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5Gサービスが始まっても楽天モバイルの課題は山積み?

2020.11.03

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は楽天モバイルの5Gサービス開始について議論します。

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新キャリア、楽天モバイルが5G対応も課題は山積み?

房野氏:楽天モバイルが5G対応の発表会を開催しました。

房野氏

石野氏:楽天ビッグ(「Rakuten BIG」)ってなんだよって感じです(笑)。「Rakuten Mini」はその名の通り小さいからわかるけれど、Rakuten BIGは普通のスマートフォンじゃない? って思いました(笑)

石野氏

法林氏:確かに大きいけれど、あのサイズ感でRakuten BIGって名付けるのは、何か薄っぺらいというか……。

法林氏

石野氏:BIGっていうほどBIGでもないだろって感じですよね。

石川氏:突っ込みどころ満載で面白いけれど、真面目な話として、製品ラインアップが少なすぎたなっていうのが正直な感想です。

石川氏

房野氏:5Gのスマートフォンの発表は2機種ですか?

石川氏:5Gは「AQUOS R5G」と今回発表のRakuten BIGの2機種ですね。楽天モバイルの経営状況からしたら、ほかの通信キャリアからどんどん乗り換えてもらわないといけないのに、他社が扱っているメーカーのスマートフォンが販売されないことには、乗り換える人からするとハードルがすごく上がるわけですよ。Xperiaを使っている人は同じXperiaを楽天モバイルで使いたいと思うわけで、そうなってくるとラインアップの少なさは致命的という印象です。

「AQUOS R5G」

石野氏:新型「iPhone」が登場したら、一気に他社へユーザーが移ってしまう可能性があり、そんな中で、たった2機種かぁと、びっくりしました。あと驚いたのは「Rakuten Hand」。まだ4Gだけのスマートフォンを自社開発するのかと、驚きました。楽天モバイルは100万契約もいないわけで、4Gをあきらめる覚悟で5Gへシフトしてくるかと思ったんですけど、どうもその思いはなさそうですね。

石川氏:完全仮想化で一気に5Gエリアが拡大するかと思っていたら……。

法林氏:大半が東京都の世田谷区、それも二子玉川の周辺だけ。

石野氏:しかもミリ波なんですよ。電波飛ばないじゃんってね。もう"世田谷モバイル"みたいになってる(笑)

石川氏:石野さんの言う通りで、他社に比べて1波しか持っていないんだから、5Gで先行するくらいじゃないと。4Gではもう他社には追い付けないんだから。5Gのネットワークを仕込みまくって、エリアが広がってますとアピールすればよかったのに、他社もあまりやってないから楽天モバイルもこの程度でってお茶を濁している感じがした。

石野氏:100万ほどのユーザーならば考え方を切り替えて、4Gを犠牲にしてでも、つながりやすい1.7GHzを5Gに活用しても良かったんじゃないかなって思います。

法林氏:減らしたって別にユーザーがめちゃくちゃ多いわけじゃないしね。

石野氏:そう。4Gを一気に5Gへ転用したら「おぉ、これはすごい。そんな秘策があったのか、三木谷さんすごいな」となったのに、蓋を開けてみたらギャグみたいなエリアマップしか出てこなかった。

法林氏:リストにするのも恥ずかしいくらいだよね。

石川氏:ほんとびっくりしました。ほぼ、実証実験レベルでしたね。

石野氏:北海道などは1局しかないですからね。あれで全都道府県カバーしますっていわれても、1県に1局ずつ置いていくつもりなのかってなる。

法林氏:今の1.7GHz帯の基地局に、多少調整は必要だろうけど5Gのアンテナを設置するか、もしくは設置しつつ1.7GHz帯に隣接して5Gの信号を混ぜるなどすれば、エリア展開が進んだと印象づけられたと思います。一所懸命に基地局を設置する場所を確保していたのに、中途半端な結果となっているのが非常に残念。

石川氏:3か月も5Gの実施を遅らせた結果がこれかと。

法林氏:3か月前にはどれくらい少なかったんだろうかって、不安にさせるよね。

石野氏:しかも2020年8月に省令が改正されて4Gの周波数帯を5Gに転用できるようになっているにも関わらず、その説明が一切なかった。

房野氏:4G用の帯域が足りなくなるって話ですね。

石野氏:そう。4Gが足りなくなるって話だけど、そんなことないだろ、100万契約しかいないんだから全部5Gにしても問題ないだろって。

法林氏:2000万、3000万の回線契約がある会社ならわかるけど、100万しかいないからね。

石野氏:今5Gにしてしまえば、4Gから巻き取るのは100万契約で済むわけじゃないですか。こんなに楽なことはないと思うんだけどな。

法林氏:契約者全員に「Rakuten BIG差し上げますので5Gに切り替えてください」とお願いしてもいいくらいの規模。

石川氏:そうですよね。

房野氏:4Gの基地局をがんばって作ったから、5Gの基地局まで手が回らなかったということなのでしょうか?

