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驚きがたくさん詰まったホンダの都市型コミューター「Honda e」に乗ってわかったこと

2020.10.11

2020年10月30日の発売を待たずに、第一期分の販売台数を売り切ってしまい(今後、第二期販売として同じく数百台規模の販売を予定)、現時点で第一期の注文を一時停止している、話題のホンダ初の量産ピュアEV、RRレイアウトのホンダeに、横浜周辺の市街地、首都高で試乗してきた。

ホンダeはホンダがクルマの未来を見据えて提案する都市型コミューターとして開発された、全長3895×全幅1750×全高1510mm、ホイールベース2530mmのコンパクトEVである。あえて”都市型”としているのは、搭載リチウムイオンバッテリーの容量を、走行距離重視ではなく、都市型コミューターとして適切な35.5kWh、1充電走行距離をWLTCモードで283km(JC08モードでは308km/いずれもアドバンスグレード)としている事実からも明白だ(2代目日産リーフの40kWhモデルと同等)。アドバンスグレードの場合、実質200km前後の1充電走行距離になると思われる。

とはいえ、大トルクモーターによって、3LV6に匹敵する32.1kg-mものトルク(全グレード共通)を、154ps(アドバンスグレード/ベースグレードは136ps)の最高出力とともに発揮させるあたりは、さすが都市型コミューターでも、走りに妥協しないホンダである。

リチウムイオンバッテリーの容量を大きくしないメリットは、コストはもちろん、車両のコンパクト化、軽量化のほかに、充電時間の早さにある。急速充電で80%に達するのに約30分しか要しないということは、高速道路の充電スポットなどでの1充電30分というルールにもぴったり。自宅などに設置できる200V普通充電でも、約5.2時間~で満充電にできるのだ。

では、ホンダe専用のHondaリモート操作アプリをインストールしたスマートフォンを携帯した状態で、センターピラーのNFCマークにスマートフォンをかざし、ドアをアンロックし、スマートフォンのデジタルキーを持って近づくと自動的にポップアップするフラッシュアウターハンドルを操作して、ホンダeに乗り込んでみよう。

まず、驚きとともに目に入るのは、世界初の5つものスクリーンをダッシュボード左右いっぱいに水平配置するワイドビジョンインストルメントパネルである。そして、ダッシュボード上のNFCマークにスマートフォンをかざせば、ホンダeに電源が入り、起動する。ここまでの流れだけでも、未来感たっぷりではないか。

前席のかけ心地も素晴らしい。モダンリビング感に満ちたインテリアにふさわしい、ソファのようにフワリと沈み込むクッション感、背中を包み込むような背もたれのサポート感が心地よい。聞けば、上級車のアコードのシートフレームを使っているのだとか。

ここで、もうひとつ、従来価値のクルマとの違いを発見できる。そう、ワイドビジョンインストルメントパネル左右端に配置されるサイドカメラミラーシステムのディスプレーによって、アウトサイドミラーがなく、斜め前方の視界に死角がまったくと言っていいほどないのである。つまり、未来感とともに、すっきりとした前方視界が得られるということだ。

ホンダeは都市型コミューターであり、また、カップルズカーと呼んでいいパッケージとなる。リヤサイドウインドー後端に埋め込まれたフラッシュアウターハンドルのへこみ部分を押してポップアップさせて操作し(こちらは手動)、リヤドアを開けて後席に乗り込めば、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後では、頭上に100mm、膝周りに110mmのスペースだ。フィット4の同120mm、320mmと比較すれば、決して広くはない。が、シートのかけ心地に関しては絶妙。前席同様にふんわりとお尻が沈み込むクッション感があり、スカイルーフ(ガラスサンルーフ)が全グレードに標準装備のため、筆者の座高では頭上方向にやや圧迫感はあるものの、ソフトな感触の天井にLEDダウンライトがあるなど、前方見通し性の良さとともに、リビング感は損なわれない。

