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人事担当者が感じているオンライン内定式のメリットと課題

2020.10.18

コロナ禍により、人との接触を最小限に留めようという風潮がある中、採用活動や就職活動もオンライン化が進んでいる。

オンライン化の波は企業の「内定式」にも及んでおり、“オンライン内定式”の実施を検討している企業も多いようだ。

そこで今回、オンライン内定式に関する意識調査が、ゼネラルリサーチ株式会社により、企業の人事担当者と2021年卒の大学生を対象にして実施されたので、その結果を紹介していきたい。

調査1:人事担当者の声|オンライン内定式の最大のメリットは“新型コロナウイルス感染対策”

まずは企業の人事担当者に、2021年度新卒入社の内定式について聞いた。

【図1】

「2021年度新卒入社の内定式はオンライン、オフラインのどちらで実施予定ですか?」と質問したところ、「基本的にオンラインで希望者のみオフライン(34.0%)」という回答が最も多く、次いで「完全オンライン(24.7%)」「未定(15.0%)」「例年通りオフライン(13.3%)」「会場を分散してオフライン(12.9%)」となった。

やはり“オンライン内定式”を予定している企業が多いようだ。

続いて、「“オンライン内定式”を行うメリットを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、「新型コロナウイルス感染対策を万全にできる(50.5%)」という回答が最も多く、以降「内定者の新型コロナウイルス感染への不安を払拭できる(46.4%)」「内定者の入社前の不安(内定ブルー)を払拭できる(28.3%)」「内定者の会社への安心感を高められる(21.2%)」「内定者の入社前辞退を防止できる(18.0%)」「内定者の交通費や宿泊費などの負担を抑えられる(17.1%)」「コストの削減ができる(15.2%)」「会社のBCP対策ができる(5.9%)」と続いた。

新型コロナウイルスへの感染リスクを減らすことが最優先事項であり、万全な対策ができることが一番のメリットだと感じているようだ。それに付随して、内定者が抱いている感染への不安や、入社前の不安払拭にも期待していることが伺える。

調査2:人事担当者の声|36.9%がオンライン内定式による“内定者同士の交流の減少”を懸念

【図2】

では、例年とは異なる“オンライン内定式”という形式のどのようなところに課題があると感じているのだろうか?

「“オンライン内定式”での課題を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、「内定者同士の交流の減少(36.9%)」という回答が最も多く、以降「大人数の参加による通信不具合発生のリスク(36.0%)」「内定者の期待と会社のビジョンとの乖離(30.0%)」「出席する内定者の減少(25.7%)」「内定者懇親会が開催しにくい(22.1%)」「内定者と既存社員の接点の減少(17.5%)」と続いた。

オフラインでの内定式とは異なり、内定者同士が直接顔を合わせることができないことによる交流の減少を懸念している人が多いようだ。

また、大勢が一堂に会する式典のため、通信不具合などのリスクや、さらには、内定者の期待と会社のビジョンとの乖離といったことが、“オンライン内定式”での課題と感じている人が多いようだ。

最も懸念している課題と、その対策について聞いた。

■“オンライン内定式”で最も懸念していることとその対策とは?

・内定者同士の交流が減るため、部署ごとに定期的にZoomでの交流の場を設けている(20代/女性/東京都)
・内定辞退者増加の可能性。こまめに連絡を取り、入社意欲を維持してもらう(20代/男性/東京都)
・大人数の参加による通信不具合発生のリスク。何台かのパソコンに分散させて通信不具合リスクの分散をする(20代/男性/高知県)
・会社と内定者とのコミュニケーション、内定者同士のコミュニケーション、何度もコミュニケーションをとるオンライン会を開催する (40代/女性/東京都)
・会社の理念がきちんと伝わるか。前もっての配布と新入社員の意識の確認(40代/男性/茨城県)

上記のような回答が寄せられた。“オンライン内定式”でも通常の内定式と変わらない「内定の実感」が得られるよう、工夫している様子が伺える。

調査3:人事担当者の声|44.4%が“感染対策を講じた上でのオフライン内定式の維持”を希望している

【図3】

新型コロナウイルスの感染拡大は依然として終息の兆しが見えず、現在も新規感染者が増加している。withコロナ時代は、“新しい生活様式”のひとつとして、内定式の在り方も変わっていくことだろう。

では、企業の人事担当者は今後の内定式をどのようにしていきたいと考えているのだろうか?

