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半数以上の企業が2020年度業績は減収減益の見通し、最も落ち込んでいる業種は?

2020.10.21

今後、業績へマイナスを見込む企業は80.6%、緩やかに減少も依然8割台に

今、国内の新規感染者数は引き続き不透明な状況が続いており、新型コロナウイルスの動向が国民の生活や企業活動を左右することに変わりはない。

また、「新しい生活様式」への対応が求められるなか、企業には従来とは異なる働き方や、時代に即した商品やサービスの開発や販売が求められている。

TDBが新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)により自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、『マイナスの影響がある』(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と見込む企業は80.6%となった。8月から1.9ポイント減となり、5カ月連続で減少した。

内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」は68.4%で、7月時点からほぼ横ばいで推移している。一方、「今後マイナスの影響がある」は12.3%で、8月から2.1ポイント減少しており、先行きに対する不透明感は和らぎつつある。

また、「影響はない」とする企業は11.2%だったほか、『プラスの影響がある』(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)は3.6%となり、前月とほぼ横ばいとなった。

『マイナスの影響がある』企業を業界別にみると、『運輸・倉庫』が86.9%でトップ。以下、『製造』(84.5%)、『卸売』(82.8%)、『不動産』(81.1%)が続いた。より細かく業種別にみると、「旅館・ホテル」が96.8%となり、6カ月連続で最も高い。次いで、アパレル関連の「繊維・繊維製品・服飾品小売」(93.5%)、イベントの中止・延期によるポスターなどの減少や企業のペーパーレス化による影響がみられる「出版・印刷」(92.9%)が続く。

業績へプラスの影響を見込む企業、小売業や食料品関連が上位に

『プラスの影響がある』と見込む企業を業界別にみると、『小売』が11.1%となり、内訳となる「既にプラスの影響がある」(7.4%)、「今後プラスの影響がある」(3.7%)を含めてトップとなった。次いで、『金融』(4.7%)、『卸売』(4.4%)、『製造』(3.6%)が続く。

業種別では、スーパーマーケットなどを含む「各種商品小売」が35.6%で、7カ月連続で最も高くなった。以下、「飲食料品小売」(17.3%)、「医薬品・日用雑貨品小売」(13.0%)といった小売業が上位にあがった。

2020年度の業績見通し、企業の56.0%が「減収減益」を見込む

2020年度(2020年4月決算~2021年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益)について尋ねたところ、「増収増益」を見込む企業は10.5%となり、2020年3月調査時点から3.0ポイント減となった。一方、「減収減益」は56.0%となり、同11.6ポイント増で、大幅に増加している。3月以降、緊急事態宣言など新型コロナによる影響は拡大し続け、2020年度の上半期終了時点では企業の半数以上が減収減益を予想している結果となった。

減収減益と見込んでいる企業を業種別にみると、「旅館・ホテル」が87.1%で最も高い。次いで、「娯楽サービス」(80.6%)、「飲食店」(80.0%)など、個人向けサービスの業種が上位となっている。また、自動車需要が大きく落ち込んでいる「輸送用機械・器具製造」(77.3%)なども高い。全体の減収減益見込みは3月調査比で11.6ポイント増となったものの、特に上位5業種では増加幅が大きく、3月時点より業績見通しが大きく下振れしている様子がうかがえる。

 新型コロナをきっかけに取り組み始めた働き方は、「オンライン会議の導入」がトップ

新型コロナの感染拡大にともない、働き方改革の取り組みに変化がみられたか尋ねたところ、「新型コロナ拡大をきっかけに取り組みを開始した」働き方として、「オンライン会議の導入」(39.0%)が最も高く、「在宅勤務の導入」(33.9%)、「時差出勤・フレックスタイム制の導入」(25.7%)なども高かった。また、「新型コロナ拡大前から取り組んでいた」では、「ペーパーレス化の推進」(26.7%)や「インターネットによる受注・販売の強化」(21.5%)の割合が2割を超えていた。両者を合計した『現在取り組んでいる』[1]では、「オンライン会議の導入」が53.7%で最も高く、次いで、「時差出勤・フレックスタイム制の導入」(39.5%)、「在宅勤務の導入」(39.2%)が続いた。また、「今後取り組む予定」では、「ペーパーレス化の推進」(28.3%)が最も高い。