ラゲッジルームはどうか。実測で、開口部地上高720mm、奥行570mm、ホイールハウス間の幅725mm、手前の幅1090mm、トノカバー下の高さ340mm、最大天井高670mm。Cピラーが大きく傾斜していることもあって、決して容量たっぷりとは言えない(フィット4は開口部地上高590mm、奥行660mm、幅1010mm、最小天井高650mm)。床下は充電ケーブルとパンク修理キットで満杯でもあるのだ(フィット4はたっぷりした床下収納あり)。

とはいえ、一体可倒式の後席をダイブダウン格納すれば、フロア奥行は実測で1100mmに達するから、カップルで大きめの買い物に出かけるぶんにはまったく問題ないだろう。まぁ、後席を5:5または6:4分割にしてくれれば、使い勝手はより向上するはずだが・・・。

さて、まず試乗したのは、モーターが154ps、32.1kg-mを発揮し、17インチのミシュランパイロットスポーツを履くアドバンスグレードである。駆動方式はリヤにパワートレーンを積み、後輪を駆動するRR。前後50:50の重量配分にこだわったあたりも、ホンダらしさである。

ボタン式のセレクターを操作して走り出せば、パワーステアリングはしっかり重め目のタッチで、出足から静かにトルキーに発進。乗り心地は都市型コミューターとしてはやや硬めの印象だ。粒の荒いアスファルト路面では、ロードノイズの大きさがちょっと気になったものの、硬くても角の取れた乗り味はホンダファンにとってはおそらく想定内。リチウムイオンバッテリーを床下に積むため重心が極めて低く、交差点、カーブでの無粋なロールは皆無に等しい。

動力性能は、都市型コミューターを名乗るにしては、極めて強力だ。ドライブモードはノーマルとスポーツの2種類だが、ノーマルモードでも、アクセルペダルを深く踏み込めば、血の気の引く、EVならではのトルク感に満ちた加速を、瞬時かつウルトラスムーズに開始する。スポーツモードにセットしても、ガソリン車のような、エンジン回転を高く使いすぎることによる扱いにくさ、走りにくさはなし。アクセルレスポンスが高まり、キビキビした走りを楽しませてくれる方向性になる。

ちなみに、減速セレクター(パドルシフト)は回生量をコントロールでき、シングルペダルコントロールによって、リーフに迫る最大0.18Gの減速Gを発生させ、ブレーキを踏まなくても減速~停止までが可能となる。

サイドカメラミラーシステムによる後方視界の確認も、想像以上に違和感がなかった。走り出してすぐになれたほどで、むしろアウトサイドミラーがないことによる視界のすっきり感、視線の移動量の少なさが好印象。画像に違和感あるデジタルルームミラーよりはるかに実用的であろうことも確認できた。

このアドバンスグレードでは、首都高もクルージング。右足とモーターが直結しているかのようなフレキシビリティの良さ、柔軟なアクセルコントロール性、車内の静かさ、そして、電子パーキングブレーキの採用で渋滞追従、停止保持機能も可能なACC(アダプティブクルーズコントロール)の作動では、瞬発的なモータートルクがもたらす再加速性能にも満足できた。ガソリン車(ターボ含む)のACCの再加速では、一瞬どころではないタメがありそうな場面でも、リニアにグイーンと力強く再加速してくれるのだからストレスなし、頼りがいがある。

操縦性は、重量物のバッテリーを床下に置くため、低重心感覚に溢れ、安定感は抜群と言っていい。カーブなどでFFとは異なる、RRらしいステアリングフィール、挙動が顔をのぞかせる部分もあるにはあるが、これはすぐになれるはずである。また、ポルシェ911やミニのようにダッシュボードとステアリングが近く、クルマとの一体感が得られやすい点も褒められる。

