人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

今のビジネスに必要な「共創力」が息づく場所。ロボット掃除機「ルンバ」を大ヒットさせた、米アイロボット本社を突撃訪問

2020.10.10

「家を見れば人がわかる」という言葉があるように、ある企業が何を考え、どのような組織で、どんな製品づくりをしているのかは、その社屋を見ればほとんど理解できる。

10月29日に発売される書籍『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力」』の取材で訪れた、アメリカ東海岸はボストン郊外のベドフォードにあるアイロボットの本社は、その企業哲学を体現している素敵なところだった。

『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力」』。10月29日発売予定。

モノ作りに興味のある人間にとってのパラダイスと思える社屋は、まさに同社の「共創力」が息づいている場所もある。みなさんにもぜひアイロボット本社の雰囲気を感じてもらうべく、バーチャルツアーさながらにご案内させていただこう。

内部を移動するだけで健康になれる!?広大な社屋

新型コロナウイルス禍の前に行われたインタビューの初日は、生憎の冷たい雨模様だった。けれども、実は以前にボストンで暮らしたことのある筆者にとってはおなじみの、この地域では珍しくない天候で、逆に懐かしくすら感じた。

最終日だけ奇跡的に晴れたので、本社を撮影。

フリーウェイ沿いにあるアイロボットの本社は、しかし、一度中に入ってしまえば明るく暖かく、快適に過ごすことができる。ただし、もし許されたとしても、慣れないうちは決して1人では動き回ろうとは思わないほうがよいだろう。

何しろ、敷地面積が広く、しかもアメリカ特有の低層の建物がいくつかに分散して配置されている。社員の人たちには勝手知ったる場所でも、外部からの来訪者にとっては迷宮のようにも感じられ、案内なしには簡単に迷子になってしまいそうだ。

インタビューの待ち時間や合間に、様々な部署を(本社のスタッフに誘導していただきながら)訪れる機会を得たが、それだけで歩数計の数字はみるみる上がり、普段の運動量の優に3倍を記録してしまう。アイロボットで働けば、それだけで健康になれそうに思えた。

施設内には、普段から、社員にインスピレーションを与え、創造への意欲を高めてもらうための工夫も施されている。たとえば、リアルなユーザーの声をあしらった壁面アートが配された休憩スペースや、過去にアイロボットから出願された1900件もの特許の出願票を透明アクリルにプリントして壁面照明に仕立てたミーティングルームなどもそうだ。

トイレの表示にも遊び心が。

ユーザーの声をあしらった壁。いつでも身近に見られる工夫が。

ミーティングルームの壁に飾られた特許の数々。

また、金曜日はドッグ・フライデーと呼ばれ、愛犬を会社に連れてきてよいことになっている。たまたま取材の最終日が金曜日だったので、オフィスのそこここで、少なからぬ数の大型犬の姿を見かけたが、皆、大人しくて人懐こく、こちらも大いに和まされた。

さらに、目の前でちょっとした少人数の打ち合わせが始まったときに驚かされたのが、その合理性だ。参加者は、会議室などに移動することなく、各自が自分のデスクのところで立ち上がって、低めのパーティションから顔を出す。そうしてグループ内で話し合い、打ち合わせが終わると、そのまま座って仕事を続けるのである。そういうことをサラリとやってのけるのが、アイロボット流のコミュニケーションなのだと理解できた。

様々なテストルームが!

社員の方々は、皆、和気あいあいとした雰囲気で働いている。中には、何かの試作や修理なのか、1人で黙々とハンダ漬けなどを行なっている人も見かけるが、それぞれのデスクにはお気に入りのフィギュアや家族写真などが飾られ、自由で生き生きとした職場という印象を受ける。

また、通路のあちらこちらに、3Dプリントされた見慣れぬ筐体や、プロトタイプ基板と思えるサーキットボード、酷使の跡を残しつつもまだ動きそうなルンバが置かれたり積まれたりしており、いかにも開発の現場に足を踏み入れた感じだ。自分でも工作好きの筆者は、思わず「もし、不要なら引き取ります」とお願いしたくなった。