企業からは、「オンライン会議が増加し、従来の会議スタイルより参加者が増えたことで、お互いの情報交換をしやすくなった」(一般病院、京都府)など、オンライン化に対する前向きな意見が聞かれた。一方で、「ステークホルダーの動向に合わせなければならない」(建設機械・鉱山機械卸売、埼玉県)や「オンライン会議や商談打ち合わせは回線速度がまちまちなので、その点も今後改善しなければならない」(ソフト受託開発、高知県)などの課題もあげられていた。また、在宅勤務について、「在宅勤務は従業員間のコミュニケーションが取れない。さらに労働時間のオンとオフの区別がなくなってしまい、どのように従業員に定着させるかが肝要となる」(クレジットカード、大阪府)、「在宅勤務を行っている従業員のメンタルヘルスに関して、直接顔を合わせないためフォローが難しい状況」(ソフト受託開発、東京都)といった導入や運営の難しさを感じているという意見も多かった。

[1] 「新型コロナ拡大前から取り組んでいた」と「新型コロナ拡大をきっかけに取り組みを開始した」の合計

働き方を変えるうえでの問題点、「リモートワークに適さない業務が主である」がトップ

新型コロナウイルスの影響によって従来とは異なる働き方が求められているなか、働き方を変化させるときの問題点を尋ねたところ、接客や工場における生産業務など「リモートワークに適さない業務が主である」が74.5%で最も高かった(複数回答、以下同)。

企業からは、「会社で製作する製品は、在宅勤務では対応できない。そのため対応できる部門との格差が生じることが問題となる」(半導体製造装置製造、福井県)といった声が多く、実際に『製造』『小売』『農・林・水産』『建設』では8割を超えていた。次いで、「情報セキリュティが確保できない」(44.6%)、「ペーパーレス化が不十分」(43.8%)、進捗や繁忙度など「従業員の業務状況の把握が難しい」(43.4%)、「リモートワークができる従業員とできない従業員の格差・不公平解消が困難」(41.1%)が4割台で続いた。その他、従業員に関する項目も多くあげられている。

「新しい生活様式」に対応した商品・サービスの展開、咳エチケットや消毒関連が上位

新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、政府は「新しい生活様式」の実践例を公表している[1]。新型コロナによる影響の長期化が想定されるなか、新しい生活様式に対応した商品やサービスの開発・販売を行っているか尋ねたところ、「咳エチケットに資する商品、サービス」が18.7%で最も高かった(複数回答、以下同)。他には「手洗い、手指消毒に資する商品、サービス」(18.1%)、「インターネットを利用した販路拡大」(13.6%)も上位となった。

さらに、こうした商品やサービスについて今後の展開を検討しているか尋ねたところ、「インターネットを利用した販路拡大」が11.5%でトップとなった。また、「展示品や購入検討時での接触削減に資する商品、サービス」(9.0%)、「電子決済の導入や電子決済に資する商品、サービス」(8.8%)などが続いた。

企業からは、時代に即した対応の必要性に加えて、「ソーシャルディスタンスや換気など、新しい生活様式を取り入れた店舗運営をしている。しかし、収容可能人数が大幅に減少し、経営的には非常に苦しくなった」(一般食堂、三重県)や「新しい生活様式に事業を合わせることは、まだまだ厳しい。予算や労力が割かれ、経費の減少に対応しなければならない」(広告制作、東京都)といった声があがった。また、開発や販売に関しては「幸いにも新型コロナウイルスの影響で需要が高まった商品があったが、これからの新しい生活様式に沿った新製品を作れるかが課題」(卸売、京都府)などの意見が聞かれた。

新型コロナを機に進む変化、対応できるかが今後のカギを握る

本調査の結果、新型コロナウイルス感染症の影響で業績にマイナスの影響があると見込む企業は、緩やかに減少しているものの依然として8割超となった。さらに、2020年度の業績見込みでは、増収増益を見込む企業は2020年3月時点から3.0ポイント減少した一方で、減収減益を見込む企業は同11.6ポイント増加の56.0%となり半数を超えた。新型コロナウイルスによって経済活動が停滞したことが企業に非常に大きなショックを与えたことがうかがえる。

また、新型コロナの感染拡大をきっかけに取り組み始めた働き方では、オンライン会議や在宅勤務、時差出勤・フレックスタイム制、オンライン商談の導入など、主に新型コロナ拡大前には取り組んでいなかった項目が上位にあがっている。

しかしながら、主な業務がリモートワークに適さないためにオンライン化が難しいとする意見も、エッセンシャルワーカーなどを有する業界などで多くみられた。「新しい生活様式」に対応した商品やサービスの開発・販売では、総じて対応に苦労している様子がうかがえる。しかし、新しい生活様式に準じた商品やサービスは、今後の新たな需要創出には必須であろう。従来と異なる働き方や生活に移りつつあるなか、企業にとってはそうした変化への対応が今後のカギを握るといえる。

※調査期間は2020年9月15日~30日、調査対象は全国2万3,695社で、有効回答企業数は1万1,689社(回答率49.3%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し、今回で8回目

構成/ino.

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