
■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
スキレット、極厚ミニ鉄板、ダッチオーブンなど鉄製の調理道具は、焚き火との相性がよくキャンプ料理の定番アイテムだ。
金属製のターナーやトングでガシガシ触れてもコーティングが剥がれることはなく、少々重いが上手に使えば一生モノなのが愛される理由。
なのに、キャンプ用フライパンは軽くて食品がくっつきにくいコーティングが施されたものがほとんどだ。気合いを入れてじっくり焼くものはスキレットや鉄板、時間をかけて煮込むものはダッチオーブンを選び、フライパンは手軽にサッと火に掛けるシーンで多用されるため小回りがきいて手入れが楽なものが選ばれるのだろう。
しかし、鉄=手入れが面倒なんてことはない。使い始めの“油ならし”と調理前の“油返し”さえすれば滅多に焦げ付くことはないし、使用後は汚れを拭き取ったあとにたわしで水洗いするだけ。洗剤を使わなくてもいいのでキャンプ向きなのだ。
COCOpanシリーズ。左上より深めの「炒め」(20cm5300円〜28cm7100円)、「持ち手L型」(1500円)、薄いプレート「モーニング」(21cm5300円、23cm5900円、26cm6400円)、焚き火台にも鉄板にもなる「グリドル」(30cm9800円)、「ベーシック」(16cm4900円〜28cm6900円)、「持ち手平型」(1500円)。
*いずれも税別。ほかに角形や厚手の製品もある。
「COCOpan」は底の厚みが1.6mmでスキレットほど重くなく、直径24cmの「ベーシック」で約600g。別売の持ち手約190gと組み合わせても1kgを切る。家庭用のコーティングを施したフライパンがハンドル込みで約600gなので持ち手の分だけ重くなるが、驚くほどの違いではない。
スッキリコンパクトに収納
ハンドルが付いていないので、スタッキング収納ができてスッキリ。写真は下から「モーニング23cm」、「ベーシック24cm」「炒め22cm」を重ねたところ。
調理中にひっくり返さない
いちいち取っ手でつかむのは面倒かもしれないが、不意に取っ手に触れてフライパンをひっくり返すなんてことがない。とくに小さな子がいるファミリーキャンプでは、調理中の不安がひとつ減るのがありがたい。
熱々のパンがそのまま食器に
また、ハンドルがないのでごく薄い「モーニング」は調理したらそのままテーブルに置いて食器としても使えるのだ。コーティングを施していないので、金属製のナイフとフォークを使っても問題なし。
「炒め」と「ベーシック」は深さがあるのでナイフ&フォーク向きではないが、スパゲティーやビビンバのようにすくって食べるものならこれも食器として使える。また、テーブルに置いてみんなとシェアする場合も、ハンドルがないのでだれの邪魔にもならない。
じつは手入れが楽な鉄製品
気になるメンテナンスだが、ハンドルも何もないのでまず壊れることはない。
ここ社が企画し、鉄部分はフライパンで評価が高いリバーライト社が製造しており窒化加工済みの鉄を使用している。
窒素を充填させて600℃に熱した釜に鉄を入れることで、鉄表面に窒素をしみこませるという加工で、ただの鉄板よりも強度は5倍! 錆にも強い。
窒化加工済みの鉄は最初に空焼きをする必要がなく、購入後はたっぷりの油を入れて5分ほど弱火にかけるだけ。油ならしに使った油はオイルポットなどに戻して料理に使えるのはうれしい。
この後は、使う前にお玉1杯分の油を弱火で熱し、オイルポットなどに戻す「油返し」を行ってから調理に取りかかる。鉄製フライパンは焦げ付きやすいと聞くが、油返しを行い、大さじ2杯分くらいのオイルを引いて弱火で調理すれば、目玉焼きもチャーハンも肉も焦げ付くことはない。
強火を操る中華料理のイメージから鉄のフライパンも強火にかけたくなるが、鉄のフライパンも鉄板やスキレットも基本の火力は中火〜弱火。高火力で焦がさず均一に火を加えるのは難易度が高いし、じっくり火を加えることで肉がふっくら仕上がる。当然、焦げ付きも防止でき、その分手入れが楽になる。
手入れが簡単で食器がわりにもなるハンドルレス鉄フライパン「COCOpan」は、自宅でもキャンプでもかなり使える一生モノの道具だ。
問い合わせ先
ここ https://cocopan.co.jp
取材・文/大森弘恵