引用元:ZMP社ウェブページ
ニューノーマルな生活を下支えしてくれるロボットが、邪魔者扱いされずに人と共に生きる社会。
圧倒的な技術力で、大規模倉庫の自動化からちょっとした移動用の乗り物まであらゆるロボットソリューションを手掛けるZMP社は、ニューノーマルの生活に適合を急ぐ我々に対して、課題解決の期待値が高い。
2020年12月号のDIMEでは外出が難しい高齢者向けのソリューション「RakuRo」について取り上げたが、他にも多数のロボットソリューションを持ち、法人・個人問わず課題を解決してくれている。
写真提供:ZMP社
「RakuRo」は一人乗りの車椅子型のロボットで、図のように歩道上などを自動で走行してくれる。行き先を伝えるだけで走行してくれるので運転の必要はない。東京都中央区の佃・月島エリアで10月1日からサービスが始まった。
マーケットイン思考で物流・倉庫関係の課題を解決した実績がある
「コロナ禍で幸いにもロボットソリューションの引き合いが増えました。人々の移動は止まりましたが、物流は止められません。しかし三密を避けるために作業者を減らさなければなりません。そんな悩みを解決できるソリューションをすでに持っていたからです」(谷口さん)
ZMP社社長の谷口さんは技術畑出身ながらホスピタリティがあり、社会の課題発見に長けた人柄が特徴的。高齢者向けの移動用ロボットをはじめ、谷口さん自身が見てきた課題を熱心に解決しようと意気込む。
ITシステムやロボットなどは会社の方針や作れるものを基準にビジネスを行なう「プロダクトアウト」が一般的だが、ZMP社の場合にはユーザーのニーズに合わせてビジネスを開発する「マーケットイン」の考え方でロボットソリューションを開発している。
2020年時点でビジネスの成果が大きく発揮出来ているのは、物流や倉庫関係の領域。同社の物流支援ロボット「CarriRo」は、倉庫内を自律して動き回り様々なモノの入出庫を無人で行える。
■CarriRoシリーズのラインナップ
引用元:物流支援ロボットCarriRo(キャリロ)/ZMP
よくある倉庫ロボットと異なりロボット動作に必要な大きな骨組みなどは必要ない。台車やフォークリフトが自律して動き回り、モノのタテヨコ移動を実現してくれる。導入のハードルが低い点が、物流業者の視線を釘付けにしていることだろう。
「私は自分の目で見て見聞きした課題に対して、これまでにないロボットを開発することで問題解決しようと志してきました。ロボットは複数の要素が複雑に絡み合う総合ソリューションなので、コロナ禍を契機に参入しようとしてもハードルが高く。完成形のロボットを作るのに最低でも2~3年はかかるでしょう。」(谷口さん)
ユーザーのニーズに合わせて課題解決には企画力と技術力の両方が必要になるが、ZMP社の場合はすでにソニーやインテルなどの大手企業との提携も実現し、他社に負けない力があることを実証してくれている。2001年の会社設立から今まで安定した成長を遂げてきたのも納得できる。
個人の社会生活がロボットと共生できる「ロボタウン」を作るのが夢
「ニューノーマルな生活では自宅からの徒歩圏内の利便性向上が求められています。その徒歩圏内で、人とロボットとが共生するロボタウンを作るのが私の夢です。」(谷口さん)
ニューノーマルな生活で自宅でのリモートワークが増えると、遠出する機会が減って、自宅からの徒歩圏内にある商業施設や飲食店の利用が増える。逆に徒歩圏内にある飲食店の宅配サービスを利用する人も増えるだろう。
冒頭で紹介した「RaKuRo」は、足が悪くて外出できない高齢者の生活圏での外出を可能にしてくれる。またZMP社では「DeliRo」という無人宅配ロボットも手掛けている。すでに海外では導入の引き合いがあり、「RakuRo」と同じく社会への本格導入を目指している。
これらのロボットは物流施設や倉庫施設のような閉じた世界ではなく、広い街中で走り回る。そのため、事故を起こさないというのは大前提で、人間から邪魔者扱いされないように住民たちから求められるロボットが必要となる。
■ロボタウンのイメージ
引用元:ロボタウン特設サイト/ZMP
「スマートシティはITが主役となってそれに人が適合していくスタイルですが、ロボタウンは住民たちが街作りをしていく中で、ロボットを取り入れていく。取り入れたロボットが住民たちに上手く使われていく。IT企業や行政から押し付けにならない形でロボットが社会に浸透してほしいです」(谷口さん)
無人のロボットが街中を走り回るには、法改正も必要。今すぐにといわけにもいかないが、着々とZMP社のロボットが社会全体で活躍する日が迫ってきている。
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取材・文/久我吉史