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告別式と火葬を1日で執り行なう「一日葬」が増加、コロナ禍が葬儀業界に与えた影響

2020.10.19

亡くなった人を弔う場として、お葬式はなくてはならないものだ。しかし、今はコロナ禍の真っただ中。飲食店や観光業など多くの業界が対応を迫られており、葬儀業界もまた例外ではない。新しい生活様式に沿った内容に変化している。

そんなコロナ禍における葬儀業界の現状を探るアンケート調査がこのほど、株式会社鎌倉新書により実施された。

なお本調査は、鎌倉新書が運営する「いい葬儀」提携葬儀社を対象として、8月18日~9月9日に行われている。

緊急事態宣言下以降、直葬は減少トレンド、家族葬、一日葬、一般葬は上昇トレンド

(1)新型コロナウイルスの感染拡大前、(2)緊急事態宣言下、(3)緊急事態宣言解除後、(4)規制緩和されつつある8月以降で、増加傾向にあると思う葬儀の種類を伺った。

・直葬、火葬式:4月~5月の緊急事態宣言下では急上昇し、その後は徐々に減少傾向。
・家族葬:3月以前の感染拡大前は増加していたが、緊急事態宣言で急減少。8月以降は回復傾向にある。
・一日葬:3月以前の感染拡大前から上昇傾向。
・一般葬:3月以前の感染拡大前では上昇率0%となり、6月以降は微増。

緊急事態宣言下では、三密回避のため直葬・火葬式が急上昇している。その後は規制緩和の程度とともに減少傾向で、家族葬や一日葬を選択するご遺族が増加している。

唯一、一日葬が全期間を通して上昇トレンドにある。一日葬とは、「お通夜を行わず、告別式と火葬を1日で執り行う葬儀」のこと。一日葬は下記の観点から、新型コロナウイルスとの共存に適した環境の葬儀と言える。

・参列者が多いお通夜を省略するため、ご家族は故人と過ごす最後の時間を確保でき、納得感が高まる。
・1日で葬儀を終えるため、同場所の長時間滞在を防ぐことができる。
・近年増加傾向の家族葬とは異なり、知人や友人など、生前に故人と関わりのあった人も幅広く参加できる。
・遠方に住む親族の日帰りが可能になるので、近辺に宿泊することが無くなり、感染リスクを低減できる。
・通夜振る舞いを行わないケースが多く、食事の席での感染リスクを避けられる。

しかし、鎌倉新書が定期的に行っている「お葬式に関する全国調査」では、一般葬を選択した喪主が最多。コロナ禍で上昇トレンドにある一日葬は、全体でみると1割以下となり、今後拡大の余地がありそうだ。一方で、一般葬のシェアは新型コロナウイルスも作用し、減少していくとみられる。

<コロナ禍で葬儀に参列した人の感想>

・親戚の葬儀で、20~30人規模でした。手指消毒、マスク着用が徹底されていました。
・葬儀と納骨を一緒に行いました。炎天下でしたがマスクを外せず、葬儀社の方も大変そうでした。
・お通夜だけ参列しました。席は設けず、自由にご焼香できたので心配ありませんでした。

<コロナ禍で葬儀の参列を取り止めた人の感想>

・以前、葬儀に参列してインフルエンザに感染したことがあるので参列は控えました。参列しなくても、お別れの仕方はさまざまなので、悼む気持ちは故人に伝わると思いました。
・県外をまたいでの移動をしなければいけなかったので、周囲に迷惑がかかると思いました。最後の挨拶や、お見送りをしたかったです。
・初めは参列を考えていましたが、ごく近しい人だけの家族葬になり参列できませんでした。お世話になっている人なので、お別れの挨拶はしたかったです。コロナが落ち着いたらお墓参りに行こうと思います。

葬儀の規模は「今後回復すると思う」が14.2%も、「縮小すると思う」が依然

80.8%葬儀業界の現状と予想を伺ったところ、葬儀の規模は「縮小したし、今後も縮小すると思う」が80.8%となった。一方で今回から選択肢に新設した「縮小したが、今後は回復すると思う」と回答した人は14.2%に前後にとどまった。

<葬儀社の声>

・小規模化が進み、「弔う」意義、本質、故人に対する敬意などが軽視されてしまわないか危惧しています。(愛知県)
・少人数での葬儀が増加することで、返礼品、法事等は減少するのではないかと思います。(高知県)
・緩和により式をするようになっても参列者は親族のみで、大人数に来てもらうのはまだ先になりそうです。(東京都)
・従来以上に細やかな施行が望まれると思います。(東京都)
・今後は家族葬や1日葬が主流となると思います。(奈良県)
・安心なサービスとコストカットを重視しないと生き残れないと思います。(神奈川県)

オンラインシステムの普及率は、「オンライン相談」が最多の22.5%で、今後波及の余地あり

■オンライン相談

導入率は最多の22.5%となった。葬儀の打ち合わせは長時間に及ぶケースもあり、敏感になる人もいる。オンライン相談を導入することで、喪主が安心できる仕組みづくりを意識する必要がありそうだ。

■オンライン供花・弔電・香典の受付

導入率は16.7%となった。参列者は、接触を避ける手段として有効。受付担当の人数削減により、負担を軽減できる。また、身体的な理由やコロナ禍で移動が心配な人は、遠方からでも気持ちを示すことができる。