「“新しい生活様式”として今後の内定式をどうしていきたいですか?(複数回答可)」と質問したところ、「感染対策を講じた上でのオフライン内定式の維持(44.4%)」という回答が最も多く、以降「オンライン内定式への変更(33.5%)」「新たなプログラムやコンテンツの追加(29.8%)」「内定者懇親会の実施方法の変更(21.1%)」「内定式の日程の後ろ倒し(11.2%)」と続いた。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリモートワークが急速に普及したように、内定式もオンライン化が推進されそうだが、「オフラインの維持」を志向する人事担当者は多いようだ。

内定者同士の交流の機会などを考慮すると、オンラインよりもオフラインでの内定式が理想なのかもしれない。

また、『新たなプログラムやコンテンツの追加』と回答した人も少なくなかった。従来の内定式とは異なるプログラムやコンテンツとは、一体どのようなものを描いているのだろうか?

前の質問で『新たなプログラムやコンテンツの追加』と回答した人を対象に、「どのようなプログラムやコンテンツを追加したいですか?」と質問したところ、以下のような回答が寄せられた。

■新たに追加したいプログラムやコンテンツとは?

・みんなが安心し、気軽に質問できるコンテンツ(30代/男性/京都府)
・社長、役員会場テレビ電話(30代/男性/群馬県)
・参加していることを実感できるようなコンテンツ(40代/女性/東京都)
・オンラインランチ会(40代/女性/神奈川県)
・オンラインで内定者同士や先輩社員と気軽に交流できるプログラムなど(40代/女性/大阪府)
・皆が一体感がもてるような顔見せツール(40代/女性/愛知県)
・自己紹介ビデオメッセージ(50代/男性/千葉県)
・同期入社の人たちで交流ができるようにする(40代/男性/徳島県)
・これからの教育実習とプログラム、社会人としての規律を理解させるコンテンツ(50代/男性/北海道)
・実践的な研修カリキュラム(50代/男性/東京都)

新型コロナウイルスの感染拡大が今後いつまで続くかは未知数だが、“新しい生活様式”として今後“オンライン内定式”が定着していくと仮定しても、オフラインと同様の交流の機会が設けられれば、内定者の入社前の不安、いわゆる「内定ブルー」を防ぐことができるかもしれない。

調査4:21卒学生の声|61.7%がオンライン内定式のメリットは“交通費や宿泊費がかからない”と回答

【図4】

ここからは、内定者である2021年卒の大学生に、“オンライン内定式”について聞いていった。

まずは、「内定式はオンライン、オフラインのどちらですか?」と質問したところ、「まだ未定(42.4%)」という回答が最も多く、次いで「完全にオンライン(27.6%)」「完全にオフライン(14.8%)」「基本的にオンラインで希望者のみオフライン(9.9%)』」「会場を分散してオフライン(5.2%)」となった。

調査を実施した2020年9月16日~18日の時点では未定という人が多いようだが、新型コロナウイルスの感染拡大の状況などを踏まえ、「完全オンライン」での内定式となった人も少なくないことが伺える。

では、内定者が感じている“オンライン内定式”のメリットとはどういったことなのだろうか?

