
適材適所に人員を配置し、状況に応じた戦略をとる。将棋と、現代を生きる私たちの目指すべき姿勢には通じるものがあるのでは―そんな発想から、将棋の戦術をビジネスマンの生活にたとえてみました!
チームの戦術(1)
若手社員に活気が欲しい →「棒銀戦法」で前線サポート
銀が敵陣に切り込み、その真後ろに飛車が控えてサポートする――江戸時代から用いられているという「棒銀戦法」は、初心者でも扱いやすいシンプルな戦術な一方で、2017年まで活躍した天才棋士・加藤一二三九段も好んで使用したことでも知られる。
その魅力は、銀と飛車のコンビネーションが持つ〝高い破壊力〟だという。
「飛車は縦横にいくらでも動ける優秀な駒ですが、敵に取られると代わりは利きません。そこで、〝突破口を作ってくれる若手〟が必要になります。銀が道を作ってくれれば、飛車は安全に敵陣に入ることができるでしょう。
銀も、単体で切り込んでも簡単に敵に取られてしまいますが、後ろに飛車が控えていれば威力倍増で、のびのびと動けます」
機動力がある部下と、その後ろ盾となる上司の相乗効果は、将棋でもビジネスでも理想的といえるのではないだろうか。
チームの戦術(2)
大手取引先を口説き落としたい →「意外な一手」で相手を翻弄
ここまでは先人たちが積み上げた、いわば〝定跡〟だ。しかし、強大な相手となると当然、それらの対策を知り尽くしている。時にはセオリーから外れた〝大胆な起用〟をすることで、チャンスを切り拓けるかもしれない。
「例えば、藤井二冠の棋聖戦第2局では、話題を呼んだ『△3一銀』だけでなく、『△5四金』という手もセオリーから外れており、渡辺明名人(当時、棋聖)を翻弄しました。もちろん丁寧に策を練ったうえでの話ですが、前例のない事業に挑むなら、時には 〝サプライズ人事〟も必要かもしれません」
取材・文/編集部
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