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「危機感は高まった」コートジボワール戦で見えた若手世代の追い上げに、吉田麻也らベテランはどう抗う?

2020.10.15

Dean Mouhtaropoulos/Getty Images Europe

 新型コロナウイルス感染拡大によって、2019年12月のEAFF E-1選手権(韓国・釜山)から活動休止に追い込まれいた日本代表の再出発となった10月のオランダ2連戦(ユトレヒト)が無事に終了。2022年カタールワールドカップに向けて再スタートを切った。

 9日の初戦・カメルーン戦は2019年9~11月の同アジア2次予選4試合に挑んだ大迫勇也(ブレーメン)、南野拓実(リバプール)ら主軸で挑んだが、1年近い空白期間も影響してスコアレスドロー。消化不良感の残る90分間だった。

 13日のコートジボワール戦は先発を7人入れ替え、久保建英(ビジャレアル)、鈴木武蔵(ベールスホット)らフレッシュな面々で戦った。アフリカ最強とも言われる強豪相手にこの日も彼らはゴールをこじ開けられずに苦しんだ。それでも終了間際に出場した長身DF植田直通(セルクル・ブルージュ)が決勝弾を叩き出し、1-0で劇的勝利。2014年ブラジルワールドカップ初戦でたった2分で逆転負けを食らった苦い記憶を払拭し、2020年初白星を挙げたというのは、チームにとって大きな一歩と言っていい。

新戦力の躍動とベテランの安定感

 カメルーン戦では2018年ロシアワールドカップ経験者の吉田麻也(サンプドリア)、酒井宏樹(マルセイユ)、大迫といったベテラン勢が存在感を発揮。今回不参加だった長友佑都(マルセイユ)や岡崎慎司(ウエスカ)も含めて「やはり30代ベテラン勢の存在価値は非常に大きい」という強い印象を残した。決定力不足の攻撃陣に関しては、「ロシア組の本田圭佑(ボタフォゴ)や乾貴士(エイバル)がいれば、どこかで点を取れたかもしれない」という思いが脳裏をよぎったファンも少なくなかっただろう。

 リバプールの一員となった南野拓実、ドイツに新天地を見出した堂安律(ビーレフェルト)ら「新ビッグ3」の一角を占めた面々も個の力を高めなければならないと痛感したはず。大迫も昨夏のインタビューで「確実に現時点ではロシアの時のチームの方が強いと言うのは断言できる。ただ、3年後にはあのレベル以上にならないとダメだと思う」と強調していたが、道のりの険しさを再認識させることになった。

 そんな中でも、2戦目の日本は若い力が奮起した。GKの中で一番若いシュミット・ダニエル(シントトロイデン)は197㎝の長身を生かしてハイボールで強みを見せたし、吉田と組んだ冨安健洋(ボローニャ)はニコラ・ペペ(アーセナル)ら実績ある相手FW陣を真っ向から止めた。室屋成(ハノーファー)と中山雄太(ズウォレ)の新左右サイドバックコンビも健闘。特に中山は急造SBにもかかわらず守備面で冷静な対処を見せ、時には左サイドを駆け上がってレフティらしいクロスも入れていた。高さと守備力、左利きという特徴を持つ中山は長友とは全く異なるタイプ。2人が差別化を図れば、対戦相手に応じての使い分けもできるかもしれない。これは意外な発見だった。

 中盤にしても、まず柴崎岳(レガネス)・遠藤航(シュツットガルト)の新鉄板コンビが躍動。今季ドイツ・ブンデスリーガ1部初参戦の遠藤は「僕のよさは人に強くいくところだったり、運動量を多くしてしっかり全体をカバーする意識。そこはある程度出せたかなと思う」と前向きに語っていた。今夏のインタビューで彼は「日本がカタールで8強に行こうと思うなら、僕らがヤット(遠藤保仁=磐田)さんとハセ(長谷部誠=フランクフルト)さんのボランチコンビを超えないといけない」と話していた。その可能性が大いにあることを2人は改めて示してくれた。

