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年末年始こそ〝沈黙の臓器〟肝臓の声に耳を傾けるべき理由

2020.11.12

前編はこちら

不定期連載、「ビジネスパーソンに忍び寄る身近な病たち」シリーズ。コロナ禍で神経を使うご時世に、今こそ身近な病気の正しい知識をインプットし、新型コロナウィルス対策に集中しようというわけである。

今回は肝臓。ビジネスパーソンの多くが気になる肝臓とアルコールだ。身につまされる怖い話である。愛知医科大学医学部 内科学講座(肝胆膵内科) 米田政志教授の前編の指摘をおさらいすると――。

肝臓は“沈黙の臓器”

肝臓でアルコールはアセトアルデヒドという物質に代謝され、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素の働きで、無害な酢に変わり体外に排出される。日本人は遺伝的にこの酵素の少ない人が数多い。

肝臓は栄養分を脂質に変え、身体の各細胞に供給する機能を担うが、アルコールを代謝する酵素が遺伝的に少ない人が、大量のアルコールを長年摂取すると脂質の過多に陥り、肝臓に脂肪が蓄積される。それが脂肪肝という疾患だ。

脂肪肝で肝機能が低下した人が、大量飲酒等の原因で炎症を起こす。肝臓は再生能力があり、炎症を起こしても自ら修復するが、炎症と再生を繰り返すうちに肝臓が線維化し、徐々に硬くなり表面がデコボコに変貌する。これが肝臓の重篤疾病、肝硬変である。やがて進行すると肝不全、肝臓がんが待っている。

「肝臓は沈黙の臓器です」米田政志先生はそう指摘するが、だるさ等は感じても、黄疸や腹水、吐血等の自覚症状が出た時は、すでに末期の肝臓病という場合がほとんどなのだ。さて、そうならないためには――。

“いや、私は大丈夫”でも…

――先生、日々のアルコールはどのくらいが適量なのでしょうか。

「日本人の場合、飲んで大丈夫と言われている1日の量は、男性でエタノール30g、ビール600CC、女性でエタノール20gといわれていますが」エタノールとはアルコールのことだ。

「弱い人はエタノール10g、日本酒1合でも肝障害を起こす。強い人も弱い人もお酒の適応力は、人によって幅があります」

いやいや、私は大丈夫、お酒は一切受け付けない下戸だから、肝臓病とは縁遠い――、そう胸を撫でおろす声も聞こえてきそうだが、安心するのはちょっと待ってほしい。

「近年ではウィルスの感染もないし、お酒も飲んでいないのに肝障害に陥る。NASH(以下・ナッシュ)と呼ばれる非アルコール性脂肪肝炎の患者さんが増えているんです。放置すると肝臓の線維化や炎症を起こして、肝硬変に悪化していく。原因は内臓肥満で、いわゆるメタボの人たちが陥る肝臓疾患です」

世界の米田は“ナッシュのドクター”

米田先生はナッシュの治療に関しても、知られているドクターである。

「疾病の研究は面白いですが、研究の成果が病気の治癒や、早期の診断に役立たないと意味がないのではという思いがあって」

患者の診療と疾病の研究、両方に携わることを心掛ける先生は20年ほど前、アメリカで非アルコール性脂肪肝炎のナッシュが、問題になっていたことに注目した。

「酸化ストレスといって、活性酸素が身体を酸化させることが、ナッシュの要因の一つなのではないか。酸化ストレスを消す薬を調べるとビタミンEという薬剤がある。お肌にいいと中高年の女性に使われている薬で、動脈硬化症等の薬剤としても投与され、保険も適用される。この薬をナッシュの疑いのある患者さんに服用してもらったんです。すると肝臓の検査結果の数値が、目に見えてよくなりました」

――先生の研究成果の中には、世界の診療ガイドラインに採用されたものもあると、資料にはありました。

「それも20年ほど前に高血圧の新薬発売記念の研究会に参加した時、この新薬は線維芽細胞を抑え込み、組織の線維化を止める作用があると説明されましてね」

だったらナッシュの患者に服用すれば、肝臓の線維化を止めることができるのではないか。当時所属していた医大で研究を重ねる一方、患者に1年間服用を促すと、全員の肝臓の検査結果に改善がみられた。04年12月に世界的な肝臓に関する専門誌に論文が掲載されると、“ナッシュのドクター”として、専門家の間で世界的にその名が知れ渡たることになった。

私の検査結果と、先生のアドバイス

――“肝臓は沈黙の臓器”ですが、その状態を知るにはどうすればいいでしょうか。

「健診を受けて血液を採取し、検査結果の数値を調べるしかありませんね」

そんな米田先生の言葉に、私はおもむろにこの夏、受けた健診の検査結果を取り出し、先生に診てもらった。

「うーん」難しい顔をすると口を開く。

「γ‐GTはお酒を飲み過ぎると数値が上がるのですが、162というのはまずいな。平常値の倍以上ありますよ。ASTとALTは肝細胞が壊れると数値が上がってくる。特に怖いのはALTの数値です」

――検査結果では、ALTは基準値内に収まっていますが、

「いや、僕に言わせれば持続的に高い兆候が見られますね。血小板は肝硬変になると減ってきますが、うーん、基準値内とはいえ、僕よりもかなり少ない。肝臓が少しやられている、傷んでいますね」

――よく言われるように、週に何日かお酒を断つ、休肝日を作った方がいいでしょうか。

「休肝日はダメです。禁酒した翌日になると、“昨日、我慢した御褒美”とか言っていつもの倍、飲んじゃうでしょう。医者の立場から言わせてもらえば、止めるならピタッと禁酒をすること。逃げ道を作ってはダメです」

長年、患者と向き合ってきたドクターならではシビアなアドバイスなのだが、ふと、問い返しみたいことが脳裏をよぎった。

――ところで先生、先生も禁酒をなさっているのですか。

「僕はね、どういうわけかお酒が強いんですよ。遺伝的なもんですね。娘もお酒が強い。飲むときは二人でワイン2本ぐらい飲みますね」

ちょっとうらやましい逸話と笑顔で、米田政志先生は話を締めくくったのである。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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