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楽天モバイルが6月に予定していた5Gサービス開始を延期した本当の理由

2020.06.14

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は楽天の5Gサービス開始延期について議論します。

※新型コロナウイルス対策のためインターネット会議を実施しています

決算発表会後に延期を発表

房野氏:楽天モバイルが、6月に予定していた5Gサービスの開始を3か月ほど延期すると発表しました。

房野氏

法林氏:「5Gレディの基地局って言っていたのに」っていう石野君のツイートにウケましたね。

法林氏

石野氏:投稿した後に楽天の広報から即行で電話がかかってきて、理由を事細かに説明されました。インドのロックダウンが厳しくて、技術者が検証用のラボに立ち入ることができないため検証が進まず、5Gのローンチを延期せざるを得ないということでした。インドのロックダウンがいかに厳しいかを説明されました。「6月サービスインで、まだ検証が終わってなかったのか」っていう感じもしましたが(笑)

石野氏

石川氏:2019年のMWC直前にラボが公開されたときに、楽天が言うには、完全仮想化でどこからでも開発ができるということだった。プログラムさえ書けば、それをラボに移せるので、世界中で開発できると。下手したらエンジニアは自宅でも開発できる、みたいなことを言っていたんですよ。完全仮想化というなら、それができて当たり前じゃないのという気がする。それこそアメリカのシリコンバレーも、新型コロナウイルスで外出規制がかかったけれど、ZoomやGoogle Meetといったソフトウェア系のサービスはこの時期でもどんどん進化している。あれはエンジニアが家で地道にプログラムを書いてアップデートしているからだと思う。完全仮想化なら、それと同じことができるはずなんじゃないの、と思いました。

石川氏

石野氏:まぁ、好意的に解釈すると、無線部分が難しいのかなと思ったんですけど……

石川氏:でも、ハードウェアは準備完了だと当時のプレゼン資料に書いてあったよね。

石野氏:そう言っていた。ひどいのが、プレスリリースの前々日に決算発表があったけれど、そこでは一切、5Gの延期について触れず、CTOのタレック・アミン氏もドヤッていた。おいおいって話じゃないですか。

石川氏:しかも、金曜日の株式市場が閉まった後の15時半にリリースを出した。いかにも株価対策してるなと。

石野氏:ああいう情報の出し方が良くない。

法林氏:ユーザーに対しては誠実にやっている風に見せるんだけど、株式市場とかメディアに対しては、そういう感じの対応というか、逃げているのが、ものすごく見える。危ないよね。過去の事例を見てもそうだけど、こういう立ち回り方をする会社は危ないよね。

石川氏:楽天モバイルはチャレンジャーだし、通信のことを初めてやる素人集団だからこそ、常識にとらわれず、いろんなことをできるのは素晴らしいことだと思うんですけど、ヘンに大きなことを言い過ぎているから足下をすくわれる感じがする。倒れないネットワークといいつつ、ちょくちょくダウンしている。もうちょっと言い方があるんじゃないかなって気がします。ただ、勝手な憶測をいうと楽天モバイルは恐らく秋に“iPhone 5G”を出すつもりで、それと同じタイミングで5Gのネットワークを始めるんじゃないかなと。なんの根拠もないけど、そんなストーリーならアリかな。

石野氏:ふむ、楽天がiPhoneを扱えますかね。

石川氏:という風に言っておけばいいかな、みたいな(笑)

石野氏:楽天モバイルは、プラン変更があった5月1日にネットワークがダウンした。それのほとぼりが冷めないうちの決算会見で、自社の完全仮想化ネットワークを安定安定と言い続けているのがちょっと。ダウンしたことに一言くらい触れろよって思いました。

法林氏:突っ込むのは我々の仕事なのかもしれないけれど、テレビや新聞の大手メディアも「それでいいんですか?」と聞かない。ネットワークがダウンして3日後に一言も釈明がないとか、5Gを延期することを、このタイミングで言うのはどうなのか、というところを、きちんと評価できないのはマズイと感じますね。日経さんあたりには、もうちょっと厳しく突っ込んでほしいなと思うんだけど、あまりそうならないね。

