水ようかんといえば、夏の暑い時期につるりと食べるのに最適な和菓子である。しかしある地域では、水ようかんは寒い時期、こたつでぬくぬくとしながら食べる冬の風物詩であるという。そんな慣習があるのは福井県。しかもその水ようかんには約200種類もあるという。
この不思議な慣習について、福井アンテナショップに話を聞いた。
■「こたつで水ようかん」習慣のいわれ
福井では、家族そろって冬の11月~3月頃に、箱入りの水ようかんを食べるのが常識になっているという。つまり福井では、冬の定番スイーツといえば水ようかんというわけだ。
そもそも水ようかんは夏にひんやり、つるっとした食感で食べやすいイメージがあるが、なぜわざわざ冬に食べるのだろうか。ふくいアンテナショップの一つである「ふくい南青山291」の古市宏樹店長(福井県越前市出身)は、次のように話す。
古市店長「福井の水ようかんは、黒砂糖と小豆、それに寒天とシンプルなので、糖度が低く、要冷蔵で保存が効かないため、夏場では腐敗しやすいところがあります。そのため、基本的に福井では、夏場に水ようかんは販売されず、気温が低くなり始める 11月から一斉に販売が始まるのです」
材料も違えば、その食感も変わってくる。
古市店長「福井の水ようかんは、一般的な練りようかんと比べ柔らかく、振れば揺れる逸品。みずみずしく、舌触りは“とぅるんとぅるん”とした感じです。水分が多く、寒天をベースにし、糖分を抑えているため、ヘルシーでやわらかく、黒砂糖のあっさり香ばしい風味もポイントです。この水ようかん、福井では約200種類くらいあるのです」
昭和12年開業 福井県の水ようかんの約7割 のシェアを誇る「えがわ」の「水羊かん」。