法林氏:お金の問題があるのかなって思っています。設備投資への予算が限られているじゃないですか。

石野氏:3.7GHz帯には衛星との干渉がある。ミリ波は100mくらいしか飛ばない。にもかかわらず、基地局をあまり設置できないとなれば、手の打ちようがない感じになってくる。

石川氏:これで他キャリアがDSSを始めれば一気に5Gのエリアが広がる。なんちゃって5Gかもしれないけれど、ユーザーのスマートフォンには「5G」って受信の表示がされる。5Gの利用機会にはとんでもない差ができてしまう。

石野氏:結局、本格サービスが2020年4月に遅れたのが、そもそもの間違いのはじまり。

法林氏:楽天モバイルのネットワークにはおかしなところがあって、エリア内なのに、対応機種でも端末によって、電波をつかんだり、つかまなかったりする。2台の対応端末を並べて、片方は楽天モバイルの回線なのに、もう片方はパートナー回線って表示される。あと、いまだに電話番号が表示されない端末もある。

石野氏:僕たちは東京で生活しているから、楽天モバイルの回線にスマートフォンがそれなりにつながるけれど、箱根に出かけた時はずっと、パートナー回線だった。あとわかりにくいのは、「my楽天モバイル」に行かないと楽天モバイルとパートナー回線のどっちにつながっているかわからないという点。しかも反映が遅かったりするのも疑問です。

石川氏:全国どこでも使い放題って、これでは言いにくいよね。

auが5G端末を一斉リリース!

房野氏:ところで、auは秋冬モデルの発表をしました。こちらは"Galaxy祭り"の様相でした。

石川氏:auは端末を積極的に調達しているなって思いました。1台当たりの台数は少ないんでしょうが、ラインアップの数は半端ないなって。

法林氏:OPPOの「Find X2 Pro」は2020年7月発売なのに、もう販売終了してるよね。売り切れとか在庫なしじゃなくて、そもそも用意した台数が少ないから“販売終了”ってホームページに表示される。

OPPO「Find X2 Pro」

石野氏:ラインアップに偏りがでるケースがauには多いですよね。以前の"春の京セラ祭り"に続いて、2020年秋冬は"Galaxy祭り"みたいになってる印象です。

法林氏:前月出たAQUOS zero5G basic DXとXiaomi Mi 10 Lite 5G、と「Galaxy A51 5G」あたりを主軸に据えて、折り畳み端末と「Galaxy Note 20 Ultra」はハイエンドの個性派端末。「Xperia 5 II」や「Google Pixel 5」も出ます。

「Xperia 5 II」

「Google Pixel 5」

石野氏:「Galaxy Fold」は一社販売にこだわったし、OPPOのFind X2 Proもそう。抱え込むわりにすぐ販売終了にしちゃうから、結局レアなスマートフォンになっちゃう。ここがドコモと違うところで、ドコモは独占販売したら、比較的ちゃんと長く売ってくれる。

法林氏:ラインアップ的には目新しいものはないというか、大体予想された範囲内ではあるけれど、Galaxyを中心にうまくまとめたなという印象です。

石野氏:折り畳みスマートフォンを2機種出すっていうのは意外でした。

石川氏:ちょっと勇気あるなというか。auっぽいですよね。

石野氏:5Gを象徴する、新しさを感じさせるスマートフォンを出したいっていう意志は、すごく伝わってくる。ただ、ミドルレンジを拡充すると宣言した割に、ちょっと層が薄いかなという気もしたんですけど、どうですかね。

石川氏:まぁ、「Galaxy A51 5G」が売れるんじゃないですかね。auとしては早いタイミングで発表会やって、新しいプランを出してと、攻めている感があるなといった印象。発表会を「やるやる」と言っていたソフトバンクは、結局リリースだけで終わっちゃった。

「Galaxy A51 5G」

石野氏:auは「AQUOS zero 5G basic DX」をなぜか発表会のちょっと前に発表、すでに発売してしまった。そのことについて、今回の発表会では一切言及しなかったのも疑問。ミドルレンジを拡充して5Gを盛り上げていきますっていうなら、AQUOS zero 5G basic DXも混ぜて発表すればよかったのに。

「AQUOS zero 5G basic DX」

法林氏:なんで一緒に並べないのかな。

石野氏:そうなんですよ。ついでにXiaomiの「Mi 10 lite 5G」も一緒に混ぜちゃって、「うちはミドルレンジの5Gスマートフォンをこんなにラインアップしていますよ」ってリリースすればよかったのに、なんでご丁寧に発売日で区切っちゃうのかなって思いました。

「Mi 10 lite 5G」

法林氏:価格帯見たら変だよ。高価格なスマートフォンばかり。Galaxy Z Fold2 5Gでしょ、Galaxy Z Flip 5Gでしょ、Galaxy Note20 Ultra 5Gでしょ……。多少価格は抑えめだけどXperia 5 IIもラインアップする。これで“みんなの5G”っていうのは無理があるんじゃない? って思います。

