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御朱印ならぬ「御酒印」集めが密かにブーム!各地の蔵元の商品購入、または蔵元見学や飲食などで瓶のラベルが授与されるらしい

2020.02.06

もらうのは御朱印ならぬ「御酒印」

神社仏閣を参拝し、御朱印をいただく「御朱印集め」のブームが定着したが、これに続けとばかりに新たな話題となっているのが「御酒印」だ。

御酒印の読み方は「ごしゅいん」。読みは御朱印と同じでも、真ん中の漢字が「酒」に置き換わっているのに注目。そう、これは御朱印のお酒版なのだ。

御酒印は、各地の蔵元を訪れ、そこの商品(つまり日本酒)を購入する、ないしは有料の蔵元見学や飲食をすることで授与される。このとき必要となるのが、専用の「御酒印帳」で、授与されるのは日本酒の瓶に貼られているのと同じラベルだ。

表紙の色別に5種類が販売されている御酒印帳

授与されたラベルは、御酒印帳の左ページに貼り付け、右ページにはお酒を飲んだ感想や蔵元の印象について記し、思い出の1ページとして保存するという趣向。この趣味が、「日本酒女子」をはじめ、日本酒好きな人、蔵元巡りに興味がある人を中心にじわじわと広まっている。

御酒印帳のページの一例

ブームの仕掛け人は老舗の紙卸商

御朱印集めブームの火点け役は、特定の神社やお寺ではないが、御酒印集めには明確な仕掛け人がいる。1845年に創業した紙卸商の老舗・柿本商事株式会社(京都市)だ。

柿本商事は、主に京都市内の神社仏閣の御朱印帳や日本酒のラベル用紙も手掛けており、これら2つの要素を掛け合わせて、御酒印帳のアイデアが誕生したという。減りつつある日本国内の紙の需要と、同じく需要が伸び悩んでいる日本酒。両者の需要を無理のないかたちで喚起したいという気持ちが原動力となり、多くの蔵元の賛同を得て2017年11月にスタートした。

2年余りを迎えた今、全国的なブームとは言えないまでも、近畿を中心に多くのファンを得ている。それを推進するのが、旅行会社や鉄道会社とコラボした蔵元ツアーだ。例えば、2019年9月に始まった「京阪電車で行く御酒印さんぽ」。京阪電車の駅売店で御酒印帳を購入。1日観光チケットを使い、路線沿いにある16の蔵元を訪ね歩いて、御酒印を集めようという企画で、気軽さから人気が高い。また、阪急交通社の「御酒印めぐり」は、1日2~3か所、日にちを変えて計10~15か所の蔵元を探訪する日帰りツアー。こうしたツアーは、全般的にいって参加者は30~50代と幅広く、男女比は半々。女性のみのグループも目立つという。リピーターも多く、満足度の高いツアーとして盛況だ。

旅行会社や鉄道会社とのコラボで認知度が高まる

人気を受けて公式ガイドブックを発刊

柿本商事は、御酒印の認知度の高まりを反映して、2019年11月に『御酒印帳 公式ガイドブック vol. 1』を刊行している。

本書には、刊行時点で登録されている蔵元81か所の情報と御酒印が網羅されている。御酒印の雰囲気をつかんでいただくため、ここに掲載されている蔵元から3か所を紹介しよう。

泉橋酒造の「いづみ橋 恵 青ラベル」(神奈川)

1857年創業。古来より酒造りに適した土壌と水に恵まれた海老名の地で、酒米の栽培から醸造まで一貫して行う栽培醸造蔵として知られる。「いづみ橋 恵 青ラベル」は、和食にマッチした滑らかで綺麗な旨みが特徴で、1999年という最近誕生した銘柄ながら、同社の看板商品となっている。

泉橋酒造

「いづみ橋 恵 青ラベル」の御酒印

招德酒造の「純米吟醸 花洛」(京都市)

「米と米麹だけで造られる純米酒こそが日本酒本来の姿である」との考えで、米の自然な旨味、酸味の生きた味わいを追求する、江戸時代初期から酒を作り続けてきた蔵元。「純米吟醸 花洛」は、京都産の米と伏見の名水で醸した、やわらかな口当たりとほどよい旨味、すっきりとしたキレ味の純米吟醸で、冷酒にもお燗にも合う。

招德酒造

「純米吟醸 花洛」の御酒印

はつもみぢの「純米大吟醸 原田40」(山口)

1819年の創業ながら、近年になって約20年間、日本酒の製造を中止していたという。15年ほど前に蔵元を復活させ、1回の仕込みで造る酒が1000リットルという、超少量仕込みの酒造りで今に至る。「純米大吟醸 原田40」は、地元産の山田錦と周防市鹿野地区の伏流水のみで醸した純米大吟醸で、深い味わいを堪能できる。

はつもみぢ

「純米大吟醸 原田40」の御酒印

本書の巻末には、利用者の声として「御酒印帳と一緒に蔵元を回ると新しい発見があったり、お酒を美味しく呑める」、「今まで蔵元へ行くという考えが思いつきませんでしたが、御酒印帳を知って、そんなことができるのかとビックリしました」などあり、単なるスタンプラリーではない広がりをもったものであることがわかる。

柿本商事の取締役・室門陽介さんは、「本格的な知名度アップはこれから。日本酒イベントも増えており、若い人にも日本酒ファンが増えている。インバウンドで来られる人向けの情報発信や、銘酒の多い新潟などの登録蔵元を増やすなど全国的に広げていき、需要喚起のツールの1つして活用していきたい」などと展望を語る。

日本酒好きで、蔵元探訪に興味のある方は、始めてみてはいかがだろうか。

【参考】御酒印帳公式サイト:https://www.goshu-pro.jp/

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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