で走っていると、この4気筒エンジンは気筒停止機能が働いて2気筒を止めて省燃費に努めようともしている。

「それが働いているかどうかは、運転していてもわかりませんね」

 僕もわからなかった。KSさんのiPhoneをクルマに繋ぎ、Apple CarPlayを使ってSpotifyで音楽を再生した。このクルマには、オプションのB&Wのオーディオシステムが装備されているから、とても音がいい。KSさんは自宅でB&Wの805を使っているほど音楽好きだが、決してオーディオマニアではない。

「一時はオーディオに凝りかけたこともありましたが、スピーカーだけに止めました。アンプやプレーヤー、はては電源や部屋にまで凝っていくと、追い求めるのが“音楽”ではなく“音質”になってしまいますからね。スピーカーの前で正座して聞くこともないですし」

 僕も一緒だ。学生時代はアンプやスピーカーを自作してまでいた。今でも興味はあるけれども、“スピーカーの前で正座して”音質追求しなくても楽しめるようになった。同じ曲やミュージシャンを再生して音質を云々するよりも、Spotifyがリコメンドしてくる知らないミュージシャンや初めて聴く曲にワクワクする。音楽の楽しみは新しい出会いにあると思うようになった。だから、KSさんも僕も運転中にSpotifyを聴くことが最も日常的な音楽体験だ。

「このB&Wは上質なので、ぜひ選びたいですね」

 33万円のオプションだ。第1回からの探究テーマとして「最新のSUVに乗れば、運転中の空間と時間を充実させることができるのではないか?」があった。どういうことかというと、これまで、運転中は運転しかすることがなかった。しかし、運転支援を受けながら、インターネットに接続すれば、行えることが一気に増える。仕事や雑用もあれば、音楽鑑賞のように、楽しみも享受できる。

 車内は、黙々と運転操作だけを行う空間ではなくなったのだ。Spotifyなどのサブスクリプションサービスだったら、膨大な音源にアクセスできて、好みの楽曲やアーティストをリコメンドしてくれる。自宅やスマートフォンなどとシームレスに聞き続けることができたり、書物の朗読アプリやラジオ番組のアーカイブにもアクセスできる。

 ホームページにも書かれているが、「新型ボルボ車に乗ることで、運転操作に費やしていた時間を1年間のうち1週間分、2025年までに取り戻す」ことを目標に掲げている。さまざまなテクノロジーの進化によって、クルマ側で行える運転操作はどんどん移行させ、その時間はドライバーに他のことに使ってもらおうとしている。

 オーディオひとつ取っても、従来のものとは較べものにならないくらい幅広い楽しみ方ができるのだ。だから、運転支援機能やコネクティビティ機能をフルに活用することによって、運転中の空間を充実させることは十分に可能だし、そのために存在しているとも言える。完全な自動運転の実現にはまだ時間が掛かるだろうが、運転の負担はこのように少しづつ減っている。ボルボはそれをとても自覚的にユーザーの便益に還元しようとしている。

「もし『XC60』に買い換えたとすると、妻も運転することになります。妻のクルマになってしまうかもしれません。でも、このクルマならば、そうなっても構わないと思えますね。運転しやすいですからね。妻用のクルマにならなかったとしても、どこかに旅行して長距離運転の末に運転を代わってもらいやすい。豊富な安全装備と、しっかりとした運転支援機能などが備わっているので安心して任せられます」

 運転を代わってからまだあまり時間が経っていないのに、KSさんはすっかり「XC60」に慣れてしまっている。

「レンジローバーとディフェンダーはボディの大きさに、C5 AIRCROSSはディーゼルエンジンの加減速に慣れるのに少し時間を要しましたが、XC60には慣れを要するものは何もありませんね」

 では、買い換えるのは「XC60」に決まりですか?

「それは違うんですよ。スゴく買いたいとも思わない反面、絶対に買わないとも断言できないんです」

 わかるような、わからないような?

「強いて不満点を挙げると、さきほど指摘したACCとLKASの表示が小さなことぐらいで、他に何もネガティブなところが見当たらないんです。すべてが中庸で、バランスが取れている。おまけに、安全に関する姿勢はどこのメーカーよりもユーザーに寄り添っていて、それがキチンと製品に結実している」

 じゃあ、文句ないじゃないですか?

「ええ。文句ないんです。でも、“多少の欠点がわかっていて、何がなんでも手に入れたい”と思わせるクルマやモノの対極にあるんですね。だから、今、猛烈に欲しい気持ちが湧き上がってこないだけで、2日、3日してからジワジワと欲しくなってくるかもしれないですよ」

「XC60」は、そういったタイプのクルマなのかもしれない。また、KSさんが関心を寄せたのは、横浜にある、ボルボカーズ・ジャパンの運営する「ボルボ・クラシックガレージ」の存在だ。10年、15年と乗り続けて古くなったボルボ車の整備を行い、本格的なレストアなども積極的に受け付けている。

「クルマに限らず、気に入ったモノとずっと付き合っていきいたいという価値観が特別視されなくなりましたし、僕も次に買うクルマは長く乗りたい。クラシックガレージのようなセクションが設けられているのは心強い限りです」

 レンジローバーPHEV、ディフェンダー110、C5 AIRCROSSときて、XC60。KSさんは奥深いSUVの世界を体験することとなったが、クルマ選びは一層、混沌としてきた。次回は、ドイツのあのクルマです!

■関連情報
https://www.volvocars.com/jp/cars/new-models/xc60

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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