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誰もが受けられる医療になる日は近い?京都府、京都市が「iPS細胞による再生医療等の技術開発応援プロジェクト」を始動

2020.11.18

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

京都府、京都市による「ふるさと納税型クラウドファンディング」で寄付を募る

がんや脊髄損傷など、病気や怪我に苦しむ世界中の人々に待ち望まれているiPS細胞技術の研究開発を加速させ、iPS細胞技術を「誰もが受けられる医療」にすることを目指す「iPS細胞による再生医療等の技術開発応援プロジェクト」が発足し、京都府知事・西脇隆俊氏、京都市長・門川大作氏、トラストバンク代表取締役・川村憲一氏、公益財団法人京都大学 iPS細胞研究財団 理事長・山中伸弥氏による会見が開催された。

今プロジェクトは京都府、京都市、京都大学iPS細胞研究財団(以下、iPS財団)と、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクにより実施され、ふるさと納税型クラウドファンディングとして、全国から寄付を募る。

ふるさと納税型クラウドファンディングは、通常のふるさと納税と同じ仕組みだが、返礼品はなく、自治体の取り組みに対する共感から寄付を募る形。特典としては、寄附額のうち2000 円を超えた額について所得税・住民税が控除され、返礼品はないが、希望者には研究の進捗がiPS 財団からメールで届く。募集期間は2021年1月31日まで。

プロジェクトオーナーは「京都府」と「京都市」で、寄付金の目標額は、京都府が1500 万円、700万円 (スマート技術)、京都市が1500万円で、寄付金の使途は以下の通りとなる。

プロジェクトで集められた寄付金は、京都大学iPS細胞研究財団への支援に有効活用されるとともに、ライフサイエンス分野の研究開発を行う研究者、企業等への支援・育成や、様々な社会課題の解決を図るプロジェクトにも活用していく。

「京都には京都大学をはじめ、大学、研究施設が集積している。それらを実用化するためのベンチャー企業も数多く存在する。大きな目標としてiPS細胞の研究開発を核とした、イノベーションの都を京都で確立したいという想いがある。そのための財源の確保としてふるさと納税型クラウドファンディングを活用した。

iPS細胞技術実用化への産業育成という観点も生かして、AI、IoTなどのスマート技術に関わる研究者や企業の育成に取り組み、スマート技術関連企業の支援にも使う」(西脇知事)

「京都はベンチャーの都。新たな技術を生かして人々の健康、課題を解決していくと果敢に挑戦される研究者が多くおられ、機運が育っている街である。また、ライフサイエンス、ベンチャー創出事業として研究者や中小企業を支援している10年の実績があり、地域に根差した人々の幸せと最先端医療技術を活性化し、持続可能な街づくりに生かしていく」(門川市長)

マラソンを通じて寄付の呼びかけを行う山中理事長に共感してプロジェクトが実現

iPS細胞は2006年に誕生した新しい多能性幹細胞で、再生医療を実現するために重要な役割を果たすと期待されている。iPS細胞の生みの親である山中伸弥氏は2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞。iPS細胞による再生医療等の技術開発の発展、実用化のため、山中氏は趣味のマラソンを通じて寄付の呼びかけも行ってきた。

2019年にはiPS細胞の研究開発や臨床応用に対する総合的支援事業を行うiPS財団が設立され、2020年に公益財団法人へ移行。山中氏は理事長に就任した。同財団は「最適なiPS細胞技術を良心的な価格で届ける」の理念のもと、活動を行っている。下記の画像はiPS財団で製造されたiPS細胞。

©Rafal Krol, PhD

「iPS細胞が誕生して15年近く経ったが、マラソンで例えるとようやく中間点の折り返しに来た状況。ゴールを目指してこれからが一番しんどいところで、大学だけでは無理なので、企業にしっかりと橋渡しをする必要がある。

今年の4月にiPS財団という新しい組織が研究所より独立。財団の使命はiPS細胞を1日でも早く、良心的な価格で提供する、ということ。アメリカ発のさまざまな画期的な医薬品、治療方法は何千万円、場合によっては何億円というものがあるが、京都で誕生したiPS細胞を京都から、日本中、世界中の患者さんのだれにでも届けられるように努力している。

京都府、京都市が支援を行ってくれることは本当にありがたく、研究開発を行ううえで、お金の支援と同じくらい、地元の方々の気持ちが私たちにとってとても大きな応援になる。私たちが活動している京都から、他のライフサイエンスやベンチャー企業と共に応援していただけることに心から御礼申し上げる」(山中理事長)

会見に臨んだ西脇知事と門川市長も、マラソンを通じた山中氏による寄付集めが、プロジェクト発端のきっかけとなったと話した。

「山中理事長はマラソンに出場し、自己ベストを更新することで研究の寄付を募っておられたこともあり、iPS細胞の研究を進めるためには相当な資金が必要だと感じていた」(西脇知事)

「山中理事長と西脇知事は趣味がマラソンで、一緒に京都マラソンを走ったこともあった。私はスタートとゴールにしかいなかったが(笑)、そこで話が出たのが最初のきっかけとなった」(門川市長)

【AJの読み】iPS細胞研究の実用化を待ち続けている人たちへの支援として

山中氏は2012年から趣味のマラソンを通じて寄付を広く呼び掛けている。ノーベル賞受賞者の山中先生自らが寄付を訴えていることに驚いたが、iPS細胞を臨床応用し、良心的な価格で患者に届ける体制づくりには多くの資金が必要だということを知った。

京都大学iPS細胞研究所、同研究所から独立したiPS財団でも継続的に寄付を募っているが、今回のふるさと納税型クラウドファンディングは、京都府と京都市が後押しして寄付を呼び掛けるプロジェクトだ。

「病気やケガと闘いながら、iPS細胞研究の実用化を待ち続けておられる患者さんが大勢おられます。そのような患者さんのために、継続的に企業へ技術を『橋渡し』する組織として、iPS財団が活動を開始しました。皆様のあたたかいご支援を、何卒よろしくお願い申し上げます」(山中理事長)

文/阿部純子

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