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今求められるリーダーの形!「共創力」で大成功を収めた「ルンバ」の生みの親、アイロボットCEOコリン・アングル氏の人柄に迫る

2020.10.20

アイロボットCEOのコリン・アングル氏のこれまでの歩みを、世界で初めて語った一冊『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力」』が10月29日に発売。その発売にあたり、コリンが日本の読者向けに送ってくれた動画がある。まずはご覧いただこう。

この動画からもコリンの人柄が伝わってくるが、まさにその人柄と持ち前の「共創力」から生み出されたのが、「ルンバ」大成功につながる大企業との数々のパートナーシップや、日本との関わりなど。ここを少し掘り下げておきたいと思う。

アプローチャブルな人柄

 「共創力」を活かして、ロボットが日常の中に存在する世界を作り上げてきたコリンだが、自社はもちろん、他社も含めて多くの人々が彼に協力し、共にその夢を実現してきた理由の1つに、彼の人柄が挙げられるだろう。

 動画を見てもわかるように、コリンはとても気さくな人物だ。そして、同じ内容の話でも、相手によって語り口を変え、わかりやすくなるように気遣ってくれる。そのため、彼はアイロボットのスタッフからも「アプローチャブル」、つまり、近付きがたいような気難しさは微塵もなく、アプローチしやすいリーダーとして慕われている。だからこそ、困難があっても周囲の力を借りて、様々なプロジェクトを成功に導いてこられたのだ。

大好きだという大型ホワイトボードの前で、楽しそうにディスカッションするコリン。

 会社としての収入がほとんどなかったときでも悲観的にならず、常にどのようにすれば、自分も相手も納得できる仕事を成し遂げられるかを考え、少しずつでも前に進もうとしていた。「共創」とは、自社だけが良い思いをするのではなく、関係するすべての人や企業が、関わって良かったと感じられるものでなくてはならない。ときに提携先の企業のほうがメリットが大きいのではないかと思えるほどのコリンの誠実さが、前例のないような申し出であっても信頼を勝ち得て、ロボット業界と社会にとってのマイルストーンとなる製品を生み出してきたのである。

ルンバ開発へとつながった大企業との共創メソッド

 その意味で、ロボット掃除機を社会に根付かせたルンバの開発のきっかけとなり、他の大企業と共創する場合の基本となるメソッドの確立へとつながったプロジェクトがあった。それは、ジョンソン・ワックスとパートナーシップを結んで開発された、スーパ ーマーケットの床などを清掃する業務用ロボットだった。

 ジョンソン・ワックス(現在はSCジョンソン)は、当時から大企業としてビジネスを確立していた。たいていの場合、大企業と一緒に仕事をすれば、お金も出すが口も出してくる。対するアイロボットは、まだ実績に乏しかったが、優れた発明のためには自由な開発環境が何よりも重要であると知っていた。

 そこでコリンは、ジョンソン・ワックスに対して、次のように正直に伝えた。 「自分たちはMIT出身のエンジニアとソフトウェアの専門家によって構成された、革新的な技術を持つ企業ですが、規模は小さく、資金的な余裕もあまりありません。あなた方は大企業で、私たちとパートナーになりたい理由は、共に新しくすばらしいビジネスの機会をつくり出せると思ったからでしょう。しかも、率直に言って、私たちと一緒 にプロジェクトを進めるほうが、自社内の研究チームを動かすよりも安くて済むと思います。なぜなら、こちらは開発にかかる実費しか請求しないためです。

 ただし、途中でどんなことが起こるのか、前もって見通すことは私たちにもできません。それが、発明というものだからです。そういうわけで、いつまでに、どこまでを完成させるといったロードマップ的なものは用意しないでください。その代わり、出来上がったものに満足できなければ、契約をキャンセルしていただいて結構です。かかった実費のみ支払っていただくだけで、それ以上の補償などはいらず、いつでもキャンセルして構いません。そのときは互いに、ありがとう、と言って別れるだけです。

 しかし、もし私たちが御社にとって重要と思えるものを作り出したときには、そこから生み出される利益を分配していただければと思います」

 ジョンソン・ワックスにとっても、そんな取引は前代未聞といえた。しかし、その内容は、彼らにとっても、アイロボットにとっても申し分のないものだった。完成したロボットは、商業的な成功作とはいえなかったが、このコラボレーションプロジェクト自体はすばらしく、何よりルンバを生み出すためのヒントが得られたことが大きな収穫といえたのである。

