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「ヤット+長谷部+α」の進化系ボランチ!ブンデストップのデュエルマスター遠藤航の歩む道

2020.11.17

写真提供:日本サッカー協会

 森保一(日本代表監督)、山口素弘(名古屋アカデミーダイレクター)、戸田和幸(解説者)、稲本潤一(相模原)、中田英寿…。日本代表には数々の名ボランチがいたが、2008年以降は遠藤保仁(磐田)・長谷部誠(フランクフルト)が10年近くもの長きにわたって「鉄板ボランチ」を形成していた。

 ご存じの通り、遠藤保仁は歴代最多となる152試合に出場。13日のパナマ戦(グラーツ)で歴代2位の123試合に到達した長友佑都(マルセイユ)も「ヤットさんの152試合はもちろん目指しているところはありますけど、正直、すごく難しい。遠いなというふうに感じています」とため息交じりに話していた。
 2015年に遠藤保仁が代表を離れた後は、長谷部の双肩に託された。2018年ロシアワールドカップを最後に日本代表を退くまで、彼は114試合に出場。2010年南アフリカ・2014年ブラジル・2018年ロシアの3度の世界舞台でキャプテンマークを巻くに至った。現キャプテンの吉田麻也(サンプドリア)は「どうあがいても長谷部誠にはなれない」と涙ながらに偉大さを表現していたほどだ。

パナマ戦で流れを一気に変えた背番号6

 その2人が去り、2018年9月に発足した森保ジャパンで誰がボランチを軸を担うかが注目された。その一番手に指名されたのは、ロシアで長谷部とコンビを組んだ柴崎岳(レガネス)。指揮官は非凡な攻撃センスを持つ彼に絶大な信頼を寄せ、2年間起用し続けてきた。しかし、ここへきて彼を超えるのではないかと目される男が頭角を現してきた。

 それが、遠藤航(シュツットガルト)だ。

 パナマ戦の後半からピッチに立った背番号6は、今季ドイツ・ブンデスリーガ1部7試合でトップの116回というデュエルの強さを武器に次々と相手をつぶしてボールを奪取。タテパスを前線に供給する。これによって横パスの各駅停車が続いていた前半の停滞感を打ち破り、日本の攻撃にリズムが生まれた。久保建英(ビジャレアル)のスルーパスに反応した南野拓実(リバプール)が倒されてPKを得た後半15分のシーンも、起点となるタテパスを出したのは遠藤航だった。

「遠藤(航)選手が前を向いて自分がずっと受けたかった位置に素晴らしいボールが来た。一緒にいてすごく余裕があるなと感じましたし、所属クラブで活躍していることで自信を持って代表に来ている思います」と久保建英も驚嘆したが、45分間の一挙手一投足はまさに圧巻だったと言っていい。
「僕は相手の立ち位置をしっかり見ながら自分のポジションを変えることを最近は強く意識してます。タケにボールを出したところなんかは特に難しいことはしてないし、相手の位置、自分の位置、味方の立ち位置をしっかり把握してくことが大事だと思います」と試合後に淡々と語ったように、難易度の高いプレーを涼しい顔でやり切ってしまうあたりは、同じ遠藤姓の大先輩・遠藤保仁を彷彿させるものがある。

「Jリーグには遠藤がいっぱいいます。その中で、もちろん今は『遠藤といえばヤットさん』だと思います。だけど、自分が結果を残せば、いつか『遠藤=航』というのがついてくると思う。今はあまり気にしてません」と今夏のインタビューで航は比較を避けたが、いつか自分が日本の看板選手になりたいという願望は抱いているはず。今回、大きな布石を打ったと言っても過言ではないだろう。

海外でずっとボランチとして活躍し続けている日本人はまだいない

 デュエルの強さや守備力を武器とする部分では長谷部にも通じる。ただ、長谷部は2008年のドイツ移籍以降、ボランチ、右MF、右サイドバック、センターバックなど幅広い役割を担っていて、一貫してボランチで勝負し続けているわけではない。今季開幕からボランチでフル出場し、インテンシティーの高い現代サッカーの中で自らを研ぎ澄ませている遠藤航の方が、より難易度の高いチャレンジをしているとも言える。

「とにかくブンデス1部でコンスタントにボランチで出続けること。成長するためにはそれしかないですね。海外でずっとボランチで出続けている日本人って実はあんまり多くない。意外に注目されてない部分なので、僕はあえてトライしていきたいですね」と彼は今季に向けて強い意気込みを口にし、劇的な成長曲線を辿っている。長谷部との直接対決となった11月7日のフランクフルト戦でも偉大な先輩の前で堂々たるパフォーマンスを見せつけた。本当に頼もしい限りだ。

「リスペクトした上で言いますけど、日本代表がワールドカップで優勝やベスト8を超える結果を残すためには、ヤットさんと長谷部さんは超えなきゃいけない存在です。その基準が何なのかはよく分かんないけど、ブンデス1部でボランチとして出続ければ、周りの評価は勝手についてくると思っています」と本人も強調していたが、本当のその方向に進んでいると考えていいだろう。

「今が自分の売り時だ」と彼自身も察知している様子で、パナマ戦からは新たにマウスピースも使用。見た目でもインパクトを残そうと試みている。
「基本的にはしっかり歯を守るということ。ただ、自分が球際に強いとかデュエルに強いイメージが浸透しつつあるので、ファイターらしく見えるかなっていう見栄え的なことも考えて取り入れました。守備的MFは注目されづらいし、僕みたいな選手が注目されるためにはどうしたらいいかを考えた時、マウスピースをつけることもあるかなと。これでサッカーの見方が少し変わってくれればという思いもいあります」

 日本サッカー協会がデイリー代表密着動画「Team Cam」を10月2連戦から配信し始めたように、日本代表人気は2014年ブラジルワールドカップの頃に比べると下がっている。ボランチの認知度も遠藤保仁や長谷部に比べるとやや低い印象だ。こうした現状を打破すべく、賢い遠藤航は自分なりに工夫を凝らしている。そうやって物事を大局的見ることができるインテリジェンスとリーダーシップ、フレンドリーな性格は特筆すべき部分。こういう人材こそ、森保ジャパンの看板選手に相応しい。

 ヤットの攻撃センスと長谷部のボール奪取力を併せ持ち、さらにはデュエルマスターとして世界に名を馳せている遠藤航。彼こそが「ヤット+長谷部+α」の進化系ボランチと言えるかもしれない。このままグングンと前進を続け、目標通り、先人たちを超えていってくれれば、日本代表、そして日本サッカーの未来も明るい。
 まずは17日のメキシコ戦(グラーツ)で相手を驚かせる球際を強さを発揮し、「ワールドカップ決勝トーナメント常連国相手でも絶対に負けない強さ」を実証してほしいところ。浦和レッズ時代の先輩・原口元気(ハノーファー)も「本当に世界トップ10に入っていくには確実に倒さなければいけない相手。ファンやメディアにも分かりやすいし、僕らにとっても指標にしやすい試合になると思います」と強調していた。そんな強豪との一戦で日本屈指のデュエル王が次々とボールを奪い、前線に決定的なパスを出す姿をぜひ見たい。

写真提供:日本サッカー協会

取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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