 前線のアタッカー陣も、鈴木武蔵が強さと動き出しの速さで屈強なエリック・バイリー(マンU)と互角に渡り合う一方、トップ下でフル出場した鎌田大地(フランクフルト)がドイツ仕込みの落ち着きと技術の高さを披露。右の伊東純也(ゲンク)も前回に続いて圧倒的なスピードでチャンスを作り続けた。左サイドで先発した久保はクラブで試合に出ていない影響から体力面や当たりの部分で課題を感じさせたが、攻撃陣全体に悪くない出来だった。鎌田が後半13分に自ら打った2度の決定的シュートを決め、久保と代わった南野が後半26分のGKとの1対1を沈めていたら文句なしだったのだが、代表経験少ない陣容にしてはかなりアグレッシブ行けたのではないか。そういう意味では、今後に期待が持てるゲームだったのではないか。

Photo by Laurens Lindhout/Soccrates/Getty Images

若返りが一気に進むか? 代表のサバイバルに注目

 こうして20代の面々が頭角を現したこで、危機感を訴えたのがキャプテンの吉田だ。
「冨安もいいパフォーマンスを出しているので、自分も負けないようにっていう危機感は以前より強くなっていますし、年も年なんでぱパフォーマンスが落ちたら物凄く叩かれる。それを今まで以上に意識するようになりました」と32歳のベテランは偽らざる本音を打ち明けたのだ。

 2011年アジアカップ(カタール)でデビューしてから国際Aマッチ102試合出場を数える彼がそう言うのだから、それ以上に年齢の高い長友や岡崎、川島永嗣(ストラスブール)らはより危機感を強めているに違いない。特に今回体調不良とケガでオランダに来られなかった長友と岡崎は「これまで以上にクラブで結果を残さなければいけない」と感じているはずだ。

 国際経験値がより問われるSBはまだしも、岡崎のポジションは数字が出なければすぐに変えられるFWだ。大迫が森保ジャパンの軸を担っている以上、彼はどうしても鈴木武蔵や他のアタッカーとの競争を強いられる。今は初挑戦のリーガ・エスパニョーラで輝きを放っているから指揮官も一目置いているが、この状態を維持できなくなったら、代表復帰は遠のく。その厳しさを34歳の点取屋は誰よりもよく分かっているはず。代表通算ゴール50という大記録を持つ男の意地と誇りをぜひ見せてほしい。

 2列目の乾も現状では原口元気(ハノーファー)や久保建英より効果的な攻めをクラブで見せているが、ゴールかアシストという目に見える結果を量産しない限り、若返りの波に抗うのは難しい。それは目下、無所属の香川真司にしても同じことだ。彼にはギリシャやトルコなどからオファーが届いているとされるが、スペインへの強いこだわりが新天地探しを難航させている。「30歳を超えた今、自分の理想とする環境でプレーしたい」と願う気持ちもよく分かるが、再び日の丸をつけたいと思うなら、自分を最大限生かせる新たなクラブに赴き、いち早く実践復帰することを考えた方がいい。

 このまま若返りが一気に進むのか、それとも30代ベテラン勢が巻き返すかは11月以降の代表活動と彼らのクラブでのパフォーマンス次第になってくる。日本代表は11月17日にオーストリアでメキシコと親善試合を行うことを決定。13日にももう1カ国とのテストマッチを組もうとしている。欧州域内でのコロナ再拡大もあり、本当に試合ができるかどうかはまだ何とも言えないところがあるが、そこで本当に若い選手たちがコンスタントに力を出せるかどうかは大きな見どころだ。

 すでに吉田に匹敵する実力のある冨安、ボランチの第一人者になっている柴崎と遠藤はある程度計算できるが、今回インパクトを残した中山や伊東、鈴木、鎌田ら前線のアタッカー陣が右肩上がりの軌跡を辿る保証はない。その勢いが続けば、ベテランにとっては厳しくなるが、長友や岡崎、乾らには十分な底力がある。それを再び代表で見せてもらいたいと願うサポーターも少なくない。そうやって代表のサバイバルが激化していけば、日本代表はもっともっと強くなる。そんな好循環を期待したいものだ。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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