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聴覚障がい者と健常者が一緒に楽しめるエンタメを目指して生まれた「Ontenna」と「うちで踊ろう」の優しいコラボ

2020.11.06

 音の特徴やリズムを振動に変え、装着者に伝える『Ontenna』は、リアルタイムで音源の鳴動パターンを伝達することから、音のリズムやパターン、大きさを知覚することが可能となる。研究開始から発売までに7年を要し誕生した『Ontenna』であったが、研究開発を続けることができたモチベーションは何だったのであろか? 

前編はコチラ

『Ontenna』の研究開発を推進してきた富士通の本多達也氏

エンタメで活用すれば聴覚障がい者と健常者が一緒に楽しめる

「途中でやる気が消えかかったときもあったのですが、ろう学校に行って子どもたちに使ってもらったときに、笑顔になったり楽しそうな顔をしてくれました。ろう者の中には『これ絶対欲しい』と言っていただけたこともあり、そういう表情を見たり声を聞くと、途中で『やめます』とは言えず、頑張ることができました」

 ろう学校での検証は、3校で集中的に実施。3校との付き合いは3年に及び、200人以上の子どもたちの協力を得た。

『Ontenna』は日常生活で使うほか、『Ontenna』はエンターテインメント分野での活用も模索されており、これまでに多くのコラボが実現している。例えば、タップダンスのタップ音にのみ反応するようチューニングした『Ontenna』を観客に装着してもらった上でタップダンスを鑑賞してもらい、タップ音の強弱とリズムに合わせて『Ontenna』が光り振動する体験をしてもらう、といった具合だ。

「タップダンスのタップ音は手話や文字では表現できません。リズムや盛り上がりを『Ontenna』で感じ取ってもらったことで、聴覚障がい者に『楽しかった』と仰っていただけました」と本多氏。タップ音をリアルタイムに振動に変換したことで4DXのような臨場感が生まれたほか、光によって会場に一体感が生まれた。聴覚障がい者だけでなく健常者も一緒に楽しむことができるところに、『Ontenna』のユニークさが表れている。」

コロナ禍でストレスを感じているろう学校の子どもたちのために、星野源さんとコラボ

『Ontenna』は全国のろう学校約7割強に無償配布されており、音楽や体育の授業で活用されている。配布後、全国各地のろう学校を回り、実際の使われ方や使ってみた印象などをヒアリングすることになっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により予定通り進まなくなってしまった。

 そのため、オンラインでのヒアリングに切り替え、ろう学校の教師や生徒、生徒の親にインタビューを実施。そうしたところ、子どもたちは学校に行けずストレスが溜まっていることがわかった。これを受け本多氏は、ろう学校に通う子どもたちが『Ontenna』を使って楽しく体を動かせるコンテンツをつくることにした。

 目をつけたのが、歌手・俳優の星野源さんがInstagramで発表した楽曲『うちで踊ろう』。緊急事態宣言中にYouTubeで数多くのコラボ動画が公開され話題なったが、ろうのダンサーであるemiさんがこの曲の振り付けを考案し、『Ontenna』を使って子どもたちが『うちで踊ろう』に合わせて踊ることを企画した。プロトタイプをつくり楽曲使用許可を求めたところ、星野さん自ら「やりましょう!」という返答があったほか、NHKがこの取り組みについて密着取材するまでに発展した。

参考:https://www.nhk.or.jp/heart-net/program/rounan/1431/

 通常の『Ontenna』を使うとずっと振動し続けてしまうことから、『うちで踊ろう』のリズムだけに振動するようプログラミングした『Ontenna』を使用。子どもたちも練習を重ねていくうちにダンスが上達していったそうだ。「子どもたちの動きにはそれまで、ここで止まる、ここから動き出す、といったメリハリがあまりなかったのですが、『Ontenna』を使うと止まるところでちゃんと止まったりすることができるようになったと聞いています」と本多氏は話す。

 コロナ禍での新たな動きは、星野源さんとのコラボだけにとどまらない。MIT(マサチューセッツ工科大学)が開発した、ブロックを組み合わせることでプログラムがつくれる『スクラッチ』を使い、『Ontenna』の光の色や振動の強さを変えるといったオンラインワークショップも開かれた。ワークショップは自分だけの『Ontenna』をつくるための布石で、動物の鳴き声に反応して光り振動する、目覚まし時計が鳴ったら振動して起こす、などのように、将来はユーザーが独自にカスタマイズできることを目指しているという。

今後はユーザー一人ひとりがプログラミングでチューニングできる構造に

『Ontenna』は今後も開発を継続し、機能を高めていく考え。現時点では音の強弱とリズムをリアルタイムに振動で表現するだけだが、将来的には音の高低も伝えたり、機械学習によって特定の音に反応できるようなアップデートもしたいという。とくに、後ろから自分の名前を呼ばれたときや車が近づいたときに反応してほしい、危険が生じ警報が鳴ったことを知らせてほしい、といった要望が高いそうだ。

「ユーザーの声を聞いてある程度のところまではスペックを上げていくことができますが、ユーザー一人ひとりが求めている細かい機能については対応しきれないので、ユーザーにチューニングを任せられる構造にしないといけないと考えています」と今後の課題を口にする本多氏。『スクラッチ』を活用したオンラインワークショップもこの課題解決を見据えた取り組みであるが、さらに、ろう学校に無償配布したものを使いプログラミング教育に活用することも検討中。ろう学校の子どもたちが将来、『Ontenna』のような製品の研究開発やプログラミングで社会課題を解決したいと思ってもらえる取り組みに着手しているそうだ。

『Ontenna』は聴覚障がい者だけでなく、視覚障がい者に方向を伝達したり、知的障がい者に刺激を提示することへの活用も模索されているという。今後、利用シーンが拡大しそうだが、それでも一丁目一番地は聴覚障がい者に振動と光で音を届け感じ取ってもらうこと。この点についてはブレることなく開発を継続していくという。そんな本多氏の夢は「世界中の聴覚障がい者に『Ontenna』を届けたい」と壮大だ。

製品情報:https://ontenna.jp/

取材・文/大沢裕司 撮影/干川 修

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