石野氏:「AQUOS sense5G」があったからまだいいですけど、みんなの5Gっていうんだったら遅れたXiaomiから全部含めて紹介すればいいのに、そこを生真面目に区別する意味がちょっとわからなかったです。昔のソフトバンクだったら確実に、下手したら夏モデルとか春モデルから引っ張ってきて「うちはこんなにミドルレンジの5G対応スマートフォンがある」って言ってただろうに(笑) わざわざ発表会するんだから、もっと違うアピールのし方もあっただろうって思います。
まぁそうはいっても、この時期に大規模なリアルの会見をやった勇気は買いたいですし、ほかのキャリアやメーカーも続いてほしいなとは思います。やっぱり現地に行ったほうが報道しやすい。スクリーンショットをとりながら話を聞くと、大事なところを聞き逃したりするんですよね。

「AQUOS sense5G」

Googleの新端末2モデルはどっちがおすすめ?

房野氏:Googleが発表した新製品はいかがですか。

石川氏:Googleはミドルレンジのスマートフォンを軸にしてきたなという印象。Snapdragonの765Gを使い、それを差別化したスマートフォンの開発競争が激しくなってきている。Snapdragon 765Gを使うスマートフォン同士だと、値段の違いが明らかになる。その点では、やっぱり中国メーカーの勢いが強いなって印象はある。

石野氏:「Google Pixel 4a(5G)」は「Google Pixel 4a」と内容が違うって思いました。カメラも「Google Pixel 5」レベルだし、CPUもGoogle Pixel 5と同じ。もう少しスペックを落として、Snapdragonの600番台のCPUを使って値段を下げればいいのにとは思った。やっぱり、Googleは端末の販売に慣れていない感じがする。

「Google Pixel 4a(5G)」

「Google Pixel 5」

石川氏:Google Pixel 4aの5G版っていうなら、同じデザイン、同じサイズじゃなきゃダメじゃないのって思う。

石野氏:実際のスペックを見ると、"Google Pixel 5 マイナス"くらいの出来になってたので、わざわざ高額なGoogle Pixel 5を買わなくていいじゃんって話になる。

法林氏:個人的には、Google Pixel 4a(5G)はいらないかな。Google Pixel 5とGoogle Pixel 4a(5G)の差がそんなになくて、防水、ワイヤレスチャージ、逆チャージ、イヤホンジャックくらい。それなら上級モデルが選ばれるんじゃないかって思います。

石野氏:Pixel 5はディスプレイのリフレッシュレートが90Hzなのでちょっと違うけど……これくらいの違いなら、Google Pixel 4a(5G)で十分かなって思う。

法林氏:僕は上位と下位のモデルに人気が分かれると思う。Google Pixel 5を買うか、5G対応してないけど、お得なGoogle Pixel 4aを買おうかと。そうなると真ん中のGoogle Pixel 4a(5G)の売れ行きはしんどいかなって思う。

スマートスピーカーとスマートウォッチも続々登場で戦国時代へ!

法林氏:意外だったのはスマートスピーカーの「Google Nest Audio」。いろいろな工夫をしてきたなって思いました。あと「Google TV」も発表された。

「Google Nest Audio」

「Google TV」

房野氏:「Google TV」は日本ではしばらく使えませんね。

法林氏:「Android TV」はソニーとかシャープとか、ほかのメーカーが追随して、だいぶ日本に定着してきたよね。

石野氏:アップデートできるんですかね。

石川氏:厳しいんじゃないかな。

石野氏:リモコンの形から変わりますもんね。Android TVを自宅で使っているのですが、ペアレントコントロールの設定がないので、幼い子供がいる家庭で利用するには厳しいかもって思いました。「Netflixボタン」とか、定額配信の動画を再生するボタンを押すと、使用者の区別なくすぐ表示される。うちの子供が、Netflixを2、3時間ずっと見ちゃう。「見過ぎだよ」って再生を止めると怒って暴れだしちゃう(笑) 家族で使うことがあまり考えられていないのかなって印象です。

石川氏:その点でいうと、アップル系のほうがコントロールしやすいかもしれませんね。

法林氏:アップルが不思議なのは、Apple TVはコントロールできるのに、iPhoneやiPadはマルチアカウントに対応しないとかね。共有サービスみたいなのもあったりする。

房野氏:Xiaomiなどから新作が発表されたスマートウォッチはどうでしたか。

法林氏:Xiaomiの「Miスマートバンド5」はまだ日本では出てないけれど、その行く末に注目しています。スマートウォッチもいよいよ競争が激しくなってくるぞって印象です。アップルが「Apple Watch Series 6」に血中酸素濃度を測れる機能を載せていますが、健康管理にはスマートウォッチが便利だと、いよいよ世間に認識されてきた。XiaomiとかOPPOみたいにスマートフォンメーカーから参入する会社が増えてくると思います。あとはヘルスケアを志向する、ガーミンやポラールといったメーカーが、スマートウォッチでさらに本気を出してくれると面白いですね。

「Miスマートバンド5」

......続く!

次回は、新型「iPhone」について話し合う予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘

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