■連載/あるあるビジネス処方箋
男性の部下には厳しいが、女性の部下には極端に甘い。あなたの周りにこんな上司はいないだろうか。かくいう私も、会社員の頃、そういう上司に仕えたことがある。その上司の下では、職場の問題が起きると毎回、男性社員が叱られていた。「職場の問題」であるにもかかわらず、だ。同じ職場にいながら、その上司は女性社員には常に寛大だった。そんな経験を下に、ここ10数年の取材で見聞きした「男には厳しく、女には甘い上司」の素顔について迫ってみたい。
■じつは、ナルシスト
「男性社員には厳しく、女性社員にはストレートに物を言わない」。こんなことを、大手メーカーに勤務する30代後半の男性管理職が取材の時、答えたことがある。部下が仕事でミスを犯した時、上司としてどう対応をするのか、と聞いた時の話だ。ようは、この管理職は、上司として汚れ役になりたくなかったのだろう。
女性社員に厳しく物を言って、感情的な反発をされたり、逆恨みされたりすることを警戒していたという。女性社員が徒党を組んで抵抗されるのも恐れていたという。上司としてのメンツが潰れてしまうことを警戒していたようだ。
だが、女性社員に対して厳しく言えない上司は、女性社員たちから軽く見られる傾向がある。「どうせ、あの部長や課長は厳しく言わないから」とささやかれる。当の本人(上司)はそのことを察知していても、何も言えない。ふがいなさを感じつつも、徒党を組む女性社員たちと揉めごとを起こしたくないのだ。
そこで、物を言いやすい男性社員を厳しく叱ることで、「この上司は怖い」という印象を女性たちにも与えようとする。威厳や名誉を保ち、メンツを守りたいのだ。男性の部下を厳しく叱ったところで、女性社員に厳しく叱るよりはリスクが小さいということもあるのだろう。毎月、管理職手当をもらっている上司がこんなことでは困るのだが、30〜40代の男性管理職でこういうタイプは今も多いようだ。