
投資を始める時に初心者の壁となるのが「専門用語」かもしれない。
例えば「指値」。何じゃコレ? って思った人のために、初心者でもわかる説明をさせていただきたい。
指値とは
指値とは、株式やFXなどを売買する際、希望する価格を決めて注文することだ。
指値の読み方は?
指値は「さしね」と読む。漢字で表記する時は「指値」と書く場合と、「指し値」と送り仮名をつけて書く場合があるが、意味は同じだ。
【参考】指し値/指値注文 (さしね/さしねちゅうもん)|SMBC日興證券
逆指値の読み方は?
指値の一種である逆指値は、「ぎゃくさしね」と読む。後ほど逆指値のご説明をさせていただく。
成行の読み方は?
成行は「なりゆき」と読み、「成り行き」と表記する場合もある。こちらも詳しくは後ほどご紹介する。
指値と成行注文の違い
株式やFX、商品先物など価格が刻一刻変動する取引は、自分が思った価格で売買できるかどうかは相場次第になる。
指値注文は売買価格が上下するリスクを低くするために、「買い注文」では上限価格を、「売り注文」では下限価格を設定する。
例えば、ある株式を1000円で購入したいとする。その場合、指値1000円で買い注文を行うと、相場が1000円以下になった時に株を購入できる。
時に、990円といった1000円以下の価格でも売買が成立することもある。
逆にある株式を1000円で売りたいとする。その場合、指値1000円で売り注文を行うと、相場が1000円を超えたら売れることになる。
まれに、1010円、1020円といった価格で売れることもある。
一方、成行注文とは、相場価格で売買することだ。成行注文はなるべく急いで売買したい場合に便利な注文だ。
成行注文でよくある失敗
成行注文を出すと、希望する価格でなくても売買が成立(=約定:「やくじょう」と読む)することもある。相場次第では思いがけない価格で約定する場合もあるので注意が必要。
逆指値注文とは? 損切りとは?
種類を問わず相場とは、本人の思惑(おもわく=予想)とは関係なく変動するもの。「1000円で買って、1100円に値上がりしたら儲かるな!」と思って1000円で買った株式が、あっという間に800円、700円……と下落することもよくあること。
そういった場合に講じる手法のひとつに「損切り(そんぎり)」がある。
損切りとは損害を広げないために、損をすることがわかっていても売買を成立させることだ。
逆指値注文とは、決めた範囲以上に相場が乱高下した時に備えて、あらかじめ損切りの価格を決めておく注文といえる。
例えば1000円で買った株に対して、相場が900円を割ったら自動的に売る注文。もし900円で約定した場合は1株あたり100円損するが、放置したためにその後の相場が500円になってしまったら、1株あたり500円の大損害を受ける。それを回避できる可能性があるのが逆指値注文なのだ。
以下、相場の変動をイメージした例を紹介する(わかりやすくするため、税金や手数料を便宜上カウントしない)。
株を1000円で1000株購入→900円で1000株売却:1株当たりの損100円×1000=10万円の損害
↓
相場が500円で下がった時に改めて1000株購入→600円で1000株売却:1株当たりの利益100円×1000=10万円の利益
といった形で損を取り戻せる可能性がある。
単純に500円で1000株売却してしまったら1株あたり500円→50万円の損となるのに比べて、被害を抑えることができるかもしれない。
つまり、相場でのリスクを制限して利益機会を増やす可能性をもつことが、「損切り」の大切な役割といえるかもしれない。もちろん、損切りした後に株価が思惑とは逆に高騰することもあるのが、相場である。
逆指値注文は一種のトリガー(引き金)で、設定価格のこと。この設定価格を超えたら成行売買するという注文も可能だ。
インターネットでの売買が増えた現在、株、FXなどほとんどの取引で、逆指値注文は投資家にとっての常識になっているといっても過言ではない。
指値注文は約定しないこともある。
指値注文を出しても約定しないことはままある。
相場での約定には前提として、「価格優先」の原則と「時間優先」の原則がある。買い注文では高い価格が低い価格に優先し、売り注文では低い価格が高い価格に優先する。また、発注時間が早い注文も優先される。
さらに、価格を指定しない成行注文が優先される。
指値注文をして希望価格になっても約定しない場合は、注文の優先順位に左右されたことが考えられる。
例えば100円の価格で1万株買った株を110円で売ろうとする。指値注文を110円で1万株と設定したとして、そのうち1000株しか売れないといったことはよくある。
指値注文の取り消し
どうしても時間優先で売買したい場合は、指値注文を取り消しして成行注文に切り替えるという手法も覚えておいていただきたい。ただし、希望の価格で約定する保証はない。
※データは2020年10月下旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※本記事は投資を推奨する目的はありません。あくまで自己責任にてお願いします。
文/中馬幹弘