石野氏:三木谷さんに正しい情報が上がっていないんじゃないかと心配になりましたよ。

石川氏:でも、それ昔からだよね。

石野氏:そうなのかもしれないですけど、まさかこのレベルの情報も上がってないんじゃないかと心配になった。

ポイントに頼りすぎていないか

石川氏:5月1日にネットワークダウンした後にお詫びポイントを提供していましたが、あれも結構、業界的にヤバいんじゃないかという感じがする。約款に書かれていないようなこと、約款以上のお詫びポイントを出してしまうというのは、後々響いてくる恐れがある。今後、ちょっとでもネットワークに障害があったら「ポイント出せよ」みたいな話に、たぶん、なってくると思うんですよ。そうなると、ネットワーク障害待ちみたいになったりするというか。ポイントで簡単に解決してしまうことは、後々落ち度になるかもしれないと思っています。

石野氏:あれは良くないですよね。昔、ソフトバンクも情報流出に500円の金券を出したことがありましたが、前例ができちゃうと、それをやらざるを得なくなってしまう。そこにお金を出すのではなくて、本来は、ネットワークの改修やトラブルが起きないような対策にお金を使うべき。ユーザーにお金を配るのは、ちょっと違うと思いつつ、楽天ペイでおいしくお昼ご飯をいただきました(笑)

法林氏:「ポイントをうまく使うことで、実質、月々の料金がかからないような形にできなくはない」みたいな言い方をしていたけれど、楽天の良くないところは「ポイントでなんとかなるだろう」と思っている感があるところ。某番組で楽天モバイルのことが紹介されたとき、楽天ポイントをためるのにすごく熱心な人が出演していたけれど、ああいう人がいるから、ポイントを出しておけば、なんとかなるだろう、みたいな感じがちょっとする。それは違うんじゃない? と思う。

石川氏:ポイントの経済で回したいなら、あんなに楽天市場が使いにくい「Rakuten Mini」なんか出すんじゃないよって思うわけですよ。端末が大きな画面で見やすくて、サクサク動くからネットショッピングも楽しくなって、そこでポイントが発生する買いものも起きるような気がするんだけど、明らかに単なる音声通話にしか使わないような端末を出した。単に目立ちたいだけで、何も考えられていないのかなって気がする。

Rakuten Mini

法林氏:Amazonのタブレットも、大したことないと思っていたけど、ちゃんとそれなりの数は売れているわけでしょ。Amazonで買いものをするのに使えるし、電子書籍も映像も見られるしで売れている。楽天は「Kobo」をやっているけどさ、みたいな。なぜ、そこに手を付けないんだろうって思う。それこそ「いくら買いものをしても通信料はタダです」っていうタブレットを作って出せばいいのに。

石野氏:MVNOの楽天モバイルでも、ポイントを月々の料金に充当するメニューがあったような気がするんですけど、それをさも新しいことのように発表してた三木谷さんは、本当に自分の事業の仕組みを分かっているのかと気になりました。

石川氏:ユーザーに対して「ポイントで通信料金を賄えますよ」ってことを本当にやろうと思ったら、MVNOでいいじゃんってところに立ち返っちゃうんだよね。

法林氏:そうなんだよね。

石野氏:あと、MNOの楽天の方にも、メニューにあるんですよ。何か勘違いしているのかなと。それって前からできたことじゃないの? ってところが分からなかったんですよね。MVNOのときには確実にやっていましたし、今は料金がかからないから、なんともですけど。

法林氏:ポイントを充当する仕組みは、別に楽天モバイルに限らない。ドコモにもauにもある。

石野氏:そうなんですよ。だから、そんなにドヤることなのかなと。三木谷さんは楽天モバイルのCEOになって、サービスをちゃんと把握しているのかな。自社で提供しているアプリを見ていないのかな、ちょっと分からないな、大丈夫かな。

法林氏:楽天市場、楽天銀行、楽天カードとかを使っている人だったら「ケータイはタダ」くらいに持って行けるというニュアンスで言いたいんだろうね。響く人には響くんだよ。

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