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入社6年目の本音「私はいつも全力投球だからしんどかったんだ、と気づきました」ワークマン・石原侑佳さん

2020.10.14

 自社の扱う商品が、これまでの購買層とまったく別の層に注目され、経営に大きな影響を与える。小売りでは稀有な例だが、若手社員は戦々恐々としながらも、会社の変貌を楽しみ、対応するために力を注いでいる。

「若手社員のホンネ」シリーズ、第67回は株式会社ワークマン スーパーバイズ部 需要予測発注グループ 石原侑佳さん(29・入社6年目)。ワークマンといえば、現場作業や工場作業向けの作業服と関連商品の専門店として、全国でフランチャイズ(以下・FC)展開するチェーンストア。だがここ数年、新業態の「ワークマンプラス」を立ち上げ、ファストファッションブランドとして、新型コロナ禍の中で客層を拡大している。

 これまでFCの店長が在庫を確認し、商品を発注する形だったが、新業態への参画を機に、石原さんたちは売れ筋商品の仕入れを効率的にする、需要予測発注のシステム作りを担っている。それは会社の近代化への取り組みでもあるのだ。

作業着の刺しゅうの色を間違えて。

 異動は多いが、希望を聞く制度があるし、就職活動時に志望した大手運搬系の会社より柔軟性があると入社した彼女。最初の2年間は奈良、和歌山等の直営店で店長を経験。教師の娘の石原侑佳は、それまでの人生で工事現場や工場作業に馴染みがない。ワークマンの店舗にも足を踏み入れたことがなかった。

「最初に配属された奈良の店舗は、“客注”と言って、お客さんからの注文が多かったんです」

 例えば、常連客からこんな注文が入る。

「〇〇工業ですけど、いつものやつね。今回はオレンジでやってください」

「はい、わかりました」そう答え、受話器を置くとあわてて帳面を確認。

 注文は作業着で、服には自社のネームの刺しゅうをオレンジ色で入れてほしいという内容だった。ところが、石原は間違えて、業者に黒の刺しゅうを発注してしまう。

「注文と色が違うんですけど」納品後にそんなクレームが入る。

「す、すみません。1週間待っていただけますか」と、電話口で彼女は頭を下げた。

――職人さんは気性の荒い人もいそうです。怒られた経験もあるんじゃないですか。

「いえ、現場で働くお客さんは、皆さん優しかったです。刺しゅうを間違えた時も“まっいいか、待っているからよろしくね”なんて、声をかけてくださって」

 この時はパート社員と一緒に作業着から黒の刺しゅうを取り除き、業者に再発注したが、この失敗で刺しゅうに関して詳しくなった。例えば、作業着にプリントで会社名を入れたいというお客さんには、

「プリントは版代がかかって安くないし、社名がはがれるケースもあります。十数枚の作業着なら、書体も色々あって、安上がりな刺しゅうがお勧めです」。そんな対応に、お客は意外な顔をして、

「こんなに丁寧な説明をしてくれた店長さんは、初めてだよ」と、感謝されたこともあったという。

「まあまあ」とケンカの仲裁

 店で働くスタッフの管理も店長の仕事だ。こちらはお客よりも難しそうである。

 ある日のことだ。シフトが入っていた当日にパートで働く中年女性から、「今日は休みたい」と連絡が入った。「困りますね…」石原店長が電話口で吐露したのを、年輩のもう一人のパートの女性が耳にした。

 これは意見すべきだと、思ったのだろう。「あんた迷惑でしょう」という感じで、石原店長がいない時に年輩パートが、中年パートに意見したらしい。中年パートしたら面白くない。

「同じパートからなぜ、あんなこと言われなくちゃいけないんですか。言葉に気を付けるよう、店長からあの人に言ってやって下さい!」

そんなトゲのある言葉が、居合わせた年輩パートに聞こえてしまい、

「文句があるなら直接私に言いなさい!」と、店内でケンカが始まって。彼女は年の離れた姉の世代と、母親の年代のパートの間に入り、「まあまあ」と、懸命になだめたこともあった。

お手製のマニュアル作り

店長時代はパートへの気配りを常に心がけた。働き方改革の時代だ。「石原さん、残業はできるだけしないよう、きちんと休憩をとってください」本社の人事部から、そんな通達を受け取った。だが、その時の店舗のパートは経験が浅かった。

私が休憩で店に不在の時、パートさんでわからないことがあったらどうしよう…

不安が募った。既存のマニュアルはわかりにくい。そこで彼女は既存のマニュアルをノートに切り張りしたりして、店舗用のオリジナルのマニュアルを作成する。

『お客さんに聞かれたら、レジに商品番号を打ち込んで確認。自社の倉庫に在庫があれば“お取り寄せできます”と答える』等、この手作りマニュアルを見れば、パートは接客に戸惑うことはない。さらに「わからなかったら、電話をください。5分で店に戻ります」休憩で店を離れる時、彼女はパートにそう伝えた。

これって女の子が一人でする仕事か?

「店長の経験を通して、私はいつも全力投球だからしんどいんだなって、気付かされましたね。余裕があれば、パートさんにかける言葉も違っていただろうし、言い争いにならずにすんだかもしれません」

――オリジナルのマニュアル作りも、すごいなと思う反面、休憩を取るのにそこまでするのは、しんどいだろうなと。

「正直、会社を辞めようと思ったこともありました。店長としての業務をこなし、直営店をFCのオーナーに店舗を受け渡す時は、急いで店の在庫をそろえて、店内をきれいに掃除して。これって女の子が一人でする仕事じゃないだろうって(笑)。

 でも、店長を2年勤めればスーパーバイザー(SV)になれる。また違った経験ができる、ここで辞めたらもったいないと」

 店長を2年間勤め、石原侑佳さんはSVに昇進。「FCの店長さんが困っていることの相談に乗りたい」そんな仕事への思いも物語があった。

さらに会社は新業態に舵を切り、想定外の経験をすることになっていく。以下、明日公開の後編を乞うご期待。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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