
孤独や排除など存在しない、“素晴らしい新世界”。そこでは、「誰もがみんなのもの」。
しかしそれは、ある人にとっては天国かもしれないが、別の人にとっては耐え難い地獄なのではないだろうか。
12月16日よりHuluで独占配信中の『BRAVE NEW WORLD/ブレイブ・ニュー・ワールド』は、“社会の全員が幸せになることは可能か”という難問に答えようとする衝撃作。
1932 年にオルダス・ハクスリーが発表したディストピア小説『すばらしい新世界』が原作。
スティーブン・スピルバーグの製作会社アンブリン・テレビジョンとNBCユニバーサルが共同製作した。
出演は、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』オールデン・エアエンライク、『ダウントン・アビー』ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、『ゲーム・オブ・スローンズ』ハリー・ロイド、デミ・ムーアほか。
あらすじ
完璧な素晴らしい新世界とされるニュー・ロンドンでは、“原始的で野蛮な”一夫一妻婚と家族制度は廃止され、プライバシーもない。
人間は工場で計画的に生産され、社会階級は上から順にアルファ・ベータ・ガンマ・デルタ・エプシロンに分かれている。
「誰もがみんなのもの」「誰もがとても幸せ」な社会であり、すべての人が孤独や疎外感や欲求不満とは無縁だ。
私生活は常にオープンにすることや、フリーセックスが義務付けられている。つまり、異性の選り好みや、特定の異性との独占的交際は許されないということだ。
精神的苦痛を感じたときは、国から支給される“ソーマ”と呼ばれる薬を飲めば、即幸福感を味わえる。
ある日アルファ階級のバーナード(ハリー・ロイド)とベータ階級のレーニナ(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)は旧世界にあるテーマパーク“サヴェッジ・ランド“旅行に出かける。
サヴェッジ・ランドは、一夫一妻婚や妊娠・出産して家族を作る“原始的で野蛮な暮らし”を高みの見物で楽しむことができるレジャーランド。
結婚式のショーを見物していたバーナードとレーニナだったが、突然何者かが客席を銃撃。
命からがら逃げたバーナードとレーニナを助けたのは、旧世界の住人ジョン(オールデン・エアエンライク)と、その母親リンダ(デミ・ムーア)だった。
見どころ
「仲間はずれはいけません」「内緒話はいけません」
小学校でこのように教育された覚えがある人は多いだろう。
これを政府が徹底的に実践しているのが、本作に登場する“素晴らしい新世界”なのだ。
たしかにそのような社会からは、インセル(不本意な禁欲主義者)やミグタウ(我が道を行く男たち)と呼ばれる人たちは生まれにくいかもしれない。
しかし自発的な愛情なしに色々な人と精神的・肉体的に繋がる義務を負わせるというのは、人間の尊厳を傷つけることに繋がるのではないだろうか。
反対に自由な選択を尊重すれば、今度は誰とも人間関係を築くことができない人が一定数生じてしまう。
結局のところ、誰かの幸せは誰かの不幸の上にしか成り立たないということか?科学技術によっても、全員を等しく幸せにすることは不可能なのだろうか?
約90年前に原作が書かれたとは思えないほど、2020年の社会が直面する深刻な問題について鋭く問いかけてくるドラマだ。
Huluプレミア『BRAVE NEW WORLD/ブレイブ・ニュー・ワールド』シーズン1
12月16日(水)から独占配信スタート、以降毎週水曜日に1話ずつ追加予定(字・吹)
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文/吉野潤子
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