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入社6年目の本音「街でうちの商品を着ている人が増えているのを見てびっくりしています」ワークマン・石原侑佳さん

2020.10.15

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 これまでの購買層とまったく異なる層に注目され、経営のかじ取りに大きな影響を与える。小売りでは稀有なことだが、若手社員は戦々恐々としながらも、会社の変貌を楽しみ、変化の対応を正面から受け止めていく。

「若手社員のホンネ」シリーズ、第67回は株式会社ワークマン スーパーバイズ部 需要予測発注グループ 石原侑佳さん(29・入社6年目)。現場作業や工場作業向けの作業服と、関連商品の専門店として、フランチャイズ(以下・FC)展開するワークマン。新業態の「ワークマンプラス」を立ち上げ、ファストファッションブランドとして、新型コロナ禍の中で客層を拡大。現在、885店舗のうち、222店舗がワークマンプラスを掲げている。

 石原さんは新業態への参画を機会に、需要予測をして売れ筋商品の発注を効率的にする、需要予測発注のシステム作りに取り組む。それは会社の近代化を担う取り組みでもある。

父親世代とのコミュニケーション

 教師の娘の彼女、工事現場や工場作業とは無縁だったが、ワークマンの直営店の店長を2年間経験。スーパーバイザー(以下・SV)に昇進し、フランチャイズ(以下・FC)の店長をサポートする立場になった。

 店舗のオーナーは、定年前や定年後に違う商売をやってみたいという人が目立つ。彼女にとっては、父親ほどの年齢の経営者と話し合い、アドバイスするのが仕事だ。

SVとして関西地区の10店舗を担当したが、その中に標準の店舗とは異なる、縦長のスペースの店があった。この店の作業服等の陳列がチグハグだと感じた彼女は、陳列棚を手直しした。すると「陳列台帳どおりやったのに、なんで直すんだ⁉」、オーナーは強い口調だ。「す、すみません…」恐縮しながらも、標準店とは異なる縦長の店舗なので、「これで行きましょう」と、父親世代の店長に懇切丁寧に説明をした。

――父親世代とコミュニケーションが深まると、感謝されたことも経験したと思います。

「安全靴では店長さんに喜ばれました」

 店舗によって、売れ筋商品が微妙に異なるのも、ワークマンの特徴の一つだ。彼女が担当したある店舗は、近くに大きな製鉄所があり、安全靴がよく売れる。

「安全靴の欠品を避けたいんだよ」

「ニット素材が売れ筋ですが」

「ニットはまずいな、製鉄所で使うから火の粉が飛ぶと焦げてしまう」

「じゃヒモ付きの安全靴はどうですか。別の店のオーナーに評判がいいです」

高いものは9000円近いが、これは3900円と比較的安い。形も多少おしゃれだ。

「これ行けそうだ」彼女の推薦の安全靴は売れ行きが良く、種類が増えたことで欠品も避けられた。「いいものを教えてくれたね」というオーナーの笑顔は忘れられない。

新業態の火付け役は一般のお客

入社当時はファストファッションブランドの新業態など考えもしなかったが、火付け役は一般のお客だった。店舗で扱う作業着がバイクライダー等に注目されたり、厨房用に開発された滑りにくい靴底のシューズが安全だと妊婦に知れ渡ったり。ワークマンが扱う高機能製品と安さが、SNSで話題になり、ファッション性も見直され、女性客も取り込む形で人気が拡大した。

一般向けの店舗を出店したら、ウケるんじゃないか。そんな会社の上層部の決定で18年にワークマンプラス1号店をオープン。すると人気に拍車がかかり現在、ワークマンプラスの数は222店舗に達している。

「街を歩いていても、うちの商品を着ている人が増えたなとびっくりしています」

 石原侑佳が、今の需要予測発注グループに異動したのは1年半ほど前である。基本的にこれまでの仕入れは商品が売れた分、店長自ら仕入れるシステムだった。ところが業態が大きく変化した。シーズンに応じた仕入れのタイミングがズレたりすると、売上げの数字に大きく影響を及ぼす。

つまり会社のトレーナー

「これまでのように、店舗の店長が自ら仕入れを担当するのは、非効率なのでシステム化しようと。売れるシーズンにはたくさん仕入れてしっかりと利益取り、シーズンが過ぎたら仕入れを減らしていく。在庫管理に柔軟性を持たせていくシステム作りが、需要予測発注グループの仕事です」

――つまり、率直に言ってこれまでFCの店長が、いささかどんぶり勘定で発注していたものを効率よくシステム化するということですね。

「店長経験が長い既存店のオーナーの中には、カジュアルは売れないという感覚を持っている方がいます。でも、ワークマンプラスが伸びて、今はカジュアルがよく売れる。感覚ではなく需要予測のシステムを導入し、売れるシーズンに必要な分を仕入れることができれば、チャンスロスをなくすことができます」

 8000ほどあるワークマンの商品の6割ほどが年間を通して販売しているものだ。4割のシーズン商品に注目し、すべての商品に対して、システムで需要予測発注を分析する。現在、ワークマンプラスを中心に、既存店の約半分がこのシステムを導入している。

「システムの精度を高めていきたい」と、石原は言うが、既存店、ワークマンプラス、最近増えたショッピングセンター内の店舗、それぞれ客層も売れ筋商品も異なる。

「ですから、システムの柔軟性を高めて、どの店舗でも対応できるようにしていきたい。それができたら、在庫もスマートになって、売上げも取れるようになるし」

同席した広報の女性が言葉を挟む。

「つまり、石原さんたちの仕事は、無駄な脂肪をいい筋肉に変えていく、会社のトレーナーのよう役割なんです」

3年ほど後には、全店舗にシステム導入を果たしたい。既存店も徐々にワークマンプラスに寄せる形で改装したいという。

工事現場や工場で使うアイテムを扱う街のワークマンは、古くて暗い印象だが、それがより明るくきれいに、ファッショナブルに変貌していく、社員ならずとも興味津々である。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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