新型コロナウイルス感染症など、あらゆる病気に負けないための「免疫力」は、日々の食事を改善することで大幅に高められるという。「すべてはいつ、何をどう食べるか」と助言するのは、著書『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』が話題の満尾正医師だ。
コロナ禍の今、どんな人でも積極的に食べたほうがいい「絶対食」と、食事のパフォーマンスを高める「カラダが喜ぶ食べ方」があるという。それら「最強の食事術」について、満尾医師が解説する。
アメリカで、ナッツが健康に与える影響について興味深い研究がなされました。その研究では、19歳以上の約1万4000人を対象に、1日あたり7グラム以上のナッツを摂取する習慣のある群と、そうではない群に分けて比較が行われました。
すると、摂取する習慣のある群のほうが、肥満度合いを示すBMI値、上の血圧(収縮期血圧)、HOMA指数(インスリン抵抗性を示す数値)などが軒並み低く、その一方で善玉コレステロール値は高いという、非常にいい傾向が見られたそうです。
こうした研究結果は、ナッツには心臓疾患を予防する効果があるだろう可能性を示唆しています。なお、この研究で調べられたナッツは、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ピーカンナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミの9種類です。ピスタチオに関しては、スペインで行われた糖尿病予備軍の人たちを対象にした、細胞の働きを調べる研究でも、好ましい結果が出ています。
4カ月ピスタチオを摂取すると、糖尿病の予防に寄与するだけでなく、細胞の寿命自体をのばすことがわかったというのです。ナッツには、オリーブオイルにも豊富な、体にいい油脂や、食物繊維、カルシウム、カリウム、葉酸、マグネシウムといった重要な栄養素が含まれているからだと思われます。
7gというと、大人の手で一握りくらいです。みなさんも、1日7gのナッツを小腹の空いたときのおやつ代わりに食べてはどうでしょう。もちろん、お酒のつまみにも向いています。
ただ、市販のミックスナッツは塩分が多く使われ、酸化した悪い油が含まれているものもあります。できれば無塩の高品質のものを選ぶようにしてください。ちなみに、ナッツは樹木になる実で「種実類」に分類され、豆類のピーナッツは仲間ではありません。
◾️関連情報
『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』
文/満尾正(みつお・ただし)
米国先端医療学会理事、医学博士。1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療の現場などに従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の資格を併せ持つ、唯一の日本人医師。著書に『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』(小学館)など。