アイロボットの躍進における日本の役割

 動画の中でコリンも語っているが、実は、ルンバの成功には日本のユーザーが大きな役割を果たしてきた。日本では子どもの頃から親しんできたアニメなどの影響もあり、まだ実際にそのような製品が存在しなかった頃から、ロボットを人間のパートナーと捉える傾向が強かった。

 これに対して、かつての欧米におけるロボットのイメージは、その語源がチェコ語の強制労働であったように、人間の代わりに働く機械というものであり、場合によっては人間の仕事を奪う敵のように見られることもあった。

 ルンバが普及した今では、アメリカでもロボット掃除機をペット感覚で家族の一員と感じる人が増え、必ずといってよいほど、自分のルンバに愛称をつけ親しみを込めて呼ぶようになっている。しかし、元々、そのようにパートナー感覚でロボットを受け入れる下地のあった日本では、早い時期からルンバの導入が始まった。そして、コリンが「世界一厳しい」という市場のユーザーからのフィードバックによって、製品自体の改良も急速に進んでいったのだ。

 導入時の面白いエピソードとしては、次のようなものがある。コリンが初めて日本を視察に訪れたときのことだが、日本人が求めるクオリティの高さに驚いたというのだ。

 「品質に関する期待値の大きさは、おそらく世界一だと思いました。日本市場で成功をつかむために求められる品質の重要性を理解するだけでも、私たちにとっては文化的なチャレンジでした。例えば、塗装面に少しのムラがあっても買ってもらえません。パッケージに傷があるだけで敬遠されます。さらに、パッケージを収めた配送用の外箱に凹みがあるだけでも問題となるのです。そのため、日本向けには配送用の箱をさらに保護する箱まで用意して出荷を始めたほどでした。」

 コリンが受けたカルチャーショックのおかげで、初期のルンバの完成度は急速に高まり、またその後の機能や性能面の向上にも日本からのアドバイスが大きな役割を果たしていったのだった。

コリンの執務室内に飾られた「ルンバ」300万台のお祝いに贈られたという大理石のルンバ!それからわずか10年後、現在は世界で3000万台が販売されている。

人知れず働く裏方的なロボットへの愛

 そんなコリンは「スター・ウォーズ」のファンであり、若き日に初めて観たこの映画のことを「ロボットが登場するすばらしい物語」だと思ったと語っている。

 ところが、コリンが惹かれたのは、一般に人気があるR2‐D2やC‐3POではなく、MSE‐6と呼ばれる箱型ドロイドだった。正確には、MSE‐6シリーズ・リペア・ドロイドと呼ばれるそのロボットは、車輪で走行し、帝国軍の主力宇宙戦艦であるスター・デストロイヤー内で、様々なアイテムのデリバリーやメンテナンス、床磨き、 スポット溶接などの仕事を与えられている。

 なぜ、MSE‐6に注目したのか? その理由は、実にコリンらしいものだ。R2‐D2やC‐3Pが現実のものならば確かに素晴らしいが、彼は、一体どのようにすれば、そういうマジカルなロボットが作れるのか、疑問に思ったのである。これに対して、MSE‐6は現実的なロボットであり、自分でも作れると感じたという。コリンにとっては、その点が何よりも重要であり、明確な目的があって実現可能なロボットこそが自分の目指すべき製品であると、その頃から認識していたことがわかる。

MSE-6の3Dプリントモデルを手に。

 そして、今、彼は様々な子どもたちに、科学・技術・工学・芸術・数学を統合的に教えるSTEM/STEAM教育にも熱心に取り組んでいる。自分が育ってきたのと同じような環境から、未来のロボットエンジニアたちが生まれていくことが、これからの社会にとって大切と考えているからである。

 単に製品を作って売るだけでなく、これからのあるべき世界を真摯に考えていること。それが、コリン率いるアイロボットを、他と一線を画して際立つ存在にしているのだ。

 コリンのユーモラスで刺激的な知的探究への旅の記録でもある『ルンバを作った男 コリン・アングル「共創力」』(10月29日発売)では、興味深いアイロボットの歴史やルンバの開発秘話、そして、若きエンジニアや起業家、企業人へのメッセージなども含めて、コリンが何より重視している「共創力」を、さらに多角的に把握することができる。これから起業を考えている人はもちろん、人生や事業で成功するために必要な資質を学びたいと思う人や、次世代を担う子育て中の方たちにも、ぜひ読んでいただきたい1冊だ。

『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力』(小学館)は10月29日発売!詳細はこちら
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撮影・文/大谷和利

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