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”現代のホロコースト”と呼ばれる北朝鮮の政治犯強制収容所を描いた映画「トゥルーノース」がアニメになった理由

2020.11.06

■連載/Londonトレンド通信

 10月28日から11月7日まで開催の第28回レインダンス映画祭で、清水ハン栄治監督が参加作『トゥルーノース』について語った。

 例年、ロンドン中心部の複数映画館を会場とする同映画祭だが、コロナ禍の今年はオンラインをメインに開催された。『トゥルーノース』も映画と監督Q&Aのオンライン配信となった。

「東京のアパート」からだという清水監督は、「秋の初めで、木々が色づき美しいです」と流暢な英語で東京の様子を紹介した。以下も同様に「」内は全て英語でなされたQ&A中の清水監督の言葉を訳したもの。

 清水監督は、在日韓国人の両親のもと日本で生まれ、米マイアミ大学でMBAを取得し、教育、出版事業を世界で展開、TEDレジデントでもある。

 初のアニメ作品となる『トゥルーノース』では、日本から北朝鮮に戻って暮らす一家の少年が主人公。父が当局によってどこかに連れ去られた後、残された少年と母、妹も政治犯強制収容所に入れられてしまう。

映画について

「北朝鮮の政治犯強制収容所、『現代のホロコースト』と呼ぶ人もいます、での家族の身体的なサバイバル、そして、精神的なサバイバルを描いています。食うか食われるかの過酷な環境の中で、思いやり、優しさを失う人もいますが、良識を保とうとする人もいます」。

「それは私のテーマでもあります。人生は誰にとっても簡単ではありません。モラルを保とうとする人もいる一方、悪い方に傾いてしまう人も出てきます」。

アニメにした理由

「逃れた人たちにインタビューしたのですが、とても惨たらしく、それから3日ほど食べられなくなりました」。

「もし強制収容所の中にカメラを持って行けたとしても、残虐すぎます。例えば90分の長編ドキュメンタリー映画にしたら、観ていることはできないでしょう」。

「そのまま映画にしたら良い映画にならない。ほとんどホラーです。殺人、暴力、飢餓、公開処刑…、もちろん、それらにも触れていますが、むしろヒューマニティーに焦点をあてました」。

「それほど酷い状況でも、ユーモア、協力、囚人間のロマンスさえあったと聞きました」。

北朝鮮について

「北朝鮮では、関連する人々も有罪となります。誰かが何かすると親や子も有罪です。ですから、インタビューすることはできても、彼らの身元は隠さなくてはいけない。北朝鮮に残された家族の安全のためです。権力者がその力を保ち続けていく頭の良いやり方が、関連する人々も有罪にすることなのです」。

「北朝鮮はニュースヘッドラインになり続けています。トランプが取引しようとしたり、韓国も取引しようとしています。遅かれ早かれ、国際社会の一員となるでしょう。北朝鮮は、その前に強制収容所を無かったことにしようとするかもしれない。ナチスがアウシュビッツなどの証拠隠滅を図ったように、人命を含め消そうとするかもしれません。それが最も恐れていることです。『囚人たちは?』となるように、消される前に、多くの人に強制収容所で起こっていることを知ってほしいのです」。

映画制作者として

「レインダンス映画祭に参加している多くのインディー映画制作者と共通していると思いますが、常時、自信は揺らぎます。それでも、ビジョンがある、伝えるべきメッセージがある。そこに信を置いてやっていくしかない。孤独で怖いです。でも、そこを抜けると全てが楽しいことになります」。

「2つの軸、重要なこととそうでないこと、人気と不人気があるとして、重要だけれど不人気なら良いのですが、重要ではなく人気がある映画は作らないようにしています」。

 オンラインではなく、実際に足を運んでレインダンス映画祭に参加したかったという清水監督は「10年かけて完成させた映画が、考えうる最悪のタイミングでの公開になりました」と冗談めかして嘆いてみせた。

 だが、『トゥルーノース』はレインダンス映画祭だけでなく、既に各国映画祭で評価を得ていて、日本でも東京国際映画祭で11月1、3、9日上映、来年劇場公開予定だ。重要で人気もある映画になるかもしれない。

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

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