■オンライン葬儀中継

オンライン葬儀中継は10~15年前から存在していたとも言われているが、コロナ禍でも普及率は13.3%にとどまった。オンラインセミナーやオンラインショッピングなどは、不特定多数の人が場所を選ばずに楽しめることが特徴。

しかし、葬儀は呼ぶ人がある程度決まっており、家族葬や直葬の増加により、その性質は一層高まった。このため、身体的な理由や、高齢で参列が困難な場合を除き、オンラインで葬儀を中継・配信する動機は現時点では弱いと言えそうだ。

今後ますます変化する葬儀の形に対応し、喪主や参列者の「選択の幅を広げる」ことが可能なオンラインシステムの導入は、検討の余地がある。しかし、グリーフケアの観点から「直接別れを告げる」 ことは非常に重要で、コロナ禍においてその役割は一段と高まっている。

新型コロナウイルス感染予防をしている葬儀社は3月時点と比較し2倍に

喪主や参列者が、葬儀社や葬儀会館に対して求める感染防止対策は、「会場入り口に消毒液を設置してほしい」「葬儀スタッフもマスク・手袋を着用してほしい」などが挙げられる。

これらの対応率は、3月時点では 「一部もしくは全てに対応している」 と回答した葬儀社は46.1%と半数以下にとどまったが、6カ月後の8月時点では91.7%が「一部もしくは全てに対応している」と回答し、非常に高い水準となった。

従業員の感染防止対策は、「マスクの着用」「消毒液の使用」 ともに90%超

従業員の新型コロナウイルス感染防止対策の詳細を見ていくと、マスクの着用、消毒液の使用、手洗い・うがいともに3月時点を上回っている。以前はマスクや消毒液の入手が困難だったため、「(着用および使用を)推奨している」にとどまっていたが、現在は生産や流通機能も回復し入手しやすくなったことから、対応率も上昇している。

「喪主やご家族のマスク着用を義務付けている」3月時点の11.2倍

喪主や親族の新型コロナウイルス感染防止対策の詳細を見ていくと、3月時点と比較して最も変化のあったのは「マスク着用の義務化」の11.2倍だった。従業員への対応同様、生産や流通機能も回復し入手しやすくなったことで、葬儀社サイドも義務化をはかれていることが伺える。また、マスク着用と消毒液の使用は、「特に何もしていない」と回答した葬儀社はなかった。

<葬儀社の感染防止対策(一例)>

鎌倉新書の広報担当が解説

<本調査から読み取れること>

2020年4月の緊急事態宣言下と比較し、家族葬・一日葬・一般葬は上昇傾向、直葬は減少傾向であることが判明し、「自粛による最小規模の葬儀」 はピーク時と比較して緩やかになっている印象です。背景は下記の点が考えられる。

<日本政府発表の「イベント開催制限の段階的緩和の目安」>

・都道府県を跨いだ移動が緩和され、近隣都道府県での葬儀の場合は参列する人も増えた。
・集会人数の制限緩和に伴い、喪主の参列人数への意識が柔軟になった。

「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」(全日本葬祭業協同組合連合会・一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会)が策定され、葬儀社が講じるべき対応が明らかになった。

<各葬儀社が自主的に感染拡大防止対策を実施>

・調査結果内にも記載の通り、感染防止対策をしている葬儀社は2020年3月時点と比較し2倍になった。特に、喪主や親族へのマスク着用の義務化は同時点から11.2倍となり、参列者の安心感を醸成している。
・葬儀社が感染拡大対策をホームページに明記することで、相談者(喪主)の安心を醸成している。

<感染拡大防止対策を喪主が周知>

・親族や知人に葬儀の案内を出す際に、喪主が施行葬儀社の感染防止対策を周知しているケースもあるようだ。

一方で、オンラインシステムの導入は検討の余地がある。

・打ち合わせの選択肢を広げるオンライン相談
・遠方への移動や三密を避けることができる葬儀中継
・接触を避けることができるオンライン香典や供花

しかし、グリーフケアの観点で「直接別れを告げること」は非常に大切。今後、状況に応じて実際の参列とオンラインを組み合わせて活用してくことが重要になっていくかもしれない。葬儀社は喪主や参列者の「選択の幅を広げる」ことで、今後ますます多様化する葬儀の形に対応することがポイントになる。

<最後に>

新型コロナウイルスの感染拡大により、 「今までの習慣がなくなる」 「方法を変えて行う」 ことが増え、個人も事業者も変化の中にいる。

しかし、葬儀の形は変わっても、「人とのつながりを感じる、感謝をする」という本質は変わらないはず。さまざまな取捨選択を経て、「生前お世話になった方に感謝を伝えたい」と考える喪主や、「故人に敬意を示し、葬儀に参列したい」と思う周囲の人の気持ちに寄り添うことが大切ではないだろうか。

調査概要
調査名:「コロナ禍におけるお葬式の実態調査」(2020年9月)
調査対象:鎌倉新書が運営する「いい葬儀」提携葬儀社
調査期間:2020年8月18日(火)~2020年9月9日(水)
調査方法:インターネット調査/有効回答数:120件
※第1回 「コロナ禍におけるお葬式の実態調査」:https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/detail.html?id=7103

出典元:株式会社鎌倉新書

構成/こじへい

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