続いて、「“オンライン内定式”で感じるメリットを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、「新型コロナウイルスの感染リスクが減る(70.8%)」という回答が最も多く、以降「会場に行かずに済む(64.6%)』」「交通費や宿泊費がかからない(61.7%)」「日程の調整がしやすい(23.0%)」「家族が安心できる(14.2%)」「会社に対する安心感が高まる(12.8%)」「社長や役員、先輩社員との距離感が近く感じる(5.8%)」と続いた。

人事担当者の回答と同様、やはり新型コロナウイルスの感染対策が最大の関心事であるようだ。

また、遠方に住んでいる人にとっては、内定式に出席するために、会場まで足を運ぶ時間的負担や経済的負担が軽減できることも、メリットと感じているようだ。

調査5:21卒学生の声|63.1%がオンライン内定式の“他の内定者と交流できない”ことに不安を抱いている

【図5】

内定者が感じている“オンライン内定式”のメリットがわかったが、その一方で、“オンライン内定式”だからこその不安もあるはず。

では、どのようなことが不安なのだろうか?

先の質問で、「完全にオンライン」「基本的にオンラインで希望者のみオフライン」と回答した人を対象に、「“オンライン内定式”での不安を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、「他の内定者と交流できない(63.1%)」という回答が最も多く、次いで「入社する実感が湧かない(59.1%)」「会社のことが分かりにくい(43.1%)」「先輩社員の話が聞けない(25.9%)』『研修に参加できない(19.3%)」となった。

「内定者同士の交流の減少」という、まさに人事担当者が懸念していることが、内定者にとっても最大の不安要素となってしまっていることが浮き彫りとなった。

また、「入社する実感が湧かない」という不安も、オンライン特有の不安と言えるだろう。

実感が湧かないことに起因する内定辞退者の増加を防ぐためにも、企業側には内定者の不安を払拭する努力が求められているのかもしれない。

調査6:21卒学生の声|不安払拭のために企業に求めることとは

オンライン内定式への不安を払拭するために、企業側にはどのようなことを求めているのだろうか?

そこで、「不安の払拭のために会社にして欲しいことを具体的に教えてください」と質問したところ、以下のような回答が寄せられた。

■内定者が考える“不安払拭のために企業にして欲しいこと”とは?

・内定式以外でも内定者とオンラインで話す機会が欲しい(女性/岐阜県)
・少人数、短時間で会社に集まる機会が欲しい(女性/兵庫県)
・新入社員だけのブレイクアウトセッション(女性/神奈川県)
・会社に一度も行けていないことが不安のため、個別でもいいから行きたい(女性/福岡県)
・どんなことでもいいのでこまめな連絡。連絡がほとんどない企業だと自分が本当に内定者なのかさえ不安になる(女性/神奈川県)
・グループワークを増やすなど、オンラインであっても直接顔の見える関係を作れるように考慮して欲しい(女性/静岡県)
・出入り自由のオンラインチャットルーム。Discordのような(男性/香川県)
・画像や動画などを使って会社の説明(男性/茨城県)
・ほかの内定者とのコミュニティを作る(男性/京都府)
・社員の紹介などをオンラインを通じてやって欲しい(男性/東京都)

企業側は、こういった内定者の希望を踏まえた上で、不安の払拭へと繋がる新たなプログラムやコンテンツの追加を検討する必要がありそうだ。

【総括】

新型コロナウイルスの感染拡大によって、“オンライン内定式”の実施を予定している企業は多いようだ。

“オンライン内定式”は、感染リスクの低減といったメリットがある一方で、内定者同士の交流機会の減少や、内定者の実感が湧かない、また、内定辞退者の増加への懸念などの課題も残っているようだ。

新入社員は、将来の会社の発展に貢献してくれる貴重な人材となるため、例え“オンライン内定式”が新しい生活様式として定着したとしても、それを理由に限界値を設定することなく、内定者が入社後に「この会社に就職して良かった」と思える体制づくりが、withコロナ時代には求められていると言えそうだ。

<調査概要>
調査概要:「オンライン内定式のメリットと課題」に関する意識調査
調査期間:2020年9月16日(水)~ 2020年9月18日(金)
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,109人(企業の人事担当者765人、2021年卒の大学生344人)
調査対象:企業の人事担当者と2021年卒の大学生
調査主体:ゼネラルリサーチ

出典元:ゼネラルリサーチ株式会社
https://general-research.co.jp/

構成/こじへい

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