一番、印象深かったのは、ルンバやブラーバのテストを行うためのエリアで、様々な床材や障害物、社員の自宅から集めたリアルなホコリやゴミを使った性能試験や耐久試験の真っ最中だった。

社員がテスト用に各家庭のゴミを持ち寄っているそう。

フローリングを再現した段差のある床に、あらゆる方向からルンバを走らせて、停止したり不具合が発生しないかをチェックしていた若いテスターは、もう3日も同じような作業を繰り返しているとのこと。一回ごとに何かをメモしては、また少しルンバの向きを変えて走行させていた。

ある扉を開けると、そこには一般的な住宅の内部が再現された区画があり、書斎やキッチン、小さな納戸などが本物さながらにレイアウトされている。

キッチンにはキャビネットも置かれてリアルな雰囲気だが、テーブルやイス、フロアランプ、家具などの脚や設地部分だけが床から生えているダイニングルーム的な部屋も用意されていた。

実際にロボットの走行の妨げとなるのは、そうした部分だけということもあるが、走行パターンや障害物を回避する様子をよく観察できるように考えられているのだろう。そのときには実際にテストされているルンバやブラーバの姿はなかったが、このようにして鍛えられた製品のみが世に送り出されていることがよくわかった。

足回りの動作を開発するルーム。

歴代ロボットの写真が壁を埋め尽くす執務室

CEOのコリンが毎日のように仕事を行う場所であり、今回のインタビューでも使われた彼の執務室は、思ったよりもコンパクトだった。広いガラス窓からの自然光で明るく、いわゆる日本の社長室や重役室のような重厚さというよりは開かれたスペースのイメージだ。

その代わり、四方の壁は彼が手掛けたロボットたちの写真で埋め尽くされ、話の途中で昔のロボットの話が出てきても、すぐにそれを指差して、どんな形の製品だったのかがすぐにわかる。

全方位の壁に歴代ロボットたちの写真が飾られている。

また、アメリカンコミックやハリウッド映画に登場するロボットたちのミニチュアモデルやオモチャ、そして家族の写真が棚一杯に飾られており、好きなものに囲まれて仕事を楽しんでいる様子が、自然と思い浮かんでくる。

そこここに、様々なオモチャが飾られて。

圧巻は、iMacを載せたコリンのワークデスクである。夫人が特注して彼にプレゼントしたというその机は、大柄で有機的な輪郭を持つ木製のフレームにガラスの天板がはまっており、内部では金属製のギアがゆっくりと回っている。いわゆるスチームパンク風のモチーフで作られた、このカラクリ机のメカニズムには、実用的な機能があるわけではない。しかし、見ているだけでも面白く、コリンも激務の間にそこにふと目を落としては、癒されているのだろうと想像した。

執務室内でひときわ目立つ、コリンのワークデスク。

唯一、心残りだったのは、社屋の一角にあって、アイロボット30年の歴史をマイルストーンとなったロボットたちの実物も交えて俯瞰できる企業ミュージアムが、ちょうど改装中で見られなかったことだ。新型コロナウイルス禍が去って再訪の機会があれば、ぜひともその展示内容を堪能したいと思っている。

このアイロボット本社を訪れて行なったインタビューと取材の成果は、『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力」』として、小学館から10月29日に発売される。

コリンのユーモラスで刺激的な知的探究への旅の記録でもあるこの書籍では、興味深いアイロボットの歴史やルンバの開発秘話、そして、若きエンジニアや起業家、企業人へのメッセージなども含めて、コリンが何より重視している「共創力」を、さらに多角的に把握することができる。これから起業を考えている人はもちろん、人生や事業で成功するために必要な資質を学びたいと思う人たちに、ぜひ読んでいただきたい1冊だ。

執務室内にて、コリンと筆者。

『ルンバを作った男 コリン・アングル「共創力」』の詳細はこちら
Amazonでも予約受付中。詳細はこちら

撮影・文/大谷和利

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2020年10月16日(金) 発売

DIME最新号の特別付録は「電動ブレンダー&ホイッパー」!特集は「ポイ活 勝利の方程式」「アップル新製品」「キッチン家電」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。