
■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
堅調なキャンプ人気に加え、リモートワークという新しい働き方、そして災害時の一時避難や診療などボランティアのベースにも使いたいと、これまで以上に使用シーンが増えており、キャンピングカーの注目度は依然として高い。
初めてのキャンピングカー選びでは装備を盛ったものに目が行きがちだが、大きな車両は運転に不安がある。慣れるまではハイエースクラスですら大きく感じてしまう。
かといってコンパクトなキャンピングカーに装備を盛っていると就寝スペースが狭かったり、ベッドメイクが面倒だったりすることも。
今回は「神奈川キャンピングカーフェア」(2020年11月7〜8日)でコンパクトなのに就寝スペースが充実したキャンピングカーを探してみた。
軽量・低重心で快適かつ安全走行を実現
コンパクトなギャレー、ソーラーパネルなどほしい機能を装備しつつも、ボディをアルミパネルと断熱材の3層構造にすることでと軽さを実現。低重心のため、山道も高速道路も安定した走行がうれしい。ベース車両はタウンエーストラック。
1Fのベッドマットは1800×1740mm、2Fは1470×1200mm。4人乗車、3人+子ども1人就寝なので家族での利用も十分可能だ。
屋根をポップアップすればゆとりある居住スペースになる。走行時は全高2.09mで立体駐車場に入れられるため、でっかく使えるのに旅先での駐車場難民にならないうれしい仕様となっている。377万2000円〜。
自活できる軽トラは災害ボランディアの基地にも最適
軽トラ(展示はスズキ キャリイ)をベースに、ジェームス・バロウドのルーフテントSPACE CompactとDRIVENのDプロイBOXを装備。キャンプはもちろん、災害時にはゴミを現地に捨てずに自活しながら支援活動ができるようにと考えたそう。フロントバンパー、スキッドプレートなどフロントフェイスはベビトラK-150を装着し、ルックスも秀逸だ。
ルーフトップテントは大人2人が就寝できるスペースになっている。軽トラではあるが、広げるだけで眠れるので手間いらず。下部には密閉できる収納スペースがあり、簡易トイレや生ゴミはこちらへ。中古車で製作するので、価格は要問い合わせ。
軽トラの荷台にDプロイBOXを搭載していて、スライド収納式シンクを引き出すだけでそこがキッチンとなる。
DプロイBOXにはキャンプに必要なクーラーボックスやジャグ、バーナーなどをおさめておき、必要なときに引き出して使うシステム。スライド引き出しは耐荷重100kgなので、キャンプのたびに重い道具をいちいちクルマから取り出す必要はない。軽トラの荷台を収納庫代わりに積んでおけるのもメリットといえる。軽トラのみを使いたいときは、別売のジャッキを使えば取り外せる。
運転しやすさにリチウムバッテリーをプラス
スズキの軽ハイトワゴン、スペーシア ギアがベースの車中泊カー。全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールなど安全装備はそのまま、リチウムイオンバッテリーを搭載している。
スッキリしていてベッドメイクもシンプルだ。眠ることに特化していて収納は天井付近にあり、家具に足をぶつける心配がない。
3段階に切り替えられる調光LEDダウンライト、外部入力コンセント、天井防音断熱加工などワーケーションにも使えそう。
車中泊カーではあるが、両側スライドドアも後部ドアも広く開き、道具の出し入れも人の出入りも楽にできるので荷物が多いキャンプでも使いやすい。280万円。
気温の影響を受けにくい断熱ウォールポケット付き
軽自動車なのにゆったり過ごせるオフタイムトラベラー。14インチアルミにオフロードタイヤといったクロスカントリーオプションも用意しており、日常の足として使えるだけでなく、釣りやトレッキングなどちょっとハードな山道でも心強い。
ベッドの大きさはゆとりの1800×1200mm。サイドポケットは目隠し効果とともに断熱効果を持たせているのがうれしい。
後部にはロフトスペースを装備している。写真のような使い方のほかに、ロフトマットを机代わりにしてもいい。スズキ エブリィJOINベースで250万2570円〜。
1500Wまでの家電を使えてベッドも広い
コンパクトサイズのトヨタ シエンタ ファンベース ハイブリッドGを用いた車中泊カーで、247万2000円〜。ハイブリッドGグレードでは1500Wまでの家電が使えるので災害時の基地としても重宝しそう。
ベッドは1900×1250mmのセミダブルサイズで大人2人が並んで眠れる。ベッドではあるがマットの展開次第でテーブルとしても使える。ワイドな天板なのでパソコンを広げても余裕あり。下段の収納も十分だ。
ファニチャーを一新してよりエレガントに
外装はシンプルだが、インテリアはエレガント。内装の色は2019年モデルと同じだが、家具類を一新している。スイッチ類が目立たないように位置を見直すことで、生活感を軽減しているそう。スズキ エブリィベースで175万円〜。
室内高90cm以上でベッドに座ったときの圧迫感を解消している。
大型キャビネットには電子レンジの収納も可能。反対側には折りたたみ式テーブルと鏡があり、車内で身だしなみを整えられるなど凝った3D家具、質感のよさも自慢だ。
冷凍冷蔵庫(15L)が標準装備で長期旅であっても食材の保管ができるのはうれしい限り。走行充電システム、ソーラー充電システム、外部充電システムのトリプル充電で電気の不安を解消している。床を高くしているので床下収納も十分だ。家具の曲線も大きくなっていて、就寝時に足がぶつかりにくいのもいい。
【番外編】牽引免許不要、ベッドも広い
こちらは自走式ではないけれども、13フィート、730kgという牽引免許不要の小さなサイズで、運転が不安なキャンピングトレーラー初心者でもトライしやすい。337万円〜。
ダブルベッドは1950×1310mm、2段ベッドは1840×620mm。エンジンなどが搭載しておらずまるまる生活空間にできるのでゆったりしていて使いやすい。旅に出ていないときも、外部電源を取り入れて書斎がわりにしてもよさそう。
かわいい2口コンロのすぐそばに換気用の小窓付き。二段ベッドはキッチン周りの作業台としても優秀だ。
コンパクトな車両だからこそ、ゆったり眠るための工夫が凝らされている。
まずはこのクラスからはじめて、自分だけの秘密基地を作ってみてはどうだろう。
取材・文/大森弘恵