一方、15分という短時間で試乗した、最高出力がアドバンスグレードの154psから136psになり(32.1kg-mのトルクは共通)、WLTCモードによる1充電走行距離がアドバンスグレードの283kmから259kmとなる(10%弱減)、マルチビューカメラシステム、プレミアムサウンドシステム、パーキングパイロット、AC100V/1500Wコンセント、フロントガラスデアイサーのみが省かれた、16インチのヨコハマ・ブルーアースAを履くベースグレードは、ズバリ、よりホンダeの都市型コミューターというキャラクター、EVにふさわしいグレードのように思えた。

その最大の理由は乗り心地にある。足回りのセッティングは両グレードともに共通で、アドバンスグレードは17インチタイヤ装着し、こちらは16インチタイヤになるが、車重減もあって都市部での走りの軽快感が高まり、より爽やかな走行感覚を実現しているとともに、ヨコハマ・ブルーアースAによる乗り心地が素晴らしくしっとりマイルドで、上級感を演出。ロードノイズの小ささもこちらが上手で、静かで快適に走る乗用EVらしさという点では、迷うことなくベースグレードに軍配を上げたい。

動力性能にしても、ドライブモードがノーマルだと、さすがにアドバンスグレードの”トルクもりもり”な加速力には一歩譲るものの、都市部では十分以上。スポーツモードでアクセルペダルを深々と踏めば、アドバンスグレードと同質の強力なトルクがさく裂。想像以上の速さを見せつけてくれるのだ。高速道路の合流などでも、余裕しゃくしゃくの動力性能の持ち主というわけだ。

もちろん、価格もアドバンスグレードの495万円に対して451万円と44万円安いのも、そもそも強気な価格設定のホンダeとして、買いやすいはずだ。個人的には、さらに廉価な、400万円を切るモデルがあると、より商品力、購入意欲が高まると感じる。パワー、トルクをさらに控え目にしても、あくまで都市型コミューターとしてなら、十二分と思えるからだ。

最後に、ホンダeの都市部での使用に多くのメリットをもたらす性能について。それは驚異の小回り性だ。RRレイアウトとしたことで前輪の切れ角を大きく取れ、なんと最小回転半径は軽自動車以下の4・3m(N WGNで4・5m~)。狭い道、クランクはもちろん、駐車、幅寄せなども楽々至極。後輪を起点にクルクル回れるような感覚なのである。

そろそろ結論だ。もし、筆者が都市型コミューターとしてホンダeを買うとすれば、先に触れたように、16インチタイヤを履く、より乗り心地に有利で、EVらしい静かで快適なコミューターとしての世界感を実現しているベースグレードになると思う。電動車としてAC100V/1500Wコンセントが、技術的には付けられても、コストの問題であえて装備されないのはちょっと残念だが、そもそもHVやPHVのように、AC100V/1500Wコンセントで電気を消費しても、エンジンでリカバリーできるのとは違い、バッテリーを使い切ることができないEVには、なくてもよいと考えるからだ。

ホンダは今年4月に先進パワーユニット・エネルギー研究所を設立。10月2日に発表された、2021年いっぱいでのF1参戦終了のニュースは残念だが、自動車メーカーとして最重要課題である環境への取り組みとして、ホンダは2050年カーボンニュートラルの実現を目指しているところでもある。バッテリーEV(BEV)など、将来のパワーユニットやエネルギー領域での研究開発に経営資源を重点的に投入していくというその決断、展開に、これからも注目していきたい。量産ピュアEVのホンダeは、その本格的なスタートとして世界にアピールすべく誕生した1台でもある。

なお、両グレードともにクリーンエネルギー車として国と自治体からの補助金が出るのは当然として、ワイドスクリーン Honda CONNECTディスプレー(ナビゲーション含む)+ETC2.0車載器(ナビゲーション連動)、Honda パーソナルアシスタント、本革巻ステアリング、LEDリアダウンライト、スカイルーフなどの上級アイテムが、ベースグレードにも標準装備される点は、特筆しておきたい。

ホンダe
https://www.honda.co.jp/honda